第2話 ダンジョン
その後、アメリアから鏡を見せてもらい自身の身体年齢が12歳まで戻っていたことにさらに絶望しつつも、ダンジョンのマップを確認し、ダンジョンを改築していた。
とりあえず試していくしかないけど、まず1つ救いだったのはダンジョンがだいぶ広く、アメリア曰く普通の人間が徒歩で移動すると時間的には最後に私の待つ部屋まで辿り着くのはおよそ2~3時間はかかるとの事、そして私がメインでダンジョンに設置するのは、状態異常付与の魔法を仕掛けまくることだ。
色々と操作してみたら、ステータスバーからマップの構造が確認できるのと設置や撤去、内部の構造の変更もボタン一つで出来るというのだからその点は便利だ。
まずMAPの中をほぼ全部一本道にした。まっすぐ一本道になっているところの1番奥の箇所に毒の矢を設置した。これで最初に入ってきた侵入者に毒状態にさせられる。
罠を仕掛ける際にはお金がかかるみたいだけど、最初は3つまで費用無しで設置出来るらしい。
その後の一本道のルートに私の状態異常付与魔法のゾーンだ。
床を踏めば発動するタイプらしく、なおかつステルス魔法も使って見えなくしてあるから安心だ。
一本道全部に仕掛けたから流石に疲れたけど、ルート的には見た目こんな感じ、己、出口までまっすぐ来れないように道を曲げて作ったから奥の部屋までたどり着くのにさらに時間がかかるだろう状態異常付与ゾーンも全部の一本道に付与したし、どれか機能してダメージを与えてくれれば最後までたどり着く前に力尽きてくるだろう。
あとはアメリアもそばに居てくれるしそれなりに実力はありますって言ってたから、いざとなれば守ってくれるだろう。
一応私に使えてくれるメイドって言ってたから主人が死んでお咎めが何も無いっていうのもないだろうし。
こうして刹那は満足気にスヤァっと眠りについた。
アメリアside
「これは、、、中々のえぐさですわね。」
口調こそ普通だが、アメリアは感心していた。
魔王様は自身のスキルに関しては微妙そうにしていたが、作られたダンジョンをマップで眺めていると中々所か大抵の侵入者ならまず生きては帰れないだろうなぁとドキドキしていた。
まずこの状態異常付与のスキル普通なら1つしか状態異常は付与出来ないが、魔王様が付けたものに関してはそこに侵入しただけで、ランダムに2~3つ状態異常が付与される上にたとえ風魔法を駆使して体を浮かせても回避出来ないだろうし。
その罠が最初に1箇所だけで残りは後半全部に埋め尽くされているのだから、状態異常を回復させられる者がいても、MPが尽きて回復できずに帰るのが目に見えている。しかもこの罠もう一度発動できるみたいだから帰りも発動する。
「あまりの魔王様の可愛さに初期費用を全部魔王様の衣服やベッドを購入するのにお金使い切ったことは生涯アメリアだけの秘密にいたしましょう。」
真剣な顔をしているが、元々ダンジョン造りのための費用が魔王から出ていたのだが、アメリアが刹那のいる部屋を豪華にするために全部使い切っていた。
「それにしても、状態異常付与の場所が420箇所最高で最低で2つは付与できるんだもの、最低でも最後まで進めば840個の状態異常に加え帰りもさらに追加となると流石にねぇ。」
刹那様は存じ上げないかと思いますが、魔王の候補に選ばれる方は皆それぞれ魔王に相応しい特徴を何かしら持ち合わせているんですよ。
「うふふ。」
アメリアは早く侵入者が来ないですかねぇ。っとウキウキしていた。
???side
刹那の作ったダンジョンが完成し早5時間が経過し、ダンジョンを見つけた冒険者が集まっていた。
「まだ誰も発見していないダンジョンみたいだな。」
銀色の鎧をまとった妙齢の男性がヒソヒソと仲間と会話していた。
「ええ。入口に冒険者がよくつけているあとも無いです。」
シスターが入口の壁を確認していた。
「1度帰って人分を増やしてからにした方がいいか?いや。」
鎧の妙齢の男性は少し考え、少し様子を見に中に入るくらいなら問題ないだろうと判断した。
「中の様子を少し見て、必要そうなら仲間を集めてまた来よう。」
シスターもそれに頷き、鎧の男を先導にダンジョンへ侵入した。
