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最弱魔法×ロボット工学=世界最強の機巧使い 〜最弱魔法は歯車で最強に変貌──異世界機巧戦記〜  作者: 宵町あかり


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第28話 新時代の歯車

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

「最弱魔法×ロボット工学=世界最強の機巧使い」最終話をお届けします。


F級という最弱の判定から始まった物語も、ついに最終回を迎えました。

新女王の即位、王立技術研究院の設立、そして新時代の幕開け――

カイトと仲間たちが創り上げた未来をご覧ください。


最後まで技術と魔法、そして仲間との絆の物語をお楽しみください!

機械騎士の起動成功から一ヶ月。


ルーネベルク技術学校は、かつてない活気に満ちていた。中庭には第二世代機の試作品が並び、実習棟からは絶え間ない作業音が響いている。生徒数は開校時の五倍に達し、新たな校舎の建設も始まっていた。


「調整完了です!」


ロバートの声が響く。彼は今や、機械騎士開発チームの中核メンバーとなっていた。F級の念動力しか持たない少年が、技術によって自分の道を切り開いたのだ。


カイトは工房の窓から、その光景を眺めていた。わずか数ヶ月前まで、ここは古い倉庫に過ぎなかった。それが今では、新時代の象徴となっている。


「感慨深いな」


背後から声がかけられる。振り返ると、アレクサンダーが立っていた。


「一ヶ月前の起動実験が、まるで昨日のことのようだ」


「でも、確実に前進してる」


カイトが微笑む。


「第二世代機の開発も順調だし、国際協力の話も進んでいる」


二人は並んで、実習棟へと向かった。


◆◇◆


大講堂では、特別講義が行われていた。


講師は、セレスティア・アークメイジ。かつて技術を否定していた彼女が、今では魔法と技術の融合について語っている。


「千年間、私たちは魔法の優位性を信じてきました」


セレスティアの声が、静まり返った講堂に響く。


「しかし、それは停滞でもあった。技術という新しい風が、私たちに変化の必要性を教えてくれたのです」


生徒たちは真剣に聞き入っている。F級市民、魔法使い、職人、商人の子弟。様々な背景を持つ若者たちが、同じ教室で学んでいる。


「魔法と技術は、対立するものではありません」


セレスティアは、手のひらに小さな炎を灯した。


「この炎も、機械の動力として使えば、新たな価値を生み出せる」


そう言って、彼女は教壇に置かれた小型の蒸気機関に炎を注いだ。機関が動き出し、接続された歯車が回転を始める。


「これが、融合の第一歩です」


生徒たちから感嘆の声が上がった。


マリアンヌが手を挙げた。


「セレスティア様、質問があります」


「どうぞ」


「私のようなF級でも、魔法と技術の融合に貢献できるでしょうか?」


セレスティアは優しく微笑んだ。


「もちろんです。むしろ、F級の方々こそが重要な役割を担います」


彼女は説明を続ける。


「強大な魔力を持つ者は、往々にして力に頼りがちです。しかし、F級の方々は、工夫と努力で補う術を知っている。その経験こそが、新しい技術を生み出す源になるのです」


マリアンヌの目に、希望の光が宿った。


◆◇◆


午後、王城から使者が訪れた。


エリザベス王女からの召喚状だった。


カイトは仲間たちと共に、王城へと向かった。


謁見の間では、エリザベス王女が待っていた。一ヶ月後に控えた即位式の準備で忙しいはずだが、その表情は穏やかだった。


「来てくれて感謝します」


王女が口を開く。


「実は、即位式で使用する王冠について、お願いがあるのです」


カイトたちは顔を見合わせた。


「技術と魔法の融合を象徴する、新しい王冠を作っていただきたい」


エリザベスの提案は、驚くべきものだった。


「千年使われてきた伝統の王冠ではなく、新時代を象徴する王冠を」


