第17話
「ルシウス様、お久しぶりです。同じクラスになれて光栄ですわよろしくお願いいたします」
「ああ、こちらこそよろしく」
私は後ろの席のルシウス様に話しかけました。
今年は初めてマリンとクラスが離れ、まともに話したことがある人はルシウス様のみでした。
ルシウス様とは、ブラント様といろいろあった件で私もルシウス様も気を使って話すことはなくなっており、話したのは数カ月ぶりでした。
「それにしても、クラスが上手に分けられたよな」
ルシウス様は苦笑交じりに言います。
「……はい」
私たちの学年は9クラスありました。
私とルシウス様は2組に、ブラント様・第一王子・宰相の息子・騎士団長の息子・大商人の息子のいわゆるティアラ嬢の取り巻きたちは9組に分けられていました。ちなみに、マリンとエクシア様は4組に配属されていました。
「はぁ。でももう3年生か……そろそろ卒業後のこともちゃんと考えないとだよな」
先生が来るまでの間、私たちは話をして待っていました。
「ルシウス様は何になられたいのですか?」
「俺はなんだろうなぁ……レイラ嬢は?」
「私は、みんなを笑顔にできる人になりたいですわ」
「笑顔に?」
「はい。聖女様のようなお方に」
それを聞いたルシウス様はまぶしいほどの笑顔を浮かべ、
「いい夢だね」
と言ってくださいました。
ブラント様はあの件以来どんどんと疎遠になっていきました。
それは、あの件を気まずく思ったのであろうだけでなく、以前よりティアラ嬢にご執心になられたからでしょう。
まるでカモの親子のように他の方々と後をついて回っておりました。
ティアラ嬢の支持はなぜか上がっていき、ティアラ嬢のファンクラブもつくられ、8割以上の生徒だけでなく先生までもがそれに加入しているという謎の現象が起こりました。
「ティアラ様は今日もお美しいわ……」
「存在してくれてありがとう……」
などとティアラ嬢を一目見るだけで限界化する人は沢山いました。




