光る銭湯
新作になります。
ぼちぼち更新していこうと思うのでよろしくお願いします!
「ふ~このぐらいでいいかな」
大きなお風呂の掃除が終わると、俺は湯を溜め始めた。完全に溜まるまでに他にも更衣室や入り口を掃除する。時間はまだあるので学校で出された宿題を終わらせると開店の時間となりお湯も溜まっている。
俺は、入り口を開き暖簾を掛けいつもの場所に座った。
「今日もご苦労様。いつもありがとうね~」
常連さんの、柚野のおばあちゃんがやってきた。
「こちらこそ、いつも利用ありがとう。ゆっくり入っていってよ」
「それじゃあ、お言葉に甘えてゆっくりしていくね~」
そう言って柚野のおばあちゃんは赤い暖簾のかかった女湯の方に入っていった。
するとすぐに次の常連さんがやってきた。
「おっ!今日も時間通り、えらいな~坊主は」
「あっ山田さん。いらっしゃい、時間通りに開けるのは当然ですよ」
「その言葉、おめえの爺さんにも聞かせてやりたかったぜ」
「また、言い合いが始まるのでやめてください」
「ちげぇねぇ!それじゃあ、体の疲れをとってくるよ」
「はい、ごゆっくり」
お互い笑いあいながら会話をし山田さんは青い暖簾の掛かった男湯に入っていった。
それからも、古くから入りに来てくれている常連さんの方が今日も入りに来てくれた。
「ありがたいよな、こうして長く入りに来てくれる人がいるのは」
俺がどうして今の状況になったのか思い出していた。
俺はおじいちゃんっ子だった。両親は共働きで全然家に帰ってこないので俺はおじいちゃんに育てられた。おじいちゃんは、銭湯を営んでおり小さい頃から準備の手伝いや掃除を手伝いよくやってくる人に可愛がられながら育った。おじいちゃんは、みんなが気持ちよさそうに出ていく姿を見てよくこう言っていた。
『周りを笑顔にすれば、周りも自分を笑顔にしてくれる』
そう笑顔で言っていたのをよく覚えている。そんなおじいちゃんが、俺が高校に上がると同時に人を救って亡くなってしまった。小さい男の子を飲酒運転により暴走していた車から庇ったと聞いておじいちゃんらしいなと思った。運がよく最後の瞬間に立ち会う事ができ最後の言葉を聞くことができた。
『啓太郎・・・おまえさえよければ・・あの銭湯を引き継いでくれないか?今の時代、人と人が顔を合わせて笑いあう事が少なくなった。わしは、少しでもそういう場所を残したいんじゃ。けど、押し付けるつもりはないからな』
『喜んで引き継ぐよ!俺もあの場所が大好きだから!だから、またあの場所で一緒に笑おうよ!」
『あぁ、それは・・・いいなぁ・・・・周りを笑顔にすれば、周りも自分を笑顔にしてくれるその通りだったよ・・・ばあさん』
『おじいちゃん!おじいちゃん!目を開けてよ!いっちゃやだよ!あぁぁっぁぁぁ」
その日は、沢山泣いた。おじいちゃんの葬式はどうするのか聞かれ中学を卒業したばかりの俺にはどうしていいのか分からず困っていた。両親は、仕事が忙しいと言い適当にやっておけばいいと投げやりな返答が返ってきて速攻ブロックした。どうすればいいのか、路頭に迷っていると常連さんの人たちが助けてくれた。そのおかげで、無事におじいちゃんの葬式を上げる事ができ銭湯も無事に引き継ぐ事が出来た。
その時にお礼を言えば
「この程度、どうってことないよ~」
「そうだぜ!坊主!お前さんは俺たちの孫みたいな存在なんだから困ったことがあったら頼ってくれていいんだぞ!」
常連さん達から、暖かい言葉を投げかけられ泣いてしまった。今度の涙は、悲しい涙ではなくうれしい涙でおじいちゃんの言っていたことは間違っていなかったと実感し心が温かくなった。
それから、俺はおじいちゃんの家から高校に通いながら銭湯を営む生活が始まった。
過去の事を、思い出していると
「啓ちゃん、今日も気持ちよかったよ~」
「あっ柚野のおばあちゃん。それなら良かったよ」
「また明日も入りに来るね~」
「うん、待ってるね」
それから、常連さんが続々と挨拶していきながら帰っていった。みんな必ずまた来ると言ってくれるので本当に嬉しい
閉店時間となったので、入り口の暖簾を下ろし夜ご飯を作ると携帯をみながらご飯を食べた。ahooを開くと最近ではパワースポット巡りが流行っているらしくその特集がデカデカと記事になっていた。その中には、温泉もありその温泉に入ると運気が上がるだの、オカルトな事が書かれていた。俺は興味がなかったのですぐにブラウザバックをし復習と予習をして眠りについた。
朝になり、ご飯を食べて自転車に乗って30分かけて学校に着くと自分のクラスに行き席に座ると
「おーす!おはよう、柳」
「おはよう、田神」
真っ先に挨拶してきたのは、田神 心 クラスの中心的な人物でコミュ力お化けだ。
「今日もダメなのか?」
「ごめん、家の用事があるからさ」
「了解!また、今度な!」
そう言って田神は別にグループのところに行った。俺が銭湯を営んでいるのを知っているのは担任の先生と校長先生とそして田神だ。先生たちには高校に入ってからすぐに事情を説明し、何かあれば相談してくれと言われ、本当なら田神にいう気はなかったが何度も遊びに誘ってくれるのに全部断っているのにも関わらず根気よく遊びに誘ってくれるので良心が痛み、どうして断っているのか理由を話したら。カラッと笑いながらまた誘うわと言ってくれた。本当に良い奴だ。
授業が終わると、早々に帰る支度をして家に帰ろうと教室を出ようとすると
「柳!明日、お前家に行ってもいいか?」
別に断る理由もなかったので
「あぁ、いいぞ。待ってる」
そう言って、家に帰った。家に着くと、いつもの様に準備をして暖簾を掛け開店した。
今日も無事に営業が終わり、体の疲れをとるため一人で独占して温泉に入った。
「は~生き返る~。この広いお風呂を独り占めできるのは特権だよな~」
温泉につかりながらゆっくりしていると、突然お湯が光り始めた。
「なっなんだ!」
俺は驚きすぐにお風呂から出ると、いきなり強烈に光った。
「目がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
直視してしまい、視力を奪われ床を転げ回った。何とか、視力が回復し目が見えるようになった。
「一体なんだったんだ。いきなり、風呂がひか・・り」
俺は目を開け、光ったお風呂の方を見て固まった。さっきまで一人のはずだったのにお風呂の中には何故か裸の女の子が浮かんでいた
「これは、マズい・・」
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