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デート2

 今日のランチのお店は私が決めさせてもらった。

 うちの喫茶店で働いていた時に、私より1、2歳歳上の男の人でレストランの跡継ぎという人がいて、よかったら今度食べに来て欲しいと言わたのだ。喫茶店従業員として見識を広げる為に今日はそのお店を予約した。決して「デザートサービスするから」と言う言葉に釣られた訳では無い。


「いらっしゃいませ」

「予約したアタラードです」

「アタラード様ですね。御案内致します」


 出迎えの店員さんの案内について行こうとすると、お店の奥から「ティアさん!」と声をかけられた。


 あ、うちの喫茶店で声をかけてくれた男の人だ。


「来てくれたんですね。ありがとうございます!・・・こちらは?」


 男の人の視線を受けたカインは私の前に出る。


「こんにちは、僕はティアの婚約者のカインといいます」

「こ、婚約・・・あ、えと、今日はゆっくりとして行ってください」

「はい。ありがとうございます」


 ・・・?彼、出てきた時はすごい勢いだったのにいきなりシュンとしたんだけど、どうしたんだろう?他の店員さんにポンと肩を叩かれて奥に戻って行った。


 その後、席に案内してもらい、食事を始めた私とカインだけど、何故かカインに「まったく、ティアは隙だらけなんだから。気をつけてよね」とお説教されながらご飯を食べた。


 私、何かしたかなぁ?



 お昼ご飯を食べたら街をぶらぶらしながら買い物だ。

 雑貨屋さんでアクセサリーを見たり、書店でおすすめの本を教え合ったり、楽しい時間はあっという間で、気付けばもう夕方だった。


 カインが「少し休憩しようか」と言ってくれたので、広場のベンチに腰掛けて話をしている。


「そういえば、ティアのその髪型は自分でするの?」


 カインがサラッと私の髪を取り、見つめる。

 朝のデジャブにドキッとしてしまう。


「ううん。これはお兄ちゃんがしてくれたんだ」

「ニックが?すごいね」


 目を丸くさせるカイン。


「そうなの!お兄ちゃんって優しいし、面倒見いいし、編み込み出来るし、顔もイケメンだし、かなりの優良物件だと思うんだけど、本当にどうして恋人がいないんだろうね?」

「ティアがいるからじゃない?」

「カインまで!酷い!私はもう小さい子供じゃないんだからね!」


 むぅ、と頬を膨らませて抗議するとクスクスと笑われる。


「ティアは本当に、ニックが好きだねぇ」

「そりゃあ、まぁ、大好きなお兄ちゃんだよ?カインへの好きは特別な好きだからまた違う、けど、ね・・・」


「・・・」

「・・・」


 ぼふっと音がして、私とカインの顔が同時に赤くなった。


 ぎゃーーー!サラッとこ、こここここ告白してしまった!特別な好きとか言ってしまった!

 いや、実は私、自分の気持ち自覚してからも、ちゃんとカインに好きって言った事無くて、カインも何も言わないし、何となくそのまま来てたけど、言っちゃったよ!

プロポーズしたくせに何告白で恥ずかしがってんだとか言わないで!あの時は自覚無かったから言えたんだ。

ど、どうしよう?カインはどう思ったかな?


 カインの様子をチラッと見ると・・・


 カインは両手で顔を隠し、俯いていた。少しプルプルしている。

一瞬、笑われてる?とか思ったけれど、違う。隙間から見えている耳や頬は真っ赤だった。


 ・・・照れてる?


「・・・カイン?」


 そっと声をかけると、カインの体がビクッと反応した。そして勢い良く顔を上げ――――


「ぼ、僕、ちょっと御手洗行ってくるから!」


 と真っ赤な顔で走って行ってしまった。

告白紛いの事を言って返事も貰えず残された私は、


「・・・カイン可愛い。好き」


と呟いた。

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