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第16話

 年度末の終業式が終わり、家へ帰るための馬車が置いてある場所へ行こうと外に出ると、誰かを待っているようなティアラ嬢がいました。

 横を通り抜けようとしましたが、ティアラ嬢は私の目の前に出てきました。


「!……ティアラ嬢、ごきげんよう」


「レイラセンパイ、楽しいですか?ブラント様を精神的に追い詰めて」


 ティアラ嬢が開口して最初に出てくる言葉は嫌味でした。


「ブラント様を精神的に追い詰める?私がいつそのようなことをしたのですか?」


「学園内で見ません?好奇の目にさらされて居づらそうにしているブラントを」


「あいにく学園内であまり仲良くしていなくって。それと自分の家よりも高い爵位の方を呼び捨てにするだなんて不敬ではないでしょうか」


 しかも人の婚約者というおまけ付きですし。


「うーん、あっちがいいよ~って言ってくれてるしいいんじゃないですか?」


 わざとらしく首をかしげるティアラ嬢。


「……そうですか」


「ねぇ、レイラセンパイ」


 と言うとティアラ嬢は私との距離を縮めてきて私の体をがしっと抑えるとじっと私と目を合わせました。すると私の体は動かなくなりました。

 5秒ほどたったころだったでしょうか。急にパッと手を離すと、

「ねぇ、レイラセンパイ。何か変わったことはありませんか?」


 と聞いてきました。


「ッ――何して!」


 私はティアラ嬢から解放された瞬間、彼女と距離をとりました。


「……なんでかかんないんだよ。めんどくせぇな」


 ティアラ嬢はそう吐き捨てて舌打ちをするとその場からスタスタと去っていきました。


 そうして時は流れ私たちは3年生になりました。



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