表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

激闘?の果てに

さぁ、決闘もいよいよ完結……………想像してた決着と違う!!

何でこうなった!!

 


「炎舞神楽三ノ段、『直炙じかあぶ)り!!』」


 詞葉が詞を紡いだ瞬間、桂だけが突然燃え出し全う一瞬で炎に包まれ、その場に崩れ落ちる。


「ふん、人の事を散々猪って言うからこうなるんです。しっかり負け犬部屋で反省した後に梅さんの拷問を受けるといいです」

「猪って言われたの根に持ってたのね」 

「当たり前です!!」

  

 詞葉は足元で炎に包まれ地面にうつ伏せで倒れている。

桂を溜まりに溜まっていたゴミをやっとの思いで焼却処分できたかの様な清々しい眼差しを向けた後、刀を鞘に納めた。


「大口叩いてた割には呆気なく終わったわね」

「それは私が成長したって事です褒めて下さい」

「そうね神楽は褒めてあげる。でも、刀の方は一回も当てる事は出来なかったから今晩布団のなかで手取り足取り教えてあげるわ」

「それ絶対刀関係ない気がします!!」

「そんな事は多分ないわ」

「多分ってなんですか!?」

「気にしたら負けだと思うよ詞葉ちゃん」


 詞葉は今夜強硬されるで有ろう惨劇を回避するために境界線の中から顔を真っ赤にしながら精一杯声をあげ反論をしていると様子を見ていた神子姫がニコヤかに話の輪に入り始め場をみだす。 

  

「梅ちゃん抜け駆けはダメだよ。お母さんも混ぜてくれないと薬盛っちゃうよー」

「ややこしくなりますから、お母さんは入って来ないで下さい!!」

「詞葉はお姉ちゃんがいいのよね」

「そう言う意味じゃあないです!!」


 境界線の外から、ちょっかいを出してくる二人に対して詞葉は刀を振り回し威嚇をする。

 そんな光景を微笑ましく見守りながら外の二人は全く同じ言葉を口にした。


「「足元注意よ(だよー)」」

「えっ?足元がなんです、キャ!?」 


 二人の言葉を聞いて足元に注意を向けようとした瞬間倒れていたハズの桂が詞葉の足首を掴み引き倒し、仰向けに倒れた詞葉の上に跨り馬乗りになった。

 詞葉は、焼き殺したと思っていた相手に馬乗りにされ驚愕の顔を浮かべ対して桂は見下ろしながら、両頬を獰猛に吊り上げ先ほど自分を焼き殺そうとした相手に楽しげに話しかけながらゆっくりと右拳を降り下ろす。

    

「戦ってる最中にお喋りのうえに敵の存在を無視するなんて余裕だな猪娘」

「な、何で生きてるんですか確かに焼いたハズです!!」

「残念ながら俺を焼き殺すには火力が弱すぎたな」

「なら、もう一度焼くまでです。―――燃え」

「させるかアホが」

「カハァ、の、喉……普通この体制なら殴るのは喉じゃあなく顔だと思うんですけど」

「優しさだ」


 降り下ろされる拳に詞葉は両腕で自分の顔を覆い防御を固め、その隙にもう一度燃やそうと集中するが桂は冷静に腕の無い喉を殴り集中の邪魔し術を防ぎ、燃やされた仕返しとばかりに殴り続ける。

 対して喉を殴られた詞葉は苦しそうに咳こむが顔の前に固めた腕は、喉を殴られた後も変わらずそのままの位置にありしっかりと桂の拳から顔を守っていた。

     

「ふ、ふざけないで下さい。これのどこに優しさがあるんですか!!」

「全てだ、それにしても喉を殴られたのによく喋れるな、ちょっとビックリだぞ」

「もういい加減上から退いて貰えませんか!!」

「断る、お前を上から見下ろすのは眺めがいいんだよ」

 

