第23話 開校の朝
ルーネベルク技術学校の開校式当日。
まだ夜明け前だというのに、カイトは大講堂に立っていた。昨日まで改装作業が続いていた空間は、見違えるほどに生まれ変わっている。磨き上げられた床板が、ランプの光を柔らかく反射していた。
「早いな」
背後から声がかけられる。振り返ると、エドガーが立っていた。彼もまた、眠れなかったらしい。
「緊張してるのか?」
「少しね」
カイトは苦笑した。
「でも、それより期待の方が大きい」
エドガーは講堂の中央に歩み寄り、整然と並べられた椅子を見渡した。百二十脚。当初の予定より二十脚増やしたが、それでも足りるかどうか。
「信じられない」
エドガーが呟く。
「二週間前は、ただの古い倉庫だった」
確かに、その変化は劇的だった。
西側の座学棟には、三つの教室が完成している。それぞれに黒板と、リゼが描いた精密な方眼。東側の実習棟には、エドガーが設計した作業台が二十台。工具棚には、職人たちが寄贈してくれた基本的な道具が並んでいる。
二階には図書室と、小さいながらも実験室。まだ蔵書は少ないが、マーカスが商人ギルドの資料の一部を寄贈してくれた。技術書は皆無に等しいが、それはこれから自分たちで書いていくことになるだろう。
「おはよう」
リゼとハーゲンも現れた。二人とも、いつもより早い。
「準備は?」
リゼが確認する。彼女の手には、分厚い書類の束。入学希望者のリスト、カリキュラムの原案、時間割、教材の配布計画。
「教材は昨夜のうちに全部確認した」
ハーゲンが報告する。
「歯車のサンプル、基本工具、製図用紙、念動力測定器...全て揃ってる」
窓の外が、ゆっくりと明るくなり始めた。
朝焼けが、新しく取り付けられた看板を照らし出す。
『ルーネベルク技術学校』
不器用な彫りだが、それゆえに温かみがある文字。F級市民たちが心を込めて作った、希望の象徴。
◆◇◆
開校式の二時間前。
続々と人々が集まり始めた。
最初に現れたのは、マリアンヌだった。彼女は新調したらしい、質素だが清潔な服を着ている。緊張した面持ちで、何度も襟元を直していた。
「早いですね」
カイトが声をかけると、マリアンヌは恥ずかしそうに笑った。
「寝られなくて...初めて学校に通うなんて」
彼女の目に、涙が光る。
「F級の私が、何かを学べる日が来るなんて」
その言葉に、カイトも胸が熱くなった。
これが、技術学校の意味なのだ。誰もが学び、成長できる場所。身分や才能に関係なく、努力する者すべてに開かれた扉。
次に現れたのは、ロバートだった。
商人ギルド長の息子は、父親のマーカスと共にやって来た。マーカスの表情は複雑だったが、息子の肩に手を置いて言った。
「しっかり学べ。そして、商売にも活かせ」
「はい、父上」
ロバートの声は、決意に満ちていた。
続いて、職人たちが到着する。
ガブリエルを筆頭に、様々な分野の職人たち。彼らの多くは、改装作業を手伝ってくれた者たちだった。
「俺たちも生徒として参加させてもらう」
ガブリエルが言う。
「技術ってやつを、基礎から学び直したい」
年配の職人が、若者たちと共に学ぼうとする姿勢。それは、この学校が年齢も超えた学びの場であることを示していた。
そして、意外な人物が現れる。
アレクサンダー・フォン・ヴァイスハウプトだった。
A級魔法使いは、魔導学院の制服ではなく、動きやすい作業着を着ていた。その姿に、周囲がざわめく。
「約束通り、来た」
アレクサンダーは、カイトに向かって言った。
「第一期生として、技術を学ばせてもらう」
その瞬間、空気が変わった。
A級魔法使いが本当に入学する。その事実が、技術学校の価値を何よりも雄弁に物語っていた。
◆◇◆
開校式の時間が近づくにつれ、人々の数はどんどん増えていった。
F級市民、職人、商人、そして下級貴族。立場も年齢も性別も異なる人々が、一つの場所に集まっている。
大講堂は満席となり、立ち見の人々で溢れた。
