第20話
「お見せしたいものがございます」
その日の夜、私は今日撮った写真をお父様とお母様、兄達に見せました。
「どれだけこちらを侮辱したら気が済むのか……」
「信じられないわ」
両親は怒りでいっぱいといった様子でした。
「かわいいレイラにこんな仕打ちを……」
「許さない……」
一番上の兄のカイル兄様と二番目の兄のランス兄様は闇堕ちしそうな雰囲気を出していました。
ちなみに、カイル兄様はローニャ家を継ぐためお父様の仕事の手伝いなどを、ランス兄様は魔法省で空魔法のエリートとしてご活躍されています。
「……レイラはどうしたい?」
お父様は真剣な目を私に向けて聞きました。
「私はーー!」
その夜のうちにローニャ侯爵家からガルシア公爵家へ一通の手紙が送られました。
そして冒頭に戻ります。
「え?じょ、冗談だろう」
口をパクパクさせてブラント様は言います。
「いいえ、以前誓約書に署名をしていただいたではないでしょうか」
「……まぁいいではないかブラント。最近連れてきて来たティアラ嬢はいい子ではなかったか」
「そうねブラントいいじゃない」
先ほどまで焦っていたガルシア夫妻は急に落ち着きを取り戻したようでした。
「はぁ?ティアラ嬢とはあの?」
「はい、あのです」
私が小声で肯定すると、
「レイラという婚約者がいながらまだ他の令嬢と懇意というのは本当なんですね……」
と青筋をビキビキと立ててお父様は詰めました。
「だったらなんですか?」
何も恥ずかしいようなことはしていないではないかとガルシア公爵は言います。
「もういいです!!」
机をバンッと大きく叩いたお父様は
「後で婚約破棄の書類を正式に送りますので」
と言って私とお母様を連れて出ていきました。
ブラント様は最後まで何かを言いたそうにしていましたが。




