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ワンダラーズ  作者: 有栖
第三章  過去に舞い戻っちゃいました。
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第五十二話 短時間バイト?

 窓から見える階下の景色を眺めながら隣の席から聞こえる何度目かのため息を耐えきれず俺は隣に顔を向けた。


「あの。大丈夫ですか?」


「あ、あぁすみません、お聞き苦しかったですね。大丈夫です」


フルーツティーとベーコンと季節野菜具沢山のペペロンチーノスパゲッティを1人静かに食べれていたら幸せだったはずだった。


     声さえかけなければ‥‥‥。


 今日朝出た初メダルは魔樹メダルだった。メダルは叩いて中から飛び出る仕様になっていた。バンバンとたたいて中から出した魔樹はフラフラと浴室に向かい、溜まった浴槽に浸かりながら俺くらいの高さのある樹木をフルフルと揺らしてからじっと動かなくなった。名前は『ナマケモノ魔樹』ボーっとして時折葉を揺らしながら生えてきた実を落とすらしく、その実はフルーティで甘くジャムなどに使われるらしい。ただし俺の元に出たやつはネームドらしいので、実がどうなるか不安だ。ネームド『ナナ』と言う魔樹だった。害がないようなので朱莉さんにお願いして部屋に置いてもらってきた。


 今日は現時点の俺つまり過去の自分は学部説明会と言う名のガイダンスを午前中に履修提出説明会を午後に受けているはずなので夕方までは帰宅してこないはずなので、ふらっと散歩がてら、代々木駅前の星喫茶店まで足を伸ばしている。


 ここのフルーツティーはどこの店舗でも必ず頼んでしまうもので、中のフルーツが絶品なのである。もちろんドリンク部分も甘くて爽やかな喉越しで大好きな一品なのだが‥‥‥。


   (ナナもこの味の果実だすといいなー)


 ぶつぶつ呟いて隣に座っている男性は20代後半から30代前半と思われ無精髭といかにも近所ですよーと言わんばかりのTシャツと擦り切れたGパンの男性が顔をくしゃくしゃな顰めっ面で報告書のような物を眺めていた。


 合間にはぁーとかくぅ〜とか唸り声がうるさすぎた。せっかく外の景色を眺めながら帰宅したらナナどうするかなーーとか明日は入学式だな〜とか考えていたのだが、どうにも隣が気になってしかたがない。


 何度目かのため息を聞いてとうとう俺は再び隣に顔を向けた。


「あの。大丈夫ですか?」


「あ、あぁすみません」


「いえ。」


「私事なんですが、調査対象の場所に1人で向かうのが気が重くてため息が出てしまいまして、こういう時にバイトを雇えればなぁと頭を抱え‥‥て‥‥。」


そう言ってジッと俺の方を見て徐に手を握りしめてきた。


「平日のこの時間にいるということは、学生か何か?キミ、少しバイトしてみないかい?」


「えーと、俺いえ私は大学1年です、バイトはまだこれから見つける予定でしたが、とりあえず食べ終えたら話を聞きます。」


「ありがとう!ここでは説明しずらいので場所を事務所に移すけど、いいかな?」


「はい、ここの近くですか?」


 そう話して食べ終えた俺を引きずるように隣の席の男性は店を出た。経費で俺の分も払ってくれたので2000円分はバイト代を貰えた気分である。



  願わくば短時間ですむ楽なバイトでありますようにっ


   





内容に大きな変更はありませんが、『てにをは』の一文字の訂正や文のつながり具合に微妙な違和感がある際は見つけ次第変更の対応をしてます。大きな追記があれば都度活動報告に記載していきます。

今宵もありがとうございました

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