「それは...光栄ですが、責任重大です」


カイトが慎重に答える。


「伝統を重んじる貴族たちから、反発があるのでは?」


エリザベスは首を振った。


「変化を恐れていては、前に進めません。私の治世は、新しい時代の始まりとなるべきです」


彼女の決意は固かった。


「お引き受けします」


カイトが頭を下げると、エリザベスは安堵の表情を見せた。


「期待しています」


◆◇◆


工房に戻ったカイトたちは、早速設計を始めた。


「王冠か...どんなデザインにする?」


エドガーが悩む。


「伝統的な要素も残しつつ、技術の要素を加える必要がある」


リゼが指摘する。


「歯車のモチーフを使うのはどうだ?」


ハーゲンの提案に、皆が頷いた。


「でも、ただの飾りじゃ意味がない」


カイトが考え込む。


「機能的な要素も必要だ」


その時、アレクサンダーが意外な提案をした。


「魔力増幅機能を持たせるのはどうだろう」


「魔力増幅?」


「王冠に魔法陣を刻み、着用者の魔力を増幅する。同時に、機械的な機構で制御の精度を上げる」


それは、まさに技術と魔法の完璧な融合だった。


「素晴らしいアイデアだ!」


カイトが目を輝かせる。


設計作業は夜通し続いた。伝統的な王冠のフォルムを基本としながら、精巧な歯車機構を組み込む。魔法陣は、セレスティアの協力を得て、最も効率的な配置を決定した。


◆◇◆


一週間後、試作品が完成した。


黄金と魔力強化金属を組み合わせた王冠は、光を受けて七色に輝いていた。中央には大きな魔石が据えられ、その周りを小さな歯車が取り囲んでいる。


「美しい...」


リゼが息を呑む。


「でも、機能はどうだ?」


ハーゲンが実用面を確認する。


テストのため、アレクサンダーが王冠を被った。


「これは...すごい」


彼の周囲に、強力な魔力場が展開される。しかし、それは暴走することなく、完璧に制御されていた。


「魔力が30%増幅されている。しかも、制御精度は通常の倍以上だ」


セレスティアも驚きを隠せない。


「千年の歴史の中で、これほど完璧な魔法具は見たことがない」


◆◇◆


王冠の完成を聞きつけて、多くの人々が工房を訪れた。


貴族たちは最初、新しい王冠に懐疑的だった。しかし、その美しさと機能性を目の当たりにすると、態度を改めざるを得なかった。


「これが、新時代の象徴か」


老貴族の一人が感慨深げに呟く。


「技術と魔法、新と旧、すべてが調和している」


F級市民たちも、誇らしげに王冠を見つめていた。


「俺たちの仲間が作った王冠を、女王陛下が被るんだ」


「技術が、王国の象徴になる」


その光景を見て、カイトは深い感慨を覚えた。


転生してから、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。F級という最弱の判定、周囲からの蔑視、数々の困難。


しかし、諦めなかった。


技術を信じ、仲間を信じ、可能性を信じ続けた。


そして今、その努力が実を結ぼうとしている。


◆◇◆


即位式の前日。


エリザベス王女が、完成した王冠を受け取りに来た。


「素晴らしい出来です」


彼女は王冠を手に取り、じっくりと眺めた。


「これを被ることで、私は新時代の女王としての決意を示せます」


エリザベスはカイトたちを見回した。


「明日の即位式には、皆さんも特別席で参列してください」


「しかし、私たちは...」


「身分は関係ありません」


エリザベスがきっぱりと言う。


「新時代を作った功労者として、当然の権利です」


◆◇◆


即位式当日。


王都は祝祭の雰囲気に包まれていた。街路には花が飾られ、人々は晴れ着を身にまとっている。


大聖堂には、国内外から多くの要人が集まっていた。隣国エレメンティアからも、第二王子が技術交流の申し出と共に参列している。


カイトたちは、最前列の特別席に座っていた。すぐ隣には、マリアンヌをはじめとするF級市民たちも招待されている。千年の歴史で初めて、F級市民が王室行事の特別席に座ったのだ。