カイトは舞台袖から、その光景を見つめていた。これほど多くの人が、技術に期待を寄せている。その重みが、ずしりと肩にのしかかる。
「時間です」
リゼが告げた。
カイトは深呼吸をして、舞台に上がった。
瞬間、会場が静まり返る。すべての視線が、一人の若い技術者に注がれた。
マーカスが、商人ギルド長として開会の挨拶を始める。
「本日ここに、ルーネベルク技術学校の開校を宣言します」
彼の声が、講堂に響き渡る。
「この学校は、新しい時代の象徴です。魔法だけが力ではない。技術もまた、人々を豊かにする力となる」
マーカスは、集まった人々を見渡した。
「そして何より、この学校は開かれています。身分も、年齢も、性別も、魔法の才能も関係ない。学ぶ意欲さえあれば、誰もが歓迎される」
拍手が湧き起こった。
特にF級市民たちからの拍手は、雷鳴のように大きかった。
次に、エリザベス王女が壇上に上がる。
王家の正装に身を包んだ王女は、威厳と優雅さを併せ持っていた。
「王家を代表して、祝辞を述べさせていただきます」
エリザベスの澄んだ声が響く。
「技術と魔法は、対立するものではありません。むしろ、手を取り合うことで、より大きな力となる」
彼女は、アレクサンダーの方を見た。
「その証拠に、優秀な魔法使いも、この学校で学ぼうとしています」
エリザベスは続けた。
「父王も、この学校に大きな期待を寄せています。技術が、すべての民を幸せにする力となることを」
再び大きな拍手。
そして、いよいよカイトの番だった。
彼は壇上の中央に立ち、深呼吸をした。
「皆さん、今日は来てくれてありがとう」
カイトの第一声は、形式張った挨拶ではなかった。
「僕は、難しい演説は得意じゃない。だから、素直な気持ちを話させてください」
会場が、温かい笑いに包まれる。
「技術は、特別な才能を必要としません」
カイトは、一人一人の顔を見ながら話した。
「必要なのは、好奇心と、手を動かす勇気だけ」
彼の言葉に、多くの人が頷いた。
「失敗を恐れないでください。僕も、数え切れないほど失敗してきました」
カイトは、実習棟の方を指差す。
「あそこにある機械の一つ一つが、失敗の積み重ねでできています」
彼の声に、情熱が宿る。
「でも、失敗は無駄じゃない。失敗から学び、改良し、また挑戦する。それが技術の本質です」
カイトは、最前列に座るマリアンヌを見た。
「F級の方も、恐れないでください。技術に身分は関係ありません」
次に、アレクサンダーを見る。
「魔法使いの方も、偏見を持たないでください。技術と魔法は、きっと素晴らしい相乗効果を生むはずです」
そして、カイトは高らかに宣言した。
「ルーネベルク技術学校は、すべての学びたい人のために開かれています。共に学び、共に成長し、新しい時代を作っていきましょう!」
瞬間、割れんばかりの拍手と歓声が湧き起こった。
◆◇◆
しかし、その歓声が収まりかけた時。
大講堂の扉が、音もなく開いた。
そこに立っていたのは、銀髪の美しい女性だった。
セレスティア・アズールヴァルト。
王立魔導学院のグランドマスターにして、千年の魔法秩序の守護者。
彼女の登場と共に、講堂の温度が下がったような錯覚を覚える。青い瞳は氷のように冷たく、その美貌は彫像のように完璧で、そして恐ろしいほどに無機質だった。
黒いドレスを纏った彼女の周囲に、青白い魔力が薄く立ち上る。それは意図的な威圧ではなく、ただ存在するだけで周囲を圧倒する、圧倒的な力の証だった。
「お邪魔をして、申し訳ありません」
セレスティアの声は、鈴を転がすように美しかった。しかし、その美しさの裏に、刃物のような鋭さが潜んでいる。
「開校式に、お祝いを述べに参りました」
彼女は優雅に歩を進める。一歩ごとに、床に魔法陣の紋様が浮かび上がり、すぐに消える。まるで、彼女の通る道を祝福しているかのように。
人々は息を呑んで、その姿を見つめていた。
