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童貞でも戦えますが?  作者: 月神
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2 性戦の始まり

 幾何学的な形の綺麗な家具が並んだ部屋に解とニーナは立っていた。

 「ここは私の部屋になります。もちろん人間界ではありませんが空気など人体に悪影響が及ぶ事はありませんのでご安心を。」

 「いや空気とか以外に突っ込みどころ満載だけど……。」

 解は驚く事よりもこの部屋への好奇心が勝りニーナの部屋を物色し始めた。

 タンスらしき物を開けると可愛らしい人間じみた下着がきっちりと整頓されていた。

 「女神って言ってたけどブラはつけるんだな……、しかもちょっと色がエロイ……。」

 まじまじと真剣な表情でブラジャーを見る解に対してニーナは顔を真っ赤にしてタンスを力強く閉めた。

 先ほどは混乱していた解だったがニーナの体を改めてちゃんと見ると透けそうなくらいの白い布が体のラインに合わせてぴったりとくっついているのだ。

 そのスタイルを強調させる服を見た解は少しムラっと来てしまう。

 「あの!勝手に部屋を物色しないでくださいね!もう!私お茶入れてきますから!」

 怒りながらニーナは部屋から出て行ってしまった。

 物色をやめた解は部屋をよく見る事にする。

 中々の広さのニーナの部屋には形は違えどベッドや机など使い方が想像できてしまうようなものでいっぱいだった。

 しかしそんな中に一つだけ目立つ物。この場合目立たぬの方が正しいのか。

 畳があった。形が違う色が違うなどなくただの畳が一畳、部屋の隅に置いてあったのだ。

 その普通な物がとても怖く感じた解は畳をまじまじと見ていたらニーナがティーセットを持って部屋に戻って来た。

 「あ、畳そんなに珍しいですか?」

 「いや珍しくはないんだけど、この中では異様だなって思って。」

 ニーナはカラカラと笑う。

 「私日本の和風?ですか。好きなんですよ。だからドアも襖に創り変えましたし。」

 ニーナは入って来た所を指さす。色は赤と白だがちゃんとした襖だった。

 「お前みたいなのが女神って信じられないわ。日本好きの外国人じゃん。」

 疑心の目を解はニーナへ向ける。話し方もとても普通なニーナを素直に女神と受け取るのは難しい。スタイルは女神級だが。

 「なんて無礼な事を言うんですか!もう貴方には女神の加護かけてあげません!ふーんだ。」

 つんとそっぽを向くニーナ。

 (こいつキャラちがくねーか?自分の家だと態度でかくなる系かな?)

 しかしキャラはぶれぶれでもこの場の主導権を握ってるニーナにこれ以上機嫌が悪くなる事はいえない解だった。

 「まぁとりあえずお茶入れてくれよ。話もまだなんにいも進んでないしさ。」

 「むっ。わかりました。では座って話しましょう。」

 ニーナが指をたどるとふわふわと机と椅子がやってきた。机に並べられたティーセットがひとりでにお茶をついでいる。

 (こんな所は女神っぽいな。いや魔法使いか?)

 椅子に腰かけつがれたお茶を飲んでみる。麦茶だ。

 「では貴方が参加する性戦について説明させていただきます。貴方はこれから私、女神ニーナの導き手となり他の導き手と戦っていただきます。導き手の条件は不運な事に一生性交ができないと決まった者達が選ばれます。」

 「それじゃ一生処女でも選ばれるって事?」

 「そうなりますね。」

 「なんとまぁ不毛な。」

 解は少し悲しそうな顔をして話の続きを促す。

 ニーナはここが重要とばかりにコホンと咳ばらいを一つはさんだ。

 「そして導き手全てを蹴散らし勝利した暁にはなんでも一つ願いを叶えてもらう事ができるのです!」

 「なんでも一つ!」

 興奮した解は身を乗り出した。机に当たったのかがたんとティーカップが転びそうになったがふわふわとまた元の位置に戻る。

 (なんでもって事はなんでもって事……。○○は俺の嫁って言ったら本当に俺の嫁になるって事……。)

 色々な願いを脳内で考える解。こういう時の彼の想像力はすさまじい。

 「えっと……、ギャルのパンティとかでももらえるの?」

 「はい?もちろんもらえますけど?」

 ニーナは首をかしげながらうなずく。通じない事にがっかりする解だったがそんな事はどうだって良かった。

 (ついに俺にも本気出す時が来た。1時間後本気出す夜には本気出す明日本気出すと言い続けて早二十歳。俺はこの時のために本気を充電してきたんだよ!中学の時エロ同人みたいなプレイしよって言ったら本でしかみないような罵詈雑言浴びせてきた佐々木!高校の時に陰毛がきもいっつった内田!ざまーみろ!俺は今からお前らとは次元が違う可愛い女を嫁にできるんだぞ!ざまーみろ!!ざまーみろ……)

