第41話
ティアラ嬢は何も指示していないのに会場にコツコツと足音が響きました。
ナルフィン家の方々は信じられないと言うような顔をしていました。
その顔を向けた先にいたのは、ルシウス様でした。
それがなぜか分かるはずもありませんが、ティアラ嬢はすぐに
「ルシウスを捕まえて!!」
と言いました。ルシウス様の近くにいた方々はそれを聞いてルシウス様を取り囲みました。
「……なんでかしら」
ティアラ嬢は爪を噛み言いました。それは焦った時に出る彼女の癖でした。
「どうしてだろうな」
ルシウス様は自分に伸びてくる手をなんとかかわしながら言いました。
「なら捕まえるまでね!」
ティアラ嬢のその一言を皮切りにしてルシウス様を捉えようとする手の動きのキレが良くなりました。
流石にルシウス様もそれらは避けきれず、一人に手を掴まれたと思ったら即座に体を拘束されてしまいました。
「……とりあえず、牢屋にでも入れておくか」
「わかったわお父様」
ティアラ嬢が牢屋へと、口にしかけたところで私は、口を開きました。
「ティアラ嬢、そこまでですよ」
「!……チッ――!!あんたもか。捕まえて」
その一言でこちらに向かってきた方々に私は魔法を使いました。
すると、その方々はその場に倒れて――
「!?はぁ、あんた何したの!?」
目を大きく見開いてティアラ嬢は聞いてきました。
「さぁ?なんでしょう」
そう一言いうと私は魔法を使い続けて、
「!?は、はぁ……?」
終わった後にティアラ嬢たちの方を向くとティアラ嬢は目を大きく開いたまま、そのご両親は口をパクパクとし皆さん信じられないといった様子でした。
「知らないですか?魅了魔法があればそれを解除する魔法だってあるのですよ?」
「ティアラが使っていたのは上級魔法に匹敵するくらいの魅了魔法になっていたのだぞ!?解除なんてできるわけないだろう!?そもそもなんで解除魔法が……?光魔法の持ちにしか使えないだろう!?」
私の言葉に顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら反論するナルフィン男爵。
「……ルシウス様、お怪我なさってますよ」
「あ、本当だ。ありがとう」
ルシウス様に近づき、腕についた赤い爪のあとに回復魔法を使いました。
「!!回復魔法だと!?光魔法が使えるのか!?」
ナルフィン男爵はこちらに指を向けて言いました。