F級市民たちは恐怖に震え、職人たちは警戒の色を隠せない。商人たちですら、その威圧感に圧倒されている。
エリザベス王女が、警戒心を露わにした。
「セレスティア様、お越しいただけるとは」
「王女殿下」
セレスティアは、形式的な礼をした。しかし、その動作にも優雅さがあった。
「技術とやらに、王家が興味を示されていると聞きました」
彼女の視線が、カイトに向けられる。
「これが、噂のカイト・ベルクマンですね」
セレスティアは、カイトの前に立った。
身長はカイトとほぼ同じだが、纏う雰囲気があまりにも違う。千年の歴史と伝統を背負う者と、新しい時代を切り開こうとする者。
「はじめまして」
カイトは、怯むことなく挨拶した。
「光栄です、グランドマスター」
セレスティアの唇が、かすかに歪んだ。笑みとも、侮蔑ともつかない表情。
「技術、ですか」
彼女は講堂を見回した。
「なかなか...興味深い試みですね」
その言葉には、明らかな皮肉が込められていた。
「魔法を持たない者たちが、何かを成し遂げようとする」
セレスティアは、マリアンヌたちF級市民を見た。彼らは、その視線に射すくめられたように動けない。
「勇気は認めましょう」
彼女の声が、冷たく響く。
「しかし、勇気だけでは現実は変わりません」
セレスティアは、優雅に手を上げた。
瞬間、講堂全体が青白い光に包まれる。
彼女の指先から放たれた魔力が、天井に巨大な魔法陣を描いた。複雑な紋様が、まるで生きているかのように蠢き、変化していく。
「これが、千年かけて築かれた魔法の力」
セレスティアの声に、絶対的な自信が宿る。
「技術で、これに匹敵するものが作れますか?」
挑発的な問いかけだった。
しかし、カイトは落ち着いて答えた。
「今すぐには無理でしょう」
意外な返答に、セレスティアが眉を上げる。
「でも」
カイトは続けた。
「千年前、魔法もまた、小さな発見から始まったはずです」
彼は、実習棟の方を指差す。
「あそこにある歯車も、最初は単純な円盤でした。それが組み合わさり、複雑な機構となり、やがて大きな力を生み出す」
カイトの声に、静かな確信が宿る。
「技術も同じです。今は小さな一歩かもしれない。でも、皆で学び、改良し、発展させていけば、いずれは...」
「いずれは、魔法を超えると?」
セレスティアの声が、剃刀のように鋭くなった。
「超えるのではありません」
カイトは首を振った。
「共存するんです。技術と魔法が手を取り合えば、もっと素晴らしい未来が」
「甘い」
セレスティアが断じた。
「力には序列がある。強い者が弱い者を導く。それが千年変わらぬ真理」
彼女の周囲に、さらに強い魔力が集まる。
「技術など、所詮は紛い物。魔法の前では無力」
その時、アレクサンダーが立ち上がった。
「それは違う」
A級魔法使いの言葉に、セレスティアが振り返る。
「アレクサンダー・フォン・ヴァイスハウプト」
彼女の声に、失望が滲む。
「貴方ほどの魔法使いが、なぜこのような場所に」
「学ぶためです」
アレクサンダーは堂々と答えた。
「技術には、魔法にはない可能性がある。それを、この目で確かめたい」
セレスティアの表情が、初めて動揺を見せた。
しかし、すぐに冷たい笑みを浮かべる。
「そうですか」
彼女は踵を返した。
「では、見せていただきましょう。その技術とやらの実力を」
セレスティアは、講堂の出口へと向かいながら言った。
「近いうちに、技術と魔法の公開対決を提案します」
その言葉に、会場がざわめいた。
「逃げることは許しません」
彼女は振り返らずに続ける。
「技術の限界を、すべての人に見せてあげましょう」
そして、セレスティアは立ち去った。
残されたのは、重い沈黙だった。
◆◇◆
セレスティアが去った後、カイトは改めて壇上に立った。
「皆さん」
彼の声は、落ち着いていた。
「今の出来事で、不安になった方も多いでしょう」
確かに、人々の表情には動揺が見える。