荘厳な音楽が流れ始め、エリザベスが入場してきた。


純白のドレスに身を包んだ彼女の頭上には、カイトたちが作った新しい王冠が輝いている。


司式の枢機卿が、伝統的な文言を読み上げる。しかし、エリザベスはそれを遮った。


「新しい誓いを立てさせてください」


会場がざわめく中、エリザベスは続けた。


「私は誓います。魔法と技術、両方の発展に尽力することを」


彼女の声が、大聖堂に響き渡る。


「すべての民に、身分や才能に関わらず、平等な機会を提供することを」


そして、最後に。


「千年の停滞を破り、新たな千年の繁栄を築くことを」


エリザベスが王冠に手を当てると、黄金の光が放たれた。それは魔力と技術が完璧に調和した、新時代の光だった。


轟くような拍手が、大聖堂を満たした。


◆◇◆


即位式の後、祝賀会が開かれた。


カイトは、多くの人々から祝福の言葉をかけられた。各国の使節たちも、技術協力の申し出を次々と持ちかけてくる。


「忙しくなりそうだな」


エドガーが苦笑する。


「でも、嬉しい悲鳴よ」


リゼが微笑む。


「世界中が、技術に注目している」


ハーゲンが満足そうに頷いた。


「これからが、本当の始まりだ」


その時、新女王エリザベスが壇上に立った。


「皆様に、重要な発表があります」


会場が静まる。


「本日をもって、王立技術研究院の設立を宣言します」


どよめきが起こる。


「院長には、カイト・ギアハート殿を任命します」


カイトは驚きのあまり、言葉を失った。


「また、副院長として、セレスティア・アークメイジ殿、アレクサンダー・フォン・ライトハルト殿を任命します」


技術と魔法の最高権威が、一つの組織の下に集うことになったのだ。


「これより我が国は、技術と魔法の融合によって、世界をリードしていきます」


エリザベスの宣言に、万雷の拍手が起こった。


◆◇◆


夜、カイトは一人で機械騎士の格納庫にいた。


初号機は静かに佇んでいる。月光を受けて銀色に輝くその姿は、新時代の守護者のようだった。


「ここまで来られた」


カイトが呟く。


「でも、まだ先は長い」


第二世代機、第三世代機の開発。空を飛ぶ機械、海を渡る船、そして...