 桂は腕が有るのをお構い無しに、そのまま殴り続けていると下から徐々に詞葉のうめき声にも似た声が上がり始める。

 それを聞いた桂は獰猛な笑みを浮かべると同時に、ここぞとばかりに降り下ろす拳を速くし当たる間隔を短くしていく。


「い、たい 痛い、痛い」

「殴ってるからな、いい加減腕どけろ顔が殴りずらいだろ」

「痛い痛い痛い痛い」

「……しぶといな」

    

 さすがにいくら殴り続けても腕をどけない詞葉に桂は苛立ちを覚え、先ほどまでの小さくコツコツ当てるやり方から小さく当てるなかに全体重の乗った一撃を混ぜていくが、それでも詞葉は死に物狂いで桂の攻撃に耐え続ける。

   

「本当にしぶといな、この粘りは予想外だな」

「痛い痛い痛い痛い」

「先からそればっかだな、最初の威勢はどうした猪娘?」

「……消し炭にしてやる」

「できるものならやってみろ」

「退け!!」

「うぉ、何だ!!」

    

 詞葉が強く言葉を紡いだとたん桂の体が宙に浮き十メートルほど後方に吹き飛ばされる。

 体の上から桂がいなくなると詞葉はゆっくりと立ち上がり手にしていたが先ほどまで抜きたくても抜けなかった刀を鞘から抜き正眼に構えた。

    

「おいおい、今のはなんだよ。神楽じゃあ無いのは確かだが」

「痛かった、すっごく痛かった」

「ん?どうした痛みで可笑しくなったか」

    

 詞葉の始めとはまったく違う雰囲気に桂は背筋に冷たい汗を感じながら苦笑いを浮かべる。


「あーあ、久しぶりに見るなー。詞葉ちゃんのアレ」

「そうですね、まだ浸かりきってはないですが腰ぐらいまでは浸かっちゃてますね。ところで最近であの状態になったのは神子姫様が悪戯で薬を盛り過ぎた時でしたっけ?」

「違うよ梅ちゃんが夜這いで悪乗りが過ぎた時だよ」

「頼むからあんた等空気が壊れるから黙っててくれよ」


 桂が緊張感の満ちた空間の空気を破壊する会話注意するために一瞬外に意識がそれた瞬間、凛とした言葉が放たれた。

    

「燃えろ」

「熱っいな!!この猪娘人を突然燃やすなって親に教わらなかったのか!?」

「燃えろ」

「燃えるか!!」

    

 先ほどと同じ様に詞葉の術で体を燃やされ全身炎に包まれている桂は、先ほどから刀を正眼に構えたまま立っている詞葉に全身に炎を纏ったまま間合いを詰め拳で討ちあいを仕掛ける。

 しかし詞葉も直ぐ様斬り合いに応じるために行動に移す

  

「………刻んでやる」

「やってみろ」

   

 時に突き、時に薙ぎ、時に斬り下ろす、そんな刀での熾烈な攻めを桂は口元に笑みを浮かべながら、ほとんど上半身の動きのみで攻撃を捌いていく。

    

「……斬り刻んでやる」

「一回でも当ててから言えや」

   

 ひたすら攻めているのに掠りもしない。

そんな状況に気味の悪さを本能的に感じ取った詞葉は常人なら絶対にしないであろう普通なら悪手と呼ばれるような一手。

 そう、自ら相手より有利な間合いの深さを捨て素手の相手に対して体当たりの様な鍔迫り合いを仕掛けた。


 これには流石の桂も詞葉のこの動きは予想外だったのか僅かに反応が遅れたものの、膝を曲げ体制を低くし自らも前に出て刀に斬られないよう詞葉の腕の下から潜り込み下から抱き抱える様に受け止める。

 そして直ぐに密着状態のまま膝を伸ばし自分の肩の上に乗っている詞葉の両腕をそのまま万歳をするように頭上に上げさせ肩と頭でガッチリと固定をし残っている両腕できつく詞葉の全身を抱きそのまま絞め上げる。

   

「ふむ、意外と抱き心地が良いなお前」

「は…………なれろ!!」

「断る」

「退け!!離れろ!!失せろ!!…………アッチ行け!!」

「またかよ!!」


 全身を締め上げられ暴れる詞葉を必死で押さえ込んでいたが、またしても詞葉の術で吹き飛ばされてしまう。

 それどころか、一度目よりも遠い境界線ギリギリまで飛ばされながら見えた光景に桂は内心舌打ちをする。

 詞葉が拘束が解けると同時に神楽を舞い始めているのが、しかも先ほどとは比べ物にならぬ程の神気(かみき)を捧舞っているのがはっきり見えていた。


「かなりヤバいな、これは間に合いそうもない」

「馬鹿桂こんなところで私の百三十文を諦めるな!!

