第38話
「以上で第○○年度、ハインリッヒ王立学園の卒業式を終了します」
副学園長がそう言い、今年度のハインリッヒ学園の卒業式が終わりました。
ちなみに、卒業生の代表挨拶は、生徒会長を務めていたアルヴィス様が立派に読み上げました。
「6時間後の午後六時よりハインリッヒ王立学園の卒業パーティーを始めます。ご準備の方をよろしくお願いいたします」
そうアナウンスが入ると大半の卒業生は卒業式に出席していたご両親と家へ一度帰っていきました。
今来ているのはドレスではなく、制服なため今日のために仕立ててきたドレスに着替えに行ったのでしょう。
私も、一度家族と家へ帰りました。
昨日の夕食の時間のこと、
「見て!明日のためにつくってもらったの!」
ニコニコの家族からもらったのは綺麗な宝飾品がついた美しい赤色のドレスでした。
「レイラの瞳の色の赤を基調としたドレスだ」
「!……こんなに良い物をありがとうございます」
心からのお礼を言うと両親は嬉しそうに笑いました。
「明日の卒業パーティーの入場の時のエスコートは任せてね」
カイル兄様も笑顔で言いました。
カイル兄様には来年籍を入れる予定の婚約者様がいましたが、その方に許可をとって私のエスコートをしてくださることになっていました。
エスコートは婚約者がいればもちろんその方に頼むものですが、わたしは婚約破棄をしていなくなってしまったため、気を使ってカイル兄様が早いうちから自分がエスコートをと名乗り出てくれていました。
「はい。よろしくお願いいたします」
私は下手なことを言わないようにと言葉が少なかったでしょうがそう言いました。
ランス兄様は私を監視するような目線を向けていましたから。
そんな家族が用意してくれたドレスを侍女達にも着替えさせてもらい、ヘアアレンジとメイクを大急ぎでしてもらいました。
家を出る前、私は、ふぅ。と息をつきました。
そして覚悟を決めると私は戦場へ行くために家族と一緒に馬車へ乗りました。




