第8話「過去の清算と次への一歩」
かなり短めです。
【はい、次の日】
朝起きて顔を洗う。
地球へ戻る方法も既にリアライズで昨日作ってある。
なんちゃって『どこでも行けちゃうドア』だ。
桐生や田中に復讐するために、本気100%の武器を装備したり防具に指輪などの装飾品も作って完全フル装備にした。
リアライズ増殖で欲しいものが1日で揃う。
自分の中で無敵感が増してきた。
だけど、ただ、心に残っているのがあの母娘の亡骸。
救ってやれなか……え?今なら救えるんじゃ?
タイムマシンに乗って僕が車から非常食を取り出すところでモンスターをワンパンでぶっ飛ばした。
母娘は救助隊によって救われて、ハッピーエンド。
僕は、救助隊に保護される母娘の姿を陰ながらそっと見守った。
小さな女の子が母親にしがみついて泣いている。でも、それは恐怖の涙ではなく、安堵の涙だった。
「よかった……本当に、よかった……」
胸の奥で何かが溶けていくのを感じた。あの時の罪悪感、自分を責め続けた重い感情が、ようやく浄化されていく。
僕は彼女たちを救えた。今度こそ、本当に守り抜いた。
(これでやっと……前に進める)
涙が頬を伝って落ちる。でも、それは悲しみの涙ではなかった。
元の時間軸に戻り、清々しい気分とこれからのことを考える。
それは、今までの記憶を消そうか残そうか迷っている。
残酷で、辛くて、正直に思い出そうとすれば吐く自信はある。
そんなものを……消す?
いや、あれは。
消してはいけない教訓だ。
これから、地球に戻った俺はもう一度探索者として振る舞いつつイラストを描いて佐藤さんや山田さんのように誰かのためになる行動をしたい。
7日目の夜
静かな夜の中で、僕は歩き続けた。
約束の場所でリリアが待っていた。
「リリアちゃん……これ、お礼だよ」
リリアに渡したのは翻訳メガネ。
「これは?」
「うん、創造魔法の研究資料を解読する『メガネ』というんだ」
「出来たのね!?楽しみだわ~♪」
「それで、急なんだけど……えーと」
お別れだと言うんだ。
短い間だったけどって!
……短い?
あれ、エルフって長寿なんじゃ?
「エルフの寿命って何歳?」
「うーんと、大体だと数千歳かな~、ちなみに私は100歳だよ!」
あっ、大丈夫じゃん。
俺の方が先にくたばるわ。
「なるほど!じゃあ僕!数十年くらい旅に行ってくるね!!」
「うん!分かった~」
また遊びに来よう。
今度は2人も連れて。
「リリアちゃん、本当にありがとう。君がいなかったら、僕は立ち直れなかった」
僕は心から感謝を込めて言った。
「ナルも頑張ったのよ。私はちょっと手伝っただけだわ」
リリアが微笑む。その笑顔は、千秋によく似ていた。
「今度来る時は、僕の妹と友達も一緒に連れてくるよ。きっと君と気が合うと思う」
「楽しみ!待ってるわ」
手を振るリリアの姿が小さくなっていく。僕は『どこでも行けちゃうドア』に手をかけた。
もう迷いはない。地球で、新しい人生を始めよう。
今度こそ、誰かの役に立てる人間になるために。
次回からは、地球への帰還と探索者としての登録を考えています。
やっと……チート無双が始められる……。