詩小説へのはるかな道 第56話 初々しさとは何でしょう
原詩:初々しさとは何でしょう ー 失くしたくない詩
初々しさってね
きっと、まだ世界が真っ白な雪原で
最初の一歩を踏み出すときに
ためらいと期待が同じくらい胸に混ざっている――
そんな息づかいのことなんだ
それはね
誰かの優しさにふれた瞬間
思わず頬に広がる
淡い桃色のぬくもり
裏を読もうともしないで
計算も駆け引きも知らないまま
ただ「ありがとう」をまっすぐに投げられる――
その壊れやすい透明な力
傷つくことを知らないんじゃなくて
傷つくことを恐れるよりも
目の前の真実を信じたいと願う
そんな勇気のかたち
ああ 初々しさとは――
人が人を 心から人として見ているその瞬間に
静かに降りてくる祝福のようなもの
そしてね
失くしたあとにしか気づけないんだ
かつて自分が持っていた
いちばん美しい子どもの心の中にあるのだと
だから――
失くさないようにしたいんだ
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詩小説: 初々しさとは何でしょう
「ねえ、初々しさって、どうしてそんなに大事なの?」
公園のベンチで、隣に座った大学生の亜由美が問いかけてきた。
冬の陽射しは弱いけれど、落ち葉の匂いが柔らかく漂っていた。
「初々しさを失うと、人を人と思わなくなるんだよ」
僕は、手に持った紙コップのコーヒーを見つめながら答えた。
「人を人と思わなくなるって……どういうこと?」
「例えば、店員さんをただの機械みたいに扱ったり、友達を便利な道具みたいに思ったり。そういう瞬間から、堕落は始まるんだ」
亜由美は少し考えてから笑った。
「でも、そんなの隠せるんじゃない? 表面だけ取り繕えば」
「隠そうとしても、隠せなくなるんだよ。目の奥に、もう人を人と思わなくなった影が見えるんだ」
亜由美は落ち葉を一枚拾い、ひらひらと揺らした。
「じゃあ、初々しさってどうやって守ればいいの?」
「簡単だよ。人を人として見ること。『ありがとう』をちゃんと言うこと。小さなことに驚いたり、笑ったりすること」
「ふふ、子どもみたいだね」
「そう。子どもみたいでいいんだ。初々しさは、子どもの心の延長線上にあるんだから」
二人の前を、小さな子どもが鳩を追いかけて走り抜けていった。
鳩は慌てて飛び立った。
亜由美はその様子を見て、笑みをこぼした。
「ね、今の私、初々しかった?」
「うん。とても」
亜由美は照れくさそうに肩をすくめた。
「じゃあ、これからも初々しさを忘れないようにしようっと。あなたも一緒にね。」
「もちろん」
二人は笑い合い、紙コップの温もりを分け合うように手を寄せた。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:初々しさ
冬の陽に
落ち葉の匂い やわらかく
問いかける声 ベンチに揺れて
初々しさ
失えばきっと 人の目に
影が差しこむ 奥の奥まで
紙コップ
見つめる僕の 沈黙に
堕落のはじまり そっと語られ
「隠せるよ」
笑う亜由美の 目の奥に
まだ残ってる 人を思う灯
落ち葉ひらり
拾って揺らす その仕草
子どものような 問いが生まれる
「ありがとう」
驚き笑う その瞬間
初々しさは 守られてゆく
鳩を追う
子どもの足音 駆け抜けて
冬の空にも 笑みがこぼれる
「今の私
初々しかった?」と肩すくめ
紙コップ越し ぬくもり分ける
忘れずに
いようね、ずっと この気持ち
人を人とし 見るまなざしを
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




