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第34話

 バンッ――!

 勢いよく開かれた扉の前にいたのは――


「……吐いたのか?」


 ティアラ嬢かと思いきやその部屋に入っていたのはルシウス様の兄で第一王子のアルヴィス・ハインリッヒ様でした。


「チッ。なんでティアラ様じゃないのかしら」


 マリンがアルヴィス様を見て小声でいいました。


「それは、ティアラ様のお父様が倒れてしまったらしいため、急いでティアラ様は帰られたのだ。本当は俺もティアラ様とご一緒したかったが、ティアラ様のお願いとあらば仕方がないだろう。それで?」


 怒るわけでもなく淡々とアルヴィス様は返しました。


「そうなのですか、心配ですね。いい報告をしたいのですが吐きません」


 エクシア様はぐったりとしている私を見せながら少し残念そうにしていました。

 私の体についた傷をチラッと見て、


「そうか、ティアラ様が帰ってこられる前には吐かせておけ。その時にティアラ様に傷は治してもらう。また数時間後、帰る前に様子を見に来る」


 とだけ伝えるとアルヴィス様はバタンとドアを閉めて行きました。


「……今日は帰れないかな」

 

「そうかもね」


 そんな小さい呟きは部屋の闇へ消えていきました。



 次の日、

 キィ――。


「情報は吐いたのか?」


 アルヴィス様は部屋は入ってきました。

 昨日は結局家へ帰れませんでした。

 うちの親が昨日死に物狂いで私を探していた様子が目に浮かびます。


「ええ、吐きましたわ。実は、聖女様にご加護を授かっていたようです。それで――」


 ブラント様がそう言うと、


「そうですか。ではティアラ様に報告へ行きます。ティアラ様がいらっしゃるまで見張っておいておけ」


 アルヴィス様はスタスタと去っていきました。


「……計画通りですね」


「ボロが出ないようにせいぜい気をつけてくださまいし」


 私は言いました。

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