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第9話

「あんの……ガルシア様をたぶらかして……レイラに……レイラに……こんな思いを!!」


 授業が終わり、放課後になるとマリンは私を人があまりこない校舎の裏庭に私を連れていきました。

 そこで私が何があったのかを話すと、彼女は怒りでフルフルと震えティアラ嬢に対する怒りをあらわにしました。


「ブロント様、どうされたのかしら……前はあんなようなことを言ってくるお方ではなかったのに……」


 そうつぶやき、昔のことを少し思い出していると、私の瞳にはみるみるうちに涙が溜まっていきました。


「……大丈夫だよ……」


 マリンはただそれだけ言うと私の背中を優しくさすってくれました。


「……ごめんなさい」


「なんであなたが謝るの!?だめよそんなにすぐに謝っちゃ」


 冗談めかしてマリンがそう返します。

 すると、ガサッと背後から音が聞こえてきました。


「えーっと……今取り込み中かな」


「ちょっと!ルシウス様。お二人が落ち着くのを待つという話ではなかったですか!」


「だって……終わったんじゃないの?」


「……空気を読みましょうよ」


 この二人はたしか……!?


「!ごきげんよう。ルシウス第二王子様、エクシア様」


「ごきげんよう。ルシウス様、エクシア・オフェリア公爵子息様」


 私たちは、すぐに立ち上がりあいさつをし、


「申し訳ございません。お二人でここを使いたいならばすぐさま私たちは立ち去りますが……」


 と頭が回らない私をマリンがカバーしてくれました。


「気を使わないでくれ!邪魔をしたのはこちらの方だし」


「そうです。ルシウス様がもっと空気が読めるお方だったら……」


「おい」


「大体あなたはいつも……」


「はあ?そっちだって――!」


 それからお二人は口げんかに発展し、口論を始めました。

 そんなお二人を尻目に私はお二人の情報を思い出していました。


 ルシウス・ハインリッヒ様。ハインリッヒ王国の第二王子で第一王子とは双子。同級生でブロント様とも友好関係を築いています。そのため私とも何度か顔を合わせたことがありました。ハインリッヒ王国の血筋に見られる純白の髪に優し気な黄金の瞳、形のいい眉の整った顔立ちで令嬢の憧れの的です。成績がよく、運動神経も抜群。非の付け所がないお方です。将来有望な炎魔法の使い手だと期待されている方でした。

 エクシア・オフェリア公爵子息。オフェリア公爵家の次男でマリンとは婚約を結んでいました。ルシウス様の幼馴染で側近。背は低く、薄紫色の猫目、黒髪で可愛らしい空魔法の使い手のお方です。マリンの婚約者と言うこともあり、私とも面識がありました。


「……あのぅ~口喧嘩はやめません?」


 しばらく続いていたお二人の口喧嘩をマリンが仲裁に入りました。

 その時のマリンの顔を一目見たお二人は、あからさまに委縮していました。


「「すみません」」


 ……お二人もマリンの圧には勝てなかったようです。

 私も以前マリンと喧嘩になったときとても怖かったことは昨日のことのように記憶に残っていましたから。

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