 少し悲しい気分になった解だが一つだけ気になる事ができる。

 「あ、戦うっていうのはどうやってやるんだ?喧嘩とかか?」

 喧嘩があまり得意ではない解は少し不安そうに聞く。

 「いえ肉弾戦もないことはないですが、導き手には一つ能力を貰う事ができます。それを使って戦うといった感じですね。」

 ありがちな王道異能バトル展開に興奮を隠しきれない解。

 「能力!それって具現化するタイプとか?幽霊波みたいな!」

 「いえ具現化するものはありませんね。簡単に言えば触れずに物を動かせたり空を飛べたり。」

 「なんだ、なんかしょぼいな。」

 もっとすごい能力だと期待してたため現実にあっさり萎えてしまう。

 「いえあくまで例えなので、好きな能力を選ぶという事はできませんけど貴方にぴったりの能力が身に着くはずですよ!」

 ニーナは耳からピアスのようなものを取り外して見せてきた。

 それは小さな真珠のような物だった。

 「これはエプロジアク。この球を飲めば貴方にぴったりの能力が身につきます。」

 ニーナは解の手を取りエプロジアクを渡し飲むように促した。

 エプロジアクをつまんでよく見る。色は青色で綺麗な光沢を放っていた。

 このタイミングで解は気になってた事を聞いてみた。

 「えっと……、一個だけいいか?もしも戦いに負けたらどうなるんだ?俺は死ぬのか?」

 声は震えていた。死を恐れぬ日本の二十歳などそうそういないだろう。

 そんなシリアスなど存ぜぬかのようにニーナは明るい声を出した。

 「導き手同士の勝敗は戦闘不能にした方が勝ちですし死ぬほど痛いですが安心してください。女神の加護で死ねないようになっています!」

 「ノーリスクハイリターンきたー!!」

 そう叫んで解は一気にエプロジアクを口に入れて飲み込んだ。するとお腹の辺りに熱を感じた瞬間、何か熱い物が血管を通して体中を駆け巡る感覚がする。その感覚はなんとも性的に気持ちがいい。

 「ぁ……、これ……すんごいな……。」

 昇天寸前でその快感が止まり何かが体になじんだように思えた。

 「能力が身に付いたようですね!さっそくどんな能力か使ってみましょう!」

 ニーナは目を輝かせて子供の用にはしゃぎはじめた。

 「使えって言われてもな……。」

 「何か違和感があるとか何か違うなって思う部分はありませんか?」

 「そういわれても……、あ。」

 解は気づく。両手からの強烈な違和感に。違和感と言うか圧力と言った方が妥当なのかもしれないそんな物が両手からは感じ取れた。

 「両手に感じる。手が関係しているのか?」

 手を前にかざして力を込めてみる。が、駄目。何も起こらない。

 「何か言ってみるとかは?」

 ニーナがうずうずしながらアドバイスをする。早く能力がみたいようだ。

 「何か?……闇の炎に抱かれて消えろ!」

 同時に勢いよく手をかざすが解の手からは何も出てこない。消えたくなるような空気が流れたことは言うまでもない。

 色々試した解だったが芳しい成果は得られずニーナも興味をなくしてしまったようでお茶を飲んでいた。

 「うーん、違和感はちゃんとあるのに何も起きないな……。」

 少し気晴らしにお茶を飲もうと解がティーカップに触れた時。

 その時凄まじい快感が体中を、否、股間に走った。その拍子にティーカップを落としてしまう。

 「……!!!……あぁす……。ふぅ……ふぅ……、なんだ!?今のは?」

 冷静になった解は落としたティーカップを拾う。どうやら持ち手の部分が割れているようだった。

 「あー、ニーナすまん。落とした拍子に割れたみたい。」

 この部屋の物に紙幣的価値が存在するのかはわからないが高そうな物だと思った解はニーナに詫びる。

 「別にお気になさらず……?」

 ニーナは割れたティーカップをまじまじと見つめる。何かよからぬものでも見たかのように。

 そしてゆっくりと口を開く。

 「これ……、割れていません。溶けています。持ち手の部分が。」

 「へ?」

 ティーカップをもう一度しっかり見るとたしかに持ち手の上の部分が溶けている。丁度解が指で触れた場所だ。

 ニーナはぴんと人差し指を立てた。

 「わかりました!これは能力です!多分手で触れた物を溶かす能力なんですよ!」

 「なにその地味な能力……。」

 だが派手でなくとも決して弱くはない能力だ。もう一度試そうと解けたティーカップに触ってみる。

 だが何も起こらない。

 「あれ?何も起こらないんだけど?」

 力んだり撫でたりしても何も起こらない。何か条件があるのかと考える解にニーナは少し恥ずかしそうにしながら聞いてきた。

 「……あの、もしかしてイっちゃいましたか……?」

 「言った?何を?」

 解は直前までの言動を思い出そうとする。

 「いえだから……、その、性的な興奮が絶頂に達しましたか?と聞いているんですよ。」

 恥ずかしさを押し殺し早口でニーナは告げた。

 解は慌てて股間に触ると少し湿っぽい感じがした。大人のおもらしだ。

 「言い忘れていたんですけど、能力を使うとその規模に応じて性的快感が体に走る仕組みになっているんですよ。能力を使う変わりにそれに耐えなければいけないんです。そして果ててしまうと短時間能力が使えなくなります。ですが、ティーカップを溶かす規模で果てるなんて中々の早漏っぷりですね。」

 「なんだその頭悪い仕組み!早漏だから俺能力ほぼ使えないじゃん!」

 最悪な展開に解は力なく床に座り込む。解は中々の早漏で回復も遅い良いとこ無しなのである。

 「ティーカップであの快感って。他のものになる俺快楽堕ち間違いなしだぞ!エロ同人みたいに!」

 「いえいえ!能力の練習をすればたとえ早漏だとしても満足に扱えるようになるはずですから!」

 ニーナのフォローに解は少し元気を取り戻すが、これで戦うとなると相当練習が必要だとも感じていた。

 「ですがこれで準備は整いましたね。今からあなたは私、女神ニーナの導き手となり性戦に参加して頂きます!」

 ニーナは立ち上がり力強く言う。

 「他の女神の導き手を薙ぎ払い貴方が童帝になる事を心から祈りそして手助けいたします。一緒に頑張りましょう。」

 可愛くそして可憐に笑うニーナの瞳には大きな目的があるように思えた。

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