1話・称号の違いと互いの関係性
エリュスプゲルの町に辿り着いたリューセイ達は街路を歩きながら話をしていると……。
ここはエリュスプゲルの町。エリュスプゲルは娯楽の町と云われているだけあって酒場、カジノ、格闘場、劇場など色々な施設がある。
そのためか各地から人が集まり賑わっていた。
勿論、冒険者ギルドや商業施設に市場と食事処もある。
町の街路は整備されていて綺麗だ。街路の両脇に木や草花が植えてあり風で揺れている。
その街路をリューセイ達六人は話をしながら歩いていた。
「やっと着いたな」
そう言いながらリューセイは周囲をみる。
「すごーい! 聞いていたよりも大きな町。それに美味しそうな、お店も沢山あるわ」
クルリとリズミカルに回りルルカは楽しそうに周囲をみた。
「そういえば前から気になってたことだ。勇者と英雄って違うのか?」
「クライス……同じじゃないかな」
「どうだろうか、ユリエス。俺は違うと思う」
どうなんだろうと思考を巡らせながらアベルディオは真剣な表情で無作為に一点をみつめている。
「違うと云うのであるならば、どのようにでしょう?」
「イシス、そこまでは分からない。だけど勇者と英雄に分けられるのって意味があるからじゃないかと思う」
「そうだな……アベルディオの言う通りかもしれない。そのことも踏まえ、この旅で色々と探求しようと思っている」
そうリューセイが言うと五人は頷き再び歩き始めた。
そのあとをリューセイが追いかける。
その後六人は宿を探し歩いた。
♧✦♧✦♧
ここはベルゴーグ大陸の北西部に位置する王都ロゼレイヴィアだ。
その城下町の中央部の南東側には広場があった。その広場には小さな池がある。そして疎らに人がいた。
一人で長椅子に座り寛いでいる者。
カップルで池を眺めながら、イチャイチャする者。
友達同士で駆けっこをしながら遊ぶ者。
色々な人たちが、この広場にはいる。
この広場の木々が生い茂っている所には自称魔王と名乗るタイガ・スターナイツに魔族と人間のハーフであるメリューサ・サキュアが草の上で寝そべっていた。
あれから二人は船の掃除をしながら、この大陸の北東に位置する港町ミズナギにくる。そして、この大陸を調べようという事になり船から下りた。
ミズナギの町を出て南西に向かい王都へ辿り着き現在に至るのだ。
二人は空を眺めている。
「なんでメリューサ、お前まで横になってる?」
「タイガ様が横になっているからですわ」
「意味が分からん。まあいいか……それよりも、これからどうする?」
そう言いながらタイガはメリューサの方を向いた。
「はい……昨日しらべ歩いた時に、この帝都の北西の森にあるメルキゼナ遺跡に魔王復活の書が存在すると冒険者から聞きましたよね。盗み聞きでしたが……」
「ああ……そうだったな。じゃあ準備を整えて向かうか」
そう言いながらタイガは立ち上がる。
それをみたメリューサも立った。
「本当にメリューサは俺の動きに合わせるよな」
「お褒め頂きありがとうございます」
「……褒めた訳じゃない。だけど、どうしてだ?」
そう問いかけられメリューサは不思議に思い首を傾げる。
「当然のことかと。タイガ様は我が主であり魔帝なのです。そのタイガ様の真似をするという事は尊く崇高なことですので」
いや只単に、タイガのことを好きだから真似をしているだけである。
「なるほど……まあいい。それより前にも言ったが俺は魔王であって魔帝じゃない」
「タイガ様は、そう思われていますが……。国でのタイガ様は魔帝。国の王なのですよ」
「……それは、お前たちが勝手に俺を担ぎ上げただけだろ」
ムッとしタイガはメリューサから目を逸らした。
「そうかもしれません。ですが……」
「メリューサ……今その話をするのはやめよう。これから、やらなければならないことが山積みだ。それらが優先だからな」
「承知しております。私はタイガ様の僕。そのため何処までもついて参りますので」
そう言われタイガは溜息をつきメリューサをみる。
「僕というか……秘書みたいだけどな」
「秘書とは?」
「俺は本でしか知らない。確か貴族や金持ち商人なんかの、お偉いさんのそばでスケージュール管理などをしている者のことらしいぞ」
それを聞き喜びメリューサは、ニコッと満面の笑みを浮かべた。
何時もは、あまり笑わず無表情に近い。そんなメリューサが笑みをみせたためタイガの顔は青ざめている。
(なぜ笑った? 笑うと可愛いが……。見慣れてないせいか、みているのがキツい。まあ……何時もじゃないし我慢しよう)
そう考えるとタイガはメリューサから目を逸らし歩き出した。そのあとをメリューサが追いかける。
その後タイガは準備を整えメリューサと共にメルキゼナ遺跡へと向かったのだった。
読んで頂きありがとうございます(*^-^*)
では次話もよろしくお願いします(^_^)/






