happy lucky先輩
ノンフィクションです。起きてすぐ書きました。
通称happy lucky先輩、こと私は、選りすぐりのギターの練習生が数人住む寮で生活している。
ギターの先生は中々の悪人顔であり、練習生の間では、持っているギターの価格帯でランクづけ、「値踏み」される
happy lucky先輩の持っているギターは、初心者用ギター(数万円のもの)だった。
しかし、happy lucky先輩は、そのギターをそこそこ気に入っていて愛着があった。
価格差別主義者以外の中立練習生の数人には「私のギターは安物だけど、長く付き合ってきて、最早、相棒、というか…」と照れながらもよく話していた。そんな先輩の様子に、ひっそりと価格差別主義者たち(フェンダー社、ギブソン社愛用)も黙って頷いていた。皆、自分のギターへの愛情は本物らしい。
そんなある日。事件が起きる。
happy lucky先輩の、付きっきりレッスンの日が来たのだ!
月一回のその日は、練習生にとって、ギターの先生につきっきりでレッスンしてもらえて、ギターが上達できる極上のチャンス…
だが、happy lucky先輩はあまり乗り気ではなかった。
先生の顔がむさくるしいゴリラのような…むさくるしい、暑苦しい体育会系の、ゴリラなのだ。
「失礼しまーす」
適当にレッスン室のドアを数回ノックして声をかける。
返事はない。返事は毎回、ない。なので無言でドアを開く。
そこには、数回のノック音全てを無視して、新聞を読んでいるゴリ先。
いつも通り競馬の新聞だろう。
ため息をつく。
レッスンスタートだ。
なんやかんやあって終わる。
何故happy lucky先輩は練習生に選抜されたのか、と思うくらい下手であり、やる気もない。
「ありがとうございま…」
ここで、事件発生。
ゴリ先生は急にhappy先輩のギターを手に取り、ギターのかすがい(ギターにかすがいは無いはずだが)を両手で掴むと、「ふん!」と両側に引っ張った。
ぱーーーーーん!!と音が響き、何か(複雑な部品)が弾け飛んで、ギターが倒れる。
「アアアアアアアアアア!、!」
私の、happy lucky先輩の悲鳴がレッスン室に響き渡る。
「な、コイツ!」
驚き、悲しみ、次に起こる感情はもちろん…怒りである。
「先生、これは、私のギターです。弁償してください!」
先生は余裕そうに腕を組んでいる。
「罪状は?」
「罪状???」
間抜けた声が出る。
「そう、罪状。」
「な、何を言ってるんだ!どう考えてもこの状況はおかしいだろ。罪状?!」
『証拠は?』
「え?じゃあギターは私の体のようなものだから、傷害罪!」
「傷害罪って、笑」「貴方はギターじゃないよね、人間だよね?」
〜
学がない私は言い負かされてしまった。
視界が真っ暗になっていく。
新聞で得た知識だろうか、豊富な法律の知識にボコボコにされた私にはレッスン後、壊れたギターだけが残った。ギターバッグから脱がされて、ボディがバキッと折れてしまったギター。
復讐すら遂げられないのか。無力感に襲われる。
「…ごめんな」
呟いても相棒は伏したまま。
こうして、happy lucky先輩は、sad darkness先輩に堕ちてしまった。
と言う夢を見ました。