「いつか、宇宙にも」


夢は尽きない。


足音が近づいてきた。リゼ、エドガー、ハーゲン、そしてアレクサンダーとセレスティア。仲間たちが集まってきた。


「一人で感傷に浸るなんて、らしくないぞ」


アレクサンダーが笑う。


「みんなで祝おう」


リゼが優しく言う。


「新時代の始まりを」


エドガーが酒瓶を取り出した。


「乾杯だ」


ハーゲンも珍しく笑顔を見せる。


六人は、機械騎士の前で杯を掲げた。


「技術と魔法の未来に」


「すべての人の可能性に」


「そして、これからも続く冒険に」


杯が触れ合う澄んだ音が、格納庫に響いた。


◆◇◆


翌朝、技術学校は通常通り授業が始まった。


しかし、何かが違っていた。生徒たちの目が、これまで以上に輝いている。


「先生、王立技術研究院では何を研究するんですか?」


若い生徒が興奮気味に尋ねる。


「すべてだよ」


カイトが答える。


「機械、魔法、そしてその融合。可能性は無限大だ」


別の生徒が手を挙げた。


「私たちも、いつか研究員になれますか?」


「もちろん。努力次第で、誰にでもチャンスはある」


その言葉に、生徒たちの目がさらに輝いた。


実習の時間。


生徒たちは、これまで以上に熱心に機械と向き合った。F級の生徒も、魔法使いの生徒も、皆が同じ目標に向かって努力している。


マリアンヌは、後輩たちを指導していた。


「焦らないで。一つ一つ、確実に」


彼女の優しい指導に、若い生徒たちが頷く。


ロバートは、新型機構の設計に没頭していた。


「これなら、出力を倍にできるはずだ」


彼の才能は、日に日に開花している。


◆◇◆


昼過ぎ、国際使節団が到着した。


エレメンティア、ノーザリア、サウザンド...各国から技術者と魔法使いが派遣されてきたのだ。


「技術交流協定の締結に来ました」


エレメンティアの代表が告げる。


「我が国の水魔法と、貴国の技術を組み合わせれば、砂漠を緑地に変えることも可能でしょう」


ノーザリアの代表も続く。


「風魔法と機械の融合で、新しい輸送手段を開発したい」


各国が、技術の可能性に期待を寄せていた。


カイトは、すべての申し出を前向きに検討することを約束した。


「技術に国境はありません。世界中で協力すれば、もっと素晴らしいものが生まれるはずです」


◆◇◆


夕方、カイトは屋上から王都を眺めていた。


街のあちこちから、機械の音が聞こえる。小さな工房が増え、技術者を目指す若者が増えている。


空には、試験飛行中の飛行機械が舞っている。まだ不安定だが、いずれは実用化されるだろう。


遠くには、建設中の第二工場が見える。機械騎士の量産化に向けた準備が、着実に進んでいる。


「変わったな」


セレスティアが隣に立った。


「一年前には、想像もできなかった光景だ」


「でも、これがあるべき姿だったのかもしれません」


カイトが答える。


「千年の停滞を破るには、技術という刺激が必要だった」


セレスティアは頷いた。


「私は千年、間違っていた。でも、今からでも遅くない」


彼女の表情には、新たな決意が宿っていた。


「共に、新しい千年を作りましょう」


二人は握手を交わした。かつての敵対関係が嘘のような、固い絆で結ばれていた。


◆◇◆


その夜、王都の広場で祝祭が開かれた。


新時代の幕開けを祝う、市民たちの自発的な祭りだった。


広場の中央には、機械仕掛けの噴水が設置されている。歯車が回るたびに、水が美しい形を描いて舞い上がる。


屋台では、機械で作った菓子が売られていた。均一で美しい形の飴細工に、子供たちが目を輝かせている。


特設ステージでは、技術学校の生徒たちが自作の機械楽器で演奏を披露していた。歯車とバネが生み出す、不思議な音色が夜空に響く。


カイトたちも、市民に混じって祭りを楽しんでいた。


「楽しそうね」


リゼが微笑む。


「一年前は、こんな光景は夢物語だった」


「でも、現実になった」


エドガーが誇らしげに言う。


「俺たちが作った現実だ」


ハーゲンも満足そうに頷いた。


「これからも、もっと面白いことが起きるだろう」


アレクサンダーが空を見上げる。


「いつか、あの星々にも手が届く日が来るかもしれない」


「必ず来るさ」


カイトが力強く言った。


「技術と魔法があれば、不可能はない」


◆◇◆


祭りの最後に、花火が打ち上げられた。


しかし、これは普通の花火ではなかった。魔法と技術を組み合わせた、新しい花火だった。


炎魔法で色彩を作り、機械で精密に制御する。その結果、夜空に巨大な絵が描かれた。


歯車と魔法陣が組み合わさった、新時代の紋章。


それは、技術と魔法が手を取り合う未来を象徴していた。


群衆から、歓声が上がる。


「万歳! 新時代万歳!」


「技術と魔法に、万歳!」


カイトは、その光景を見ながら思った。


これが、自分が作りたかった世界だ。


誰もが可能性を持ち、誰もが輝ける世界。


技術が魔法と共に在り、新しい価値を生み出す世界。


まだ完璧ではない。課題も山積みだ。


しかし、確実に前進している。


一歩一歩、着実に。


「さあ」


カイトが仲間たちに呼びかける。


「明日も忙しくなるぞ」


「望むところだ」


皆が笑顔で答える。


新時代の歯車は、今日も、明日も、力強く回り続ける。


止まることなく、前へ、前へと。


未来という名の、まだ見ぬ地平線に向かって。

最終話まで読んでいただき、本当にありがとうございました!


F級の念動力しか持たない主人公カイトが、技術によって世界を変える物語。

仲間との出会い、敵との対決、そして技術と魔法の融合――

すべてが新時代の歯車となって、力強く回り始めました。


マリアンヌ、リゼ、エドガー、ハーゲン、アレクサンダー、セレスティア...

多くのキャラクターたちも、それぞれの道を歩み始めています。


これで「最弱魔法×ロボット工学=世界最強の機巧使い」は完結となりますが、

カイトたちの冒険は、きっとまだまだ続いていくことでしょう。


機械騎士の量産化、国際技術交流、そしていつかは宇宙へ――

新時代の物語は、まだ始まったばかりです。


長い間、応援していただき本当にありがとうございました。

皆様からの感想、コメント、評価、すべてが執筆の励みになりました。


また新しい物語でお会いできることを楽しみにしています。


技術と魔法が紡ぐ、新たな時代に乾杯!


作者:宵町あかり

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