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第30話

 しかし、翌日に事件が起こりました。

 

「おはようございます、ティアラ様」


 このように朝、学園に登校して一番にティアラ嬢に挨拶をしにいく、ということにも完全に慣れいました。


「……ねぇ、レイリャ、あんた私に嘘をついてぇいたのね」


 ティアラ嬢は以前と比べ物にほどろれつが回らなくなっていました。


「……なんのことでしょう」


 一瞬バレたかとも思いましたが、そんなことはない、と思い直して私は堂々といいました。


「もう今更嘘つかなくてぇいいから、あんた私のこと嫌いでしょ」


「そんなわけないではないですか!」


「はぁ、うっさいわね。ねぇ抑えて()()()に連れて行って」


 ティアラ嬢が一言指示を出すとスッと出てきて私の腕を掴んだのは――


「ッ――。離してくださいませ、ブラント様」


「……」


 ブラント様は無言・無表情で私の腕をガシッと掴んでいました。

 ほぼ男性成人で毎日体を鍛えているブラント様の拘束を解けることはなく、私は抵抗を諦めて大人しくどこかへ連れて行かれました。


「ねぇ、なんれあんた私のこと好きじゃないの?」


「……」


 こちらの顔を覗き込むようにして聞くティアラ嬢。

 私は沈黙を貫いていました。

 ティアラ嬢はつまらなそうにすると、口を私の耳に近づけ、


「もしかして、魔法効かないんですかぁ?」


「っ……」


 ティアラ嬢の口から出た魔法という言葉に思わず反応を示してしまうと、


「あっはははは!!そうでしょうねぇ、じゃなきゃおかしいもの」


 それを聞いて、半分もう無理だと諦めた私は、


「……なぜあなたはあの魔法を使えるのですか」


「ん?うーん……いつもなら絶対嫌だけど今は裏切者が見つかって気分がいいから特別に教えてあげる!みんなー!耳塞いでてね」


 と言って取り巻きたちが耳を塞いだことを自分の目で確認すると、ティアラ嬢は自分の身の上話を始めました。


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