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第23話

 魅了魔法とは文字どおり使った相手を魅了する魔法で、数百年前にある人が国王を魅了し国を滅ぼしかけたためそれ以来使った者は即死刑と定められ、それに関する魔法書は全て燃やされたものでした。


 そして、魅了魔法が使える人は――光魔法を使える人。つまりティアラ嬢や私でした。


「……これではないか」


 流石にそんなわけがないと他の文献を漁り始めたルシウス様に


「これだと思いますわ」


「なんでだ?」


「だってブラント様やマリン、アメリア様達は急に変になったではないですか。文献の例に似ております。調べる価値はあるかと」


「……そこまで言うのならこれを本命として探ろうか」


 ルシウス様は優しく微笑み言った言葉に私は


「はい」


 とだけ返しました。



「ティアラ嬢、ご無沙汰しておりますわ」


「あ、レイラセンパイじゃないですかぁ。どうされたんれすかぁ?」


 ある日、子息令嬢の輪の真ん中でニコニコと笑うティアラ嬢へ私は近づきました。子息令嬢たちは私が近づくと露骨に嫌そうな顔をしていました。


「いえ、私もあなたと仲良くなりたいと思ってね」


「そうなんですね!じゃあ皆、ちょっとあっち行っててくれない?」


 ティアラ嬢がそう言うと


「分かりました」


「終わったらすぐに駆け寄ります」


 と言ってどこかへ行きました。


「れ?どうして急に?」


 ティアラ嬢はクルクルと自分の髪をいじり始めした。


「……皆様ティアラ嬢と仲良くしているので以前の無礼の謝罪をさせていただき、仲良しにならせてもらえないかしら」


「あはは!それが頼む人の態度ですかぁ?」


「ティアラ様。お願いいたします。機会を与えてくださらないでしょうか」


「あー気分良い、いいよわらし優しいから。なら、わたしの目をみて」


 言葉の通りに従いティアラ嬢の瞳を覗きます。


「うん、これくらいならいけたれしょう。気分はどぉ?レイラ」


「……すごく良い気分ですわ。悪夢から醒めたような気持ちです」


 ティアラ嬢はそれを聞き満足げに笑うとじゃあねと手を振り去っていきました。


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