アンタならまだやれるわよ!!」

「応援ありがとよ、出来れば百三十文の事が無かったらもっと嬉しかったんだがな」

「ふふふ、明日はお夕飯が豪華になるなー」

「「「「まーる焼き!!まーる焼き!!肉も骨も残さず灰になれー!!」」」

    

 桂のピンチに会場全体がざわめきだし、同時に巫女達の丸焼きコールが木霊する。

 そんな会場の反応に流石の桂も気に入らないのか、それとも梅のお仕置きが怖いのか眉間に皺を寄せ一つ小さな溜め息をつくと、この決闘の勝敗を大きく左右する大きな覚悟を決めた。   


「チッ、こんな大勢の前では使いたくはなかったが百三十文と自分の身の安全の為だ……使うか」

「遅い………炎舞神楽五ノ段、丈炙じょうあぶり!!」

「私の百三十文!!」

「明日はお寿司かなー」

「「「「丸焼きキターーーーーーーー!!」」」」

     

 桂が動き出すより早く詞葉の神楽が舞い終わり詞が放たれた。


 その瞬間、桂を中心に直径三メートル高さは二十メートルを優に超えるほどの火柱が上がり同時に歓喜と悲鳴の大合唱もあがる。

 そんな中、神子姫と梅だけは一瞬喜びと悲痛の叫びを上げてたと同時に違和感に気付きやれやれとお互いに意味の違う溜め息をはく。


「これはいくら小細工しても防ぐのは無理な火力だからってそうきたかー」

「全く、初めから手があるなら使いなさいよ。

いちいち心配かけてそうゆう所も昔と少しも変わってないわね」


 しばらくして徐々に火柱が終息し視界が開けるに連れて見える、あるはずのない無傷の人影に会場に居た全ての人間が思わず息を飲み詞葉もその光景が信じられないのか大きく目を開き苦虫を潰す。

   

「『己己己己いきこみ』…………どうした自信たっぷりだった割には火力が弱いな

こんなんじゃあ、風呂も焚くことも出来ないぞ」

「ふざけないで下さい!!火力は確かに十分でした!!

あの火力で無傷なんて本当に人間ですか!?」

「足は付いてるから幽霊じゃあないのは、確かだな」

「この世かいなくなれ!!燃えろ!!」

「無駄だから止めとけ」

「燃えろ!!」


 この言葉で再び炎に包まれる桂だが中からは、俺は止めたからな と言う呑気な声が聞こえ、その言葉か更に詞葉の激情を引き出しその感情を現す様に炎は更に激しく燃えていく。


  五分ほど燃やし続け納まった炎の中から先ほどと何も変わらずに立たずむ桂の姿に言う事を聞かない子供を見るような、それでいて無駄だから止めろと雄弁に語る諭すような視線に詞葉は熱くなっていった。


「何で……何で燃えない!!お母さんに聞いた道理なら貴方は体の中に持つ神気の量が桁外れに低いから攻撃はおろか術を防いだりする(すべ)もほとんど持って無く大半を道具に頼ってるって、そしてその道具も万能じゃあなく限界値が有るからそれを超える術は肉体に通るって聞いてるのに………………コレはおかしいです、まるで手応えが無い!!貴方本当に人間ですか!?」

