第42話
「ええ。そうですの」
「だからってなんであんたが私の魅了魔法を解除できるほどの魔法を使えるのよ!」
「それは企業秘密、というやつですわ」
本当は、聖女の試験に合格した時にいくつか個人で手に入れることは厳しい上級魔法を教えてもらいます。その時教えてもらった上級魔法のひとつが解除魔法でした。本来上級魔法は一つ覚えるのに一年はかかると言われていますが、私はこれを使えるようになるまでで最近まで毎日魔力が切れるギリギリまで練習していました。
「ッーー!!!口を割らせてやる!!」
激昂したティアラ嬢のご両親が私に向かって魔法を放ちました。
しかし、それは明後日の方向へ飛んでいきました。
私は二人に睡眠魔法を使いました。
「お父様!お母様!」
「安心してください。二人で話したかったので眠らせただけですわ」
「こんのっ!!」
そう言って手を振り上げてティアラ嬢はこちらに突進してきました。
しかし、その手は私に届くことはなく、ルシウス様に止められました。
「はなせ!」
「離すわけないだろう。はあ、いつまで寝ているふりをしているのですか、父上」
そうルシウス様が言うと私たちは国王陛下と王妃様がいらっしゃるところを見上げました。
「え……?嘘でしょ?」
「もう少しだけ見ていたかったのだかな」
やれやれと顔を上げる国王陛下。
「レイラ嬢。皆を起こす魔法は使えるか?」
「はい」
私はその魔法を使いました。
だんだんと起き上がってくる皆さま。
「あ、あああ」
ティアラ嬢はその場に座りこみました。
「衛兵。ナルフィン一家を捕えよ」
起きたばかりの衛兵の方々は状況を理解していないようでしたが、国王陛下の命令に従いナルフィン家の皆さまを捕えました。
連れて行かれて私のすぐそばを通った時、ティアラ嬢はこちらをギロリと睨んできました。
「知らないですか、ティアラ嬢。仏の顔も三度まででしてよ?」
ティアラ嬢の耳元で小さく呟きました。
それを聞いて顔を真っ赤にしたティアラ嬢は何かを言いそうでしたが、衛兵の方に止められてそのまま会場から退場していきました。




