導く少女
光に飲み込まれた後、ぱちりと目を開けると俺の目の前には見知らぬ木製の天井が広がっていた。身体を起こし、周りを見渡すとそこはキャンプで泊まるロッジのような場所だった。
先のやり取りからしてここが転生した世界かと頭の中で整理する。
立ち上がろうと布団をおしのけると、隣にはぶかぶかのだらしなく胸元が露わになってしまっている、ワイシャツで眠る美少女がいた。
「うわぁ!」と言いながら少女に視線を送りながら慌てて立ち上がり後ずさると彼女は「うーん…」と言いながら目を擦り起き上がった。こちらに気づくとにこりと笑いながら「やあ、起きたんだね、ハルマ、おはよう。」と言った
彼女は俺より少し若いくらいでストレートに伸びたボブショートの黒髪で透き通る様な水色の瞳を持っている、かなりの美女だった。
「こういう格好はやっぱり男性諸君は好きなのかな?、あはは」と口元に手を当て笑う。
「いや、お前誰だよ!」とその場で焦燥していると
彼女は立ち上がり、こほんと咳払いをした後「ボクは女神様から君のナビゲーターとして送られた天才美少女ラプラス!よろしくね!ハルマ!」とくるりと周りながら自己紹介をして。「キュピーン!」と言いながらウインクで締め括った。
綺麗に膨らんだ美少女のボクっ娘、中々萌えるな。と内心思いながら 「何かあんまり説得力ないな、もっとなんかナビゲーターってあっちでいうカーナビ的な感じで無感情なやつかと思ってた。」心の内を隠す様にと真顔で言うと「えーせっかくハルマの好みに沿ってサポート出来る様に考えて来たのにそんなこと言っちゃうんだー。そっちの方が良いなら別にそれでも良いけどさ。」とぷいっと顔を背けながら言うと、俺はくすりと笑いながら「いや、そっちの方がいい。」と言った。ラプラスはこっちにちらりと目をやった後、顔を向き直し、花が咲く様に「やっと笑った、ハルマもそっちの方が良いよ。」と笑った。今度はこっちが顔を背けながら「うるせ。」と呟いた。
「ちなみに君の今の君の歳は高校生くらいで服もそれに沿って制服だね。好きなラブコメ?ってやつの主人公が大体高校生だったから女神様が気を利かせてくれたみたいだね。服は普通にあんまり好み分からないからそれにしたって言ってたね。まあどうせすぐ着替えるんだろうけどね。あっちの世界での思い出的な感じで取っておくといいよ。」と鏡に指を指した。
「本当に高校生の俺だ。」相変わらず特徴の無いぼさぼさの髪の毛で健康的な生活を送れているとは思えない顔色、まさにそのまんまだと驚きながら、アテナはやはり凄いと改めて思う。
その時、ぐるるるるると獣が鳴くような音が響き渡った。「早速魔物かよ…ラプラス、お前の服はそれしか無いのか?」と言うとラプラスの表情が急に曇り始め、「いや、一応ボクの服は天界から持ってきてるからあるんだけど…」と下を向いた。
「じゃあ早く着替えて行くぞ。戦い方とか全く俺分からないからサポートしてくれ。」と言うとラプラスは申し訳無さそうに手を合わせ、「ごめん!今のボクのお腹の音!」と言った。
「え?」と呆気にとられていると、ラプラスは「いやーやる気になったとこほんとごめんねー」と言った。
「はぁ…とりあえず着替えてくれ…飯はそれからにしよう…」とこいつがナビゲーターでほんとに大丈夫なのだろうかと、言いながらため息をついた。