「長い説明ご苦労さん九割方正解だ」

「残り一割はなんだって言うんですか!?」

「種明かしすると思うか?…………しっかり悩め、そしてよく考えて動いて最後は騙されろ。

さて、今から右から殴るから痛いのが嫌なら避けるか受けるなりしろ」

「何を言ってるんですカハァ!!」


 言葉を遮る様に殴られ宣言通りに右の頬に激痛が走るが奇っ怪な事に桂のは燃やされた位置からは一歩も動かず腕の一本指一本足りとも動かしてはいない、それどころか立っている場所からは詞葉まで優に二十五メートルはある。

 間違っても拳の届く距離ではない事を詞葉の残り少ない理性が理解してしまい余計に混乱を生む。

そんな詞葉と対照的に無表情で未だにその場から動かずにただ立つだけの桂が追撃を告げる。


「次は下段を蹴るぞ。その後は顎を下からカチ上げるから、しっかり避けるか受けるかしろ」

「か、囲え!!」


詞葉は桂の攻撃宣告を聞いて直ぐに防御行動に移る。

 足元に小石を落としそれを起点に自分が入るだけの円状の境界線を引き自らを囲い攻撃に備えるが


「良い判断だ。無駄なことだがな」

「ッッッッ、なんで攻撃がとおるんですか!?」

「内緒だ」

   

 どういう訳か人一人が入るだけの空間しかないはずなの宣告道理太ももに潰されるような重い激痛が走り崩れ落ちた処に顎に跳ね上げる一撃が入れられ目から火花が散る視界の中、相変わらず動かずにその場に佇む桂の姿に無性に苛立ちがつのり残り少ない理性を蝕んでいく。


「賞賛に値する丈夫さだな。でも視界が歪んでまともに見えてないし体が鉛のように重くて今すぐに寝ちまいたい気分じゃあないか?」

    

 今の攻撃で脳震盪を起こし立ち上がることもできず地面に這い蹲りもがく詞葉を見つめながら桂は挑発をする。

  

「今回は初めて戦う相手で情報も不足してたし、よく分からない術を使われたのに猪娘おまえは頑張ったよ。

 だからもう……」

「うるさいです」

   

 先ほどまで地面でもがくだけだった詞葉が刀を地面に突き刺しそれを支えにふらつきながら、しかしゆっくりと確実に立ち上がり桂を睨み付ける。

   

「うるさいです……寝るのは彼方を負け犬部屋あちらに送った後にゆっくり寝ます」

「無理だ」

「できます」

「この状況でか?よく考えてモノを言えよ、お前はまだ俺が何をしてるかすら分かってないんだぞ」


 諭す桂の言葉に詞葉はハッキリとした口調で明確な意識を持って自分の考えを口にしながら懐から爪ほどの小さなオハジキを十つ取り出すと足元に一つ境界線の四隅に四つその間にまた四つと投げていく

その光景の意味を正しく理解した桂は心底呆れた顔と苦虫を潰したような顔を混ぜた、なんとも言えない表情を浮かべ、それに対して顔を上げた詞葉の表情はどこか振り切れた表情を浮かべる。


「分かってますよ、彼方が何をしてるのか分からない事を分かってます…………だから、私ごと全てを焼き払います!!

言っておきますがコレは私の創った術式でも火力だけはお母さんの御墨付きを貰った程の自信作ですから、先程までとは比べ物になりませんよ」


 対して詞葉は自分の中の何かを確認するように手に残っている最後のオハジキを強く握り込むと、そのまま大きく振りかぶって真上に高く投る。


「でわ、いきます勝負!!『火娯目(かごめ)火娯目(かごめ)』」


 詞葉の声が響いたとたん初めに投げた八つのオハジキがその場で回転を始めると直ぐに詞葉を中心に炎の線を引きながら高速で円を描くように周りを走り始め、まばたきをする間もしないうちに八つのオハジキは目で追える速度を優に超え一本の円を描く線になり次の瞬間九つのおはじきは詞葉の足元で回転するおはじきに向かって一気に集束をする。


「自爆技かよ!!これだから猪の相手は嫌なんガァァァー!!」

「早く灰になって下さアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁ!!」


 九つのおはじきはお互いを薄い膜で張り繋げており、集束したさい中にある物体、すなわち人間二人の形をハッキリと形取り密閉し封じ込め、その空間内を隙間なく炎が埋め尽くす。


