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紫のドレス

 お忍びでオランドールを訪れたアランフリードの話です。

 

 「元気そうだね。マイケル,クストー君」


 オランドール王立学園の音楽室。

 あの時自分が閉じ込められたあの部屋に、久しぶりに足を踏み入れたアランフリードは、練習室でピアノの練習をするマイケルに声をかけた。


「おっ、お前はアラン,バーキング!」


 アランフリードの姿を見たマイケルは、驚いて椅子から立ち上がった。


「君は、コンクールの前の日に僕がここで1人で練習しているのを知っていて、シアルーン公爵令嬢が音楽室に入った所で外から鍵を掛けた。

 それで間違いないよね?」


 「何を今更…。その件で僕に報復しに来たのか?

  ああ、そうだよ。僕がやった!

 僕は今回のコンクールで優勝したかった。

 それには、優勝候補の君が邪魔だったのさ!

 でも結局、俺は公爵令嬢の魔道具で目と耳をやられ、出場できなかった。

 聞いただろ?優勝はリンドル王国の王子様だってさ!

 君も優勝できなかったんだってな。

 ホントとんだお笑い草だよ。アッハッハ!」


 昏い笑みを浮かべ笑うマイケルにアランフリードは声を荒げた。


 「そんな自分勝手な理由で一人の女性を貶めようとしたのか!

 君には全く関係ない人じゃないか!」


 「ああ、関係はあるよ。王太子の側近から声をかけられた。

 公爵令嬢と男を2人きりにして音楽室に閉じ込められないかとな。

 それが成功したら、コンクールで優勝させてやるって!

 俺はもう20才だ!今回優勝できなかったら次は無い!

 こんな旨い話だ。乗るしかないだろう?」


 「そうか、君は優れた演奏をする良いピアニストだったよ。ずっとリスペクトしていたんだがな…。

 君の事をライバルだと思っていたのに残念だよ。

 僕の本名は、アランフリード.クォン,リンドル。

 今回のコンクールで優勝したのは…、この僕だ…」


 驚いて顔をクシャリと歪めたマイケルは、「連れて行け」と言うアランフリードの声で現れた護衛の男達に、何も抵抗する事無く音楽室を後にした。


 その後、アランフリードは神殿を訪れて、シアルーンに謝罪した。

 

  自分の本名と身元を明かして、シアルーンが助けてくれたおかげでコンクールに出場できて優勝できた事。

 助けてもらったのに祖父と父の命を救う為にコンクールが終わって、すぐに出国してしまった事を話した。

 

 最初は驚いて聞いていたシアルーンだったが、国王と王太子が助かったと聞いて、素直に喜んでくれた。

 そうして一言もアランフリードを責めず、笑って許してくれたシアルーンにアランフリードは、みっともないほど男泣きし、逆にシアルーンに慰められたのだった。


 その後、アランフリードは、拝み倒してシアルーンを連れて公爵家の御用達のドレスメーカーをお忍びで訪れた。

 そして紫色のドレスと違う色のドレスを2着注文した。

 

 「お詫びにもならないかもしれませんが、ドレスを贈らせてください。

 私の国では、意中の人に結婚を申し込む時に相手の女性に自分の瞳の色のドレスを贈るのです。

 そうして、女性がそのドレスを着てくれたら、結婚を受けた事になるのですよ」

 

 「えっ…、結婚の申し込みですか?私に?

 でも 私はもう貴族ではありません。平民ですよ?」


  「貴族が貴族でないかは関係ありません。

 私は貴方を妻にしたいのです。

 来月、私のピアノコンクールの優勝記念演奏会があります。

 その場で貴方の名誉を回復する予定です。

 これがその招待状です。

 もし、私との結婚を了承して下さるなら、その紫のドレスを着て来てくださいませんか?」


真っ赤になって言うアランフリードに、シアルーンも「了承致しました」と小さな声で応え、神殿に戻ったのだった。

 





やったー!やったー!(紫)のお題をクリアした〜!


イェーイ!v(^_^v)♪ (だからそれが何!)


これで負けは無くなったよ!(いったいどこを目指しているの!)

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