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童貞でも戦えますが?  作者: 月神
4/4

3 異能バトルよりもリアルを優先

 性戦。

 それは運命的に世代が重なった一生童貞一生処女の可哀想な人間が己の貞操に価値をもたらすべく異能を使い童帝を目指し願いを叶える聖なる不毛な戦い。

 安藤解は処女の女神ニーナに導かれ性戦へと参加する事になったのだった……。



 半年後……。 



 少し小奇麗なアパートの一室。

 解は悩んでいた。これからどう動くべきかを。

 「ダンクーガを突っ込ませるべきか?でもこいつ見た目に反してすぐ落ちるからな……、ここはフルカスタム紅蓮特攻が安パイかもしれない……。」

 「解!スパロボをしてる場合じゃありません!早く他の導き手に性戦を挑みにいきますよ!後そこはウィングガンダムのマップ兵器で一網打尽にするべきです!」

 「性戦はやめたっていってんだろ!後そのアイディア頂くわ。」

 仲良くゲームをしていた!

 


 ゲームを終えた二人は少し狭い部屋の中でぐったりとしていた。

 解はベッドでぐうたらと携帯をいじりニーナはその清楚な雰囲気からは考えられないほどだらけていた。

 「なぜ性戦を挑みに行かないのですか?せっかく他の導き手が見つかったというのに。」

 「いや、見つかったけど!見つかったけどな!誰だって想像したぜ、世界のどこにいるかもわからない導き手を探す旅に出てやっと見つけた導き手と熱い異能バトルを繰り広げる!これが王道って奴じゃん!俺だって想像したさ!でもな実際導き手って何人だったんだよ!」

 解はぐうたらとしながらも声には強い怒気がこもっていた。

 「貴方を含めて三人ですが?」

 「三人て!少なっ!友達が少ない奴の見舞いでももっといるぞ!」

 ニーナはキョトンとしている。あまりその事に対してのがっかりを共感できていないようだった。

 「後場所な!他の二人とも電車で二駅くらいの場所に住んでるってどういう事だよ!」

 「ですから運命的に世代が重なったのでそういった偶然も起こり得る範疇ですよ。」

 「聞いたそれ何回も聞いた!わかったけどなんか燃えないじゃん!絶対駄目じゃん!もっとなんか無かったの!無意識のうちに惹かれあったり!そういった配慮はできなかったの!」

 さっきのだらけ姿はどこへやら熱くなった解は立ち上がって強く拳を握ってニーナを見つめていた。

 「童貞風情が上から物をいいますね。だから童貞なんですよ?わかりますか?」

 「今童貞は関係ないだろうが!困ったらすぐ罵倒するんだからこの子は!」

 少し涙目になって解は座り込む。ニーナは溜息を吐いてからやれやれと言いたそうに頭に手を当て首を振る。

 「ですがそれで性戦をやめる理由にはならないでしょう。熱い異能バトルと言う物はできるじゃないですか。」

 解は誰が見てもイラっとくるような顔で呆れる。もちろんニーナはそれを見てイラっとする。

 「俺もまぁそうやって踏ん切りつけて一回戦い挑んだじゃん?覚えてるだろ?」

 「はい。下衆のチンピラのようなセリフで突っかかってましたね。」

 「……ツッコまないからな。俺の能力なんだった?」

 人差し指をピンと立てニーナの答えを待つ。

 「触れた物を溶かす能力でしょう?」

 「そう。一見地味だけど相手に触れられたら一撃必死の強い能力だと俺は思うよ。他の二人の能力言ってみろよ。」

 「時を止める能力と幻覚を見せる能力ですね。」

 「なにその差!絶対勝てるわけないじゃん!二人の能力強すぎ!俺もある程度鍛えて能力使う時の性的快感にも耐えられるようになったけど関係ないぞ!時止められて背後に回られた瞬間普通に生きてたら絶対に感じない恐怖を植え付けられたぞ!後幻覚見せられて十分間ゴミ袋の山にパンツ一枚で腰振ってたんだぞ!最悪だよ!」

 そう解の能力は他と比べると非常に残念だったのである。

 だが解が性戦にあまり乗り気でなくなったのは何も能力の差があったからという理由だけではない。

 他の二人のモチベーションがすこぶる低かったのだ。

 まず時を止める能力を持つ処女の女神パラスの導き手の久遠俊くどおしゅん

 彼は今絶賛就活中の大変な時期で一応性戦には参加しているようだが多忙であまり童貞である事をコンプレックスとして感じていないしなんでも願いが叶うという一発逆転のチャンスなどが嫌いでそれなら真面目に働くといったちょっとしたリアリストのため性戦にはあまり興味がない。

 そして次に幻覚を見せる能力を持つ処女の女神ニャンニャンの導き手の来栖鬼童くるすきどう

 いかつい名前だが絶賛地下アイドル活動中の女の子だ。

 結構メルヘンな子で一生処女である事を完璧なアイドル像だと思っていて叶えたい願いは自分で叶えるタイプだと思っているので性戦にまるで興味がない。

 こういったモチベーションの人と戦う気も起きず解はずるずると性戦の熱を冷ましていったのだ。

 「久遠には二十歳にもなってフリーターは駄目だと励まされるし……、来栖には自分の願いは自分で叶えなきゃ価値がないって諭されるし……。なんであんな奴らが導き手なんだよ……戦えないじゃんか……。」

 「またそうやってすねる。メンタルが弱い童貞は困りものですね……。」

 呆れたニーナはそこらへんにある雑誌を取り読み出す。

 こんな感じで異能を持ちながらも派手なバトルパートもなく半年間が過ぎて行っている。

 現実はこうなのかもしれない。そんなわけのわからない事より安定した職を見つける、夢をかなえるために努力する。そういった事の方が有意義で大切なのかもしれない。

 


 だがしかしこの状況を芳しく思わない存在もいる事をまだ彼らは知らない。

 

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