「うわ~、相変わらず凄い火力熱そうだね。

これは今度こそ決まりかな?」

「えぇ、これは間違いなくコレで決着です。

次は無いですね」

「ちなみにお母さんは柱君が灰になってると予言するけど梅ちゃんの予想はどっちが残ってると思う?」

「…………おそらく詞葉が残ってると思いますが、これは賭け的にはどうなんですかね?」

「だよね~、困っちゃうよねー」


 そんな人二人が焼かれる壮絶な光景を、のほほんと苦い笑顔の神子姫と頭が痛そうな渋い顔の梅が炎を眺め中の状況をお互いに予測し合い同じ結論に至る。


 しばらくすると荒れ狂っていた中の炎が大人しくなり鎮火し、その中心地には神子姫と梅の結論道理に服のアチラコチラが焦げ肌が僅かに煤け呼吸の粗い詞葉だけだ残っていた。 

 その姿を確認した瞬間周りから喜びの歓声と落胆の悲鳴が合わさり山を震わせる程の大きな音となる。

 最初は闘いの疲労と炎の熱の後遺症から呆け現状を理解出来なかった詞葉だったが、その音の意味を全身で感じ己が勝った事を確信し安堵の笑みを浮かべる。

   

「勝った、ザまぁみろ私の勝ちで決着です」

    

 満身創痍の詞葉は刀を杖代わりにし崩れ落ちそうになる体を支えながら自分の耳にしか届かない程の小さな声で呟く。

    

「負け犬部屋でゆっくり睡眠でも取って起きたときに、私に闘いを挑んだ事を心の底から後悔するといいです」

  

 心に溜まっていた鬱憤を言い終わると支えにしていた刀を鞘に納めそれを右手に持ち天高く頭上に掲げ周りの歓声にも負けない大声で勝ち名乗りを行う。

    

「私の勝ちです!!どうだ参ったか!!」  


 するとそれに応える様に騒がしかった歓声が一段と大きくなり辺りを包む。

そんな中、神子姫と梅はお互いに渋い顔をして詞葉の勝ち名乗りを見つめる。

  

「あー、不味いかもコレはダメかもしれない」

「そうですね。コレは間違えなく保たないですね」

「大丈夫まだ望みはある……多分。具体的には後七秒以内に境界線の外に出れば大丈夫」

「それは無理だと思いますよ。後四秒ですし」

「だよねー、そこから早く出てってお願いしたいけどこの歓声で声は届かないし……後二秒、一秒、零」

「間に合わなかったか、この結果は最悪だわ」

「ねー、コレは賭けはどうなるのかな?」

   

 神子姫と梅は天を仰ぐと同時に先ほどまで勝ち名乗りをしていたはずの詞葉の左右の脇下から突然大量の血が吹き出し崩れ落ちる。

 

 観衆は顔から地面に倒れ込んむ詞葉を見て歓声が目の前で起きた事が理解できない疑問の声に変わり、倒れていた詞葉が消えていることに気が付くと今回の決闘と賭けの決着を悟り辺りから声が消え薪の爆ぜる音のみが響いていた。

  

   

    

 後日談だが賭けの結果は引き分けの大穴に賭けていた年端もいかない少女の一人勝ちとなり翌日の朝方その元に一人の男が訪れ、しばらくひたしげに会話をしたのち何かを受け取ったのは誰も知らない当事者達だけの秘密であり、詞葉を部屋でお仕置きしていた神子姫や梅を含めた詞葉に賭けていた大勢の者には知る術は無い事実である。

   

「勝負に引き分けた弱い娘は」

「「「お仕置き!!」」」

「私達のお金を無駄にした娘もー」

「「「お仕置き!!お仕置き!!」」」

「「とりあえず八つ当たりは解ってるけど」」

『お仕置きだーーーーーーーーーー!!』

「今日は本当に厄日です!!」

後愛読ありがとうございました。

次回もお楽しみ下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