松明を手にし中へ進む。最初は罠も無く進んで行ったところで、最初の一本道にの最後に差し掛かるとヒュッと音がし、方に激痛が走る。
「うっ!?」
「クロード!?」
刹那のしかけてあった毒の矢が発動しクロードと呼ばれた妙齢の男性にダメージが入る。
「これは毒の矢?ヒール、アンチドーテ。」
毒の矢が発動したもののシスターがすぐに回復させる。
「すまん助かった。」
「どういたしまして。どうしましょう1度引き返しますか?」
「いや、まだ序盤だせめて中盤までは進みたい。すまないが付き合って貰えんか?」
少し考える素振りを見せたが、まだ入って数分だせめてもう少し確認しなくてはと考えていた。
「分かりました。気をつけて進みましょう。」
シスターはしょうがない人っとふふっと笑みを浮かべクロードと共に進んだ。
最初の一本道を抜け次の一本道に差し掛かるとカチリっと音が聞こえクロードとシスターはハッと息を飲んだ。
「ウグッ!?」
クロードはその場にうずくまった。
急いでシスターはクロードに近寄る。
「これはっ!?」
刹那のしかけた状態異常のトラップが作動し、クロードに麻痺と毒、シスターには火傷と石化の状態異常が付与された。
「ミラ!?くそっ」
クロードは麻痺で動けない状態で激怒していた。様子見程度で戻る予定だったのでクロードは状態異常を回復させるアイテムを持っていなかったのだった。
クロードは時間がたち動けるようになるとミラと呼ばれたシスターを担ぎ来た道を戻り始めた。
石化状態は自然回復しないので、回復させに戻ろうと判断した。
カチリ
スイッチを押したような音がなり、クロードから汗がたれた。
「ガハッ!?」
正面から尖った岩のようなものがぶつかってきた。ミラを担いだ状態ではかわすことが出来ず、クロードはダメージを受けてそのまま後ろへ吹き飛ばされてしまった。
カチリ
そして、吹き飛ばされた先には刹那のしかけた状態異常付与ゾーンが待ち受けている。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
こうして、刹那の寝ている間に2人の侵入者が力尽きていた。
「刹那様、刹那様。」
んーと刹那は目をしょもしょもさせながらベットから起き上がった。
「魔王様が寝ている間に2人ほど侵入者を始末出来てましたよ。」
アメリアは嬉しそうに刹那に抱きつき報告していた。
「本当?」
自分が作ったダンジョンが上手く起動していたようで、刹那は満面の笑みを浮かべた。
「刹那様が追加で設置してた、部屋から出る時に発動する罠がいい仕事してましたよ。」
そう、刹那が設置したもう1つの罠は部屋に入るではなく、部屋から出る時に発動するタイプの罠だった。
部屋を出ると、どがった形状の岩が侵入者に突き刺さる。威力は奥の部屋に吹き飛ばせるほどのものだった。
「あの侵入者たちも運がなかったですねー。せめて石化にかからなければもう少し動けたでしょうに。」
アメリアは刹那が寝ている間に起きて侵入者たちの様子をマップから眺めていたので、尚の事嬉しそうにしていた。
「これで侵入者を2人抹殺しましたので、冒険者たちが落としたアイテムや、お金はダンジョンが吸収して、魔王様の部屋にあるこのボックスに収納されていくシステムです。」
アメリアが刹那のベッドの下に潜り込むとやけに豪華なアイテムボックスを出してきた。
ゲームでよく見る宝箱のような形状だった。
パカりと開けると、中には確かにお金と、おそらく装備していたであろう衣服や装飾品ポーションといったアイテムが入っていた。
「便利だね。」
感心したように刹那はポツリと漏らした。
「あっ、でもですね。侵入者が死んだ場合はこうやって吸収してこのボックスに入ってきますが、生きてる場合はここに転送されないのでお気をつけて下さい。」
その言葉を聞いて刹那は嫌そうに顔を歪めた。
「絶対に殺さないとダメなの?」
「殺さないと収入無いので。」
刹那は嫌そうな顔のままうーんと悩んでいた。
「生きてくためには生贄も必要だよね。」
数秒で刹那は決意していた。生きてくために頑張ろう。
刹那は見た目こそ幼く可愛らしい外見をしているが、中身は幼女らしからぬ上に意外と合理的だった。




