5/14
Interlude
美しい乙女だ。
幼い頃からずっと可憐で、きっと老いて死ぬ間際まで麗しいに違いない、そんな女性だ。
彼女が優しく微笑むと、男女問わず魅了される。
彼女が困った顔をしただけで、誰もが進んで手を差し伸べた。
彼女のそんな魅力を妬む者も少なからずいたが、彼女にとってはとるに足らないことだった。
彼女の興味は、弱い立場の女性に教育と仕事を与えて貧困や差別から助け出しながら、いつか彼女を助けてくれた少女と再び相まみえることにのみ注がれていた。
彼女のことを天使だとか聖女だとか呼んで持て囃す者がいるが、彼女は、自分よりももっとそう呼ばれて然るべき存在がいる、と言って拒絶するのだ。
愚かにも慢心し、世間知らずなくせに危険に飛び込んだ十歳の彼女を守るために身を呈してくれた少女。
明らかにカタギではない男に胸倉を掴まれているのに、笑って手を振り、彼女を逃してくれた少女は、あれからどうなってしまったのだろうか。
彼女は名前も名乗らなかった尊い少女に、十五年経った今も憧憬と淡い慕情を抱いている。