「でも、恐れることはありません」
カイトは力強く言った。
「挑戦を受けて立ちます。技術の可能性を、証明してみせます」
彼の決意に、少しずつ人々の表情が和らいでいく。
「それに」
カイトは微笑んだ。
「今日は開校式です。新しい学びの第一歩。それを祝いましょう」
エドガーが声を上げた。
「そうだ! せっかくの記念日だ」
リゼも続く。
「最初の授業を、始めましょう」
ハーゲンまでもが、珍しく前向きな言葉を発した。
「敵を知ることも、大切な学びだ」
雰囲気が、少しずつ明るくなっていく。
マーカスが立ち上がった。
「カイト君の言う通りだ。今日は祝うべき日だ」
商人ギルド長の言葉に、人々が頷く。
「それに、セレスティア様の挑戦は、むしろ好機かもしれない」
マーカスの目が光る。
「技術の力を、公に証明する機会になる」
エリザベス王女も同意した。
「王家も、全面的に支援します」
彼女の声に、決意が宿る。
「セレスティア様には、技術の価値を理解していただかなければ」
次第に、人々の間から声が上がり始めた。
「そうだ、やってやろう」
「技術の力を見せてやる」
「俺たちも協力する」
不安が、逆に団結力を生んだ。
カイトは、その光景に胸を熱くした。
◆◇◆
開校式の後、いよいよ最初の授業が始まった。
四つの教室で、同時に授業が行われる。
カイトが担当する機械工学の基礎には、三十人ほどが集まった。その中には、マリアンヌ、ロバート、そしてアレクサンダーの姿もある。
「今日は、歯車の原理から始めます」
カイトは、手に持った二つの歯車を見せた。
「これが、すべての機械の基本です」
彼は、歯車を噛み合わせて回転させる。
「一つが回れば、もう一つも回る。力の伝達の、最も単純で、最も確実な方法」
生徒たちが、真剣な眼差しで見つめている。
「では、実際に触ってみましょう」
カイトは、用意していた歯車のセットを配り始めた。
マリアンヌは、恐る恐る歯車を手に取った。
金属の冷たさ、重さ、そして精密に刻まれた歯の感触。
「これを組み合わせると...」
彼女は、カイトの真似をして歯車を噛み合わせた。
一つを回すと、確かにもう一つが回転する。
「動いた!」
マリアンヌの歓声に、周囲も笑顔になる。
F級の女性が、生まれて初めて機械の原理に触れた瞬間だった。
ロバートは、商人らしい視点で歯車を観察していた。
「歯の数によって、回転速度が変わるんですね」
「その通り」
カイトが頷く。
「これを応用すれば、小さな力を大きな力に変換できる」
ロバートの目が輝いた。
「商業への応用も...」
一方、アレクサンダーは、別の興味を示していた。
「この精密さは、どうやって実現している?」
「職人の技術です」
カイトが答える。
「一つ一つ、手作業で削り出しています」
アレクサンダーは考え込んだ。
「魔法による精密加工と、どちらが優れているか...」
彼の中で、新しい発想が生まれ始めていた。
◆◇◆
リゼの念動力制御理論の教室。
ここには、主にF級市民が集まっていた。
「念動力は、誰にでもあります」
リゼは、小さな羽根を手のひらに乗せた。
「F級でも、訓練次第でこれくらいは」
彼女が集中すると、羽根がふわりと浮き上がる。
わずか数センチだが、確かに浮遊している。
「嘘...F級なのに」
生徒たちから驚きの声が上がる。
「これは魔法ではありません」
リゼが説明する。
「念動力を、効率的に使う技術です」
彼女は、自作の念動力増幅器を取り出した。
「これを使えば、さらに...」
増幅器を通すと、羽根は天井近くまで舞い上がった。
F級市民たちの目に、希望の光が宿る。
自分たちにも、できることがある。その実感が、彼らの心を震わせた。
◆◇◆
エドガーの材料と加工技術の教室。
作業台の前に立つ生徒たちに、エドガーは様々な材料を見せていく。
「鉄、銅、真鍮、そして木材」
彼は一つ一つ手に取る。
