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ヴァリアントソウル  作者: 黒金氷碁
ラプラス・バーサーカー
4/9

力量

 ラプラスはTシャツの上に肩紐で吊り下げられた黒くつなぎ、いわゆる俺の世界でいうオーバーオールってやつに着替えてきた。そして先程まではなかったのだが、左側の前髪は天使の羽のような髪飾りで止めている。

 俺は「最初からその服着ろよ。」というと、「ハルマはああいう格好好きかなと思って、あの服装だったんだよ、人は第一印象が大事なんでしょ?」とニコニコしながら言った。俺は「まぁ、嫌いじゃないけど…」とポリポリと頬を指で掻く。

「それよりも飯だ、俺も腹が減った。飯はアテナが用意してくれたんだろ?」というと、「そこのクーラーボックスを見てごらんよ。」と指を指す。ガチャリと開けると、調理済みの俺の好物であるタッパに入ったハンバーグがパンパンに入っていた。「おい、なぜハンバーグしかない。」と顔をしかめる。

「いやいや、そこにあるリュックサックには栄養が取れるバーとかゼリーとかもあるよ。あとは水もあるね。腐らないから何かと便利だからね。ハンバーグだってハルマの好物だから頑張って作ってたんだよ。」

「はぁ…お気持ちはありがたいけどこんなにあったら大好きなハンバーグも飽きるよ…。」と肩を落とした。

「あはは、そうだね。ちょっと単純過ぎたね。けど腐っちゃうからって言うのもあるし、新しい食料を手に入れる為に早めに近くの街を目指さないとね。

」と言った。

「とりあえずあっため直したい。どこで温めればいい?」と言うと、「ああ、それなら心配要らないよ。ステータスオープンと頭に浮かべてご覧。」と指示をされた通りに俺はステータスオープンと思い浮かべる。すると視界の隅にステータスが数値で表示される。【ハルマ、Lv50 炎属性 Lv5、氷属性 Lv5、光属性 Lv5、闇属性 Lv5、無属性Lv5】、嫌な予感が少ししながら「おい、この世界はLv50が最大で属性Lvは最大Lv5なのか?」と聞いた。

え?と首を傾げながら「違うよ?LvはMAX100で属性Lvは10がMAXさ。」と目を丸くした。

「はぁ!?何で俺のLvはMAXじゃないんだよ!」とラプラスの肩を掴み、揺らすと「君はMAXで始めるより、レベル上げコツコツとしながら冒険する方が好きだろ?それに戦い方を覚えてないのに俺は最強だからザコ敵は無視だぜ!みたいな感じで冒険されても困るからね。まぁLv50でも比較的強め…あ、ちょ、そんな揺らさないで…」と言う。

戦い方が分からないから、と言う言い分は分からなくも無いが、なんだか腑に落ちない。こういうのは大体LvMAXで俺TUEEEE系の始まり方だろう。しかもLv上げコツコツ好きだったのは小学生で有名な青い栗みたいな形をした魔物がほぼ一番に出てくる某ゲームにハマってた時代だ。今はスマホで見れる俺TUEEEE系のラノベや漫画にハマっている。

揺らしすぎたせいか息を切らしたラプラスが「はぁ…はぁ、だけど君には無敵であるボクのサポートとスキルに女神様の加護があるからLvMAXもあっという間だよ。女神様の加護がついている場合、約5倍の速度で成長出来るからね。この世界の戦い方や自分の力を知ってもらう為に仕方なかったんだ。いきなりMAXにして守るべきものを間違って滅ぼしちゃいました、なんて笑えないからね、最初はどんな魔物でも相手にしてもらって戦い方を覚えて欲しいっていう事が1番だね」

確かによく見るとスキルという欄があり、ユニークスキルという欄から【女神の加護】、【ラプラス】という名前があり、その下にスキル【スカウター】、【危機察知】などがあった。まずはユニークスキルと、それぞれの概要を開いた。だが2つとも【???】という説明が乗っているだけだった。ラプラスは【ユニークスキルとして、女神の加護というスキルとラプラスというスキルがついていると思うんだけどそこはこの世界では認識されていないスキルだから説明はないよ。後で実際使ってみるのが1番やりやすいから後々教えるね。」と言った。【スカウター】は【対象のステータスを見る】という能力で【危機察知】は【危機が訪れるとブザー音が頭に鳴り響き、察知できる】という能力だった。「うん、大体は理解した。とにかく腹が減った、疲れた。」とがくんと肩を落とした「もういいや、じゃあハンバーグはこの炎属性であっためるってことだな。」とタッパを開きながらきくと「切り替え早っ!まぁそういう事だよー。」と言った。

技の名前を言えばいいのか。よし。初の魔法だとワクワクしながら「ファイア」と唱えた。

結論から言おう。出来たのは暖かいハンバーグではなく灰が出来上がった。ハンバーグが急に燃え上がったと思えばそこには無惨に灰へと化した灰バーグがあった。

「言い忘れてたけど、属性Lvが5もあるからハンバーグを温める程度なら魔力を込めすぎるとその通り灰バーグになるよ。魔力の込め方は説明が難しいんだけどまぁグッとお腹に力を入れたり、入れなかったりで調節できるよ。」と遅れて警告してきた。

「…」

アテナすまん…ハンバーグ…ひとつ無駄にしてしまった。このポンコツにちゃんと聞かなかった俺も悪かった…ほんとにすまん…と天を仰いだ。

「どしたの?仏みたいな顔して。」

と言ってきたので「なんでもないよ。」とにっこり笑った。

「そっか、いい笑顔だね。」なんてニコニコしながら悪気の無い様子で返して来るラプラスに少し顔を引くつかせながら、「ありがとう。」と礼を述べた。

そして俺は「じゃあここでずっと長話ばかりしているのもなんだし、これを食べたら行こうか」と別のハンバーグのタッパを開け、口角を少し上げたまま「ファイア。」とボソッと呟いた。








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