第14話
その日、学校から帰ったときのことでした。
「ブラント君、これはどういうことかな」
机を指でトントンと叩きながら私の父は言いました。
「本当に申し訳ございませんでした……」
「はぁ。この愚息がレイラ嬢に迷惑をかけたようですまんな」
ブラント様は居心地が悪そうに、ガルシア公爵はブラント様を睨みながら謝罪をしてきました。ガルシア公爵夫人は俯いていました。ブラント様のご両親は少々面倒くさそうな雰囲気が透けて見えました。
「2度目はないと以前言いましたよ?」
とお父様もブラント様に睨みを効かせます。
「あの時は自分が自分ではなくなったと言いますか……」
私に言い訳など聞きたくないと言ったその口でブラント様は言い訳を始めました。
そのまま3時間ほど話し合いが続き――
「ごめんな、本当は婚約破棄でもなんでもレイラがしたいようにしたかったのだが……」
「いえ!ブラント様がこれからなおしてくれれば私はいいですわ」
ニコッと微笑みながら言うとお父様は目頭を抑えました。
ガルシア家の方々が帰った後のことでした。
それに、あちらは私の家より爵位が上なため、筆頭公爵家に逆らうなんてできないでしょう。
「お父様が次何かあったら婚約破棄、という条件をつけられただけいいですわ」
そう。お父様はそのような誓約書を作ってくださり、それに判を押させることができました。
「ありがとう、そう言ってくれるだけで……」
そのように言ったお父様は力なく笑いました。