「それぞれに特性があり、適した用途がある」
エドガーは、金槌で鉄を叩いて見せた。
カンカンという澄んだ音が響く。
「音でも、材質の違いが分かる」
生徒たちも、順番に金槌を握る。
最初はぎこちないが、次第に慣れていく。
老職人のガブリエルが、若いF級市民に手の添え方を教えている。身分も年齢も超えた、学びの共同体がそこにあった。
◆◇◆
ハーゲンの安全管理の教室。
元傭兵は、真剣な表情で語っていた。
「技術は便利だが、危険も伴う」
彼は、様々な工具を示しながら説明する。
「これらは全て、使い方を誤れば凶器になる」
生徒たちが、緊張した面持ちで聞いている。
「だから、安全第一。常に周囲に気を配り、慎重に作業する」
ハーゲンは、保護具の装着方法も教えた。
「これは、自分を守るだけじゃない。仲間を守るためでもある」
技術者としての心得が、一つ一つ伝えられていく。
◆◇◆
午後になって、全員が大講堂に集まった。
四つの授業を受けた生徒たちの顔は、疲れているが充実感に満ちていた。
「今日は、第一歩でした」
カイトが総括する。
「明日から、本格的な学習が始まります」
彼は、生徒たち一人一人の顔を見た。
「簡単ではないでしょう。挫折しそうになることもあるかもしれません」
カイトの声が、優しく響く。
「でも、一人じゃない。仲間がいます。教え合い、助け合いながら、共に成長していきましょう」
マリアンヌが手を上げた。
「先生、質問があります」
「何でしょう?」
「セレスティア様との対決...本当に大丈夫でしょうか?」
不安そうな問いかけに、カイトは正直に答えた。
「簡単ではないでしょう。でも」
彼は力強く続けた。
「皆で力を合わせれば、必ず道は開けます」
カイトは、アレクサンダーを見た。
「それに、魔法と技術を共に学ぶ仲間もいる」
アレクサンダーが頷く。
「俺も、全力で協力する」
A級魔法使いの言葉に、生徒たちの表情が明るくなった。
「そうだ、皆で頑張ろう」
「技術の力を証明しよう」
「ルーネベルク技術学校、万歳!」
歓声が、講堂に響き渡った。
◆◇◆
夕方、生徒たちが帰った後。
カイトは一人、屋上に立っていた。
眼下には、王都の街並みが広がっている。夕陽に照らされた家々、行き交う人々、そして遠くに見える王立魔導学院の尖塔。
「重い挑戦を背負ったな」
背後から、エリザベス王女の声がした。
「殿下」
「セレスティア様は、本気です」
エリザベスが隣に立つ。
「千年の魔法秩序を守るためなら、何でもする人」
その言葉に、不穏な響きがあった。
「でも、私は信じています」
王女は、カイトを見た。
「技術が、新しい時代を開くことを」
「ありがとうございます」
カイトは、決意を新たにした。
確かに、強大な敵が現れた。セレスティア・アズールヴァルト。その力は、想像を超えている。
しかし、恐れはない。
なぜなら、技術学校には希望がある。学ぶ喜びを知った人々がいる。
そして何より、仲間がいる。
「明日も、頑張ろう」
カイトは、沈む夕陽に向かって呟いた。
ルーネベルク技術学校の、記念すべき第一日目が終わろうとしていた。
これから始まる物語は、技術と魔法、新と旧、希望と脅威が交錯する、壮大な挑戦の記録となるだろう。
開校の朝は、新しい時代の夜明けだった。
第23話、いかがでしたでしょうか?
ルーネベルク技術学校の開校式、F級市民たちの希望に満ちた表情、
そして初めて歯車に触れたマリアンヌの感動――
新しい時代の始まりを感じていただけたでしょうか。
しかし、セレスティアの登場で物語は新たな緊張感を帯びます。
千年の魔法秩序の守護者からの挑戦状――
技術と魔法の公開対決が、いよいよ現実のものとなりそうです。
次回、学校での学びが本格化する中、対決への準備も始まります。
お楽しみに!
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