ピクニック
テオとアリアに私とカインの婚約を認めて貰うのはカインが二人と話す事で解決したらしい。
ある日教会に行ったら二人から「婚約おめでとう。カインとだったら応援する」と言われたのだ。
カインは話してみると言って、テオやアリアの事を色々聞かれたけれど、まさか一人で話しに行くとは思ってなくて、驚いた。
何となく、前世の親への挨拶というか、そんな感じを想像していたので、私とカインの二人で許可をもらいに行くと思っていた。いや、テオもアリアも私の親じゃないけれど。
何にしても、大切な人同士がぶつかり合わなくてよかったと思う。解決してくれたカインに感謝だね。
そして今日は、なんと!
カイン、テオ、アリア、アーサー、私の5人でピクニックなのです!!
場所は王都から少し離れた自然公園で小さな川や季節毎の花畑もあり、自然を満喫出来る所だ。
一応、カインとアーサーの護衛という大人が2名付いている。
王都から乗り合い馬車で30分程で目的地の自然公園に到着した。
そう言えば、カインとアーサーは初顔合わせだったらしく、待ち合わせ場所で私とカインが話してたら、やって来たアーサーが「誰だよ!」って言ってきたので、「アーサーは初めてだっけ?私の婚約者のカインだよ。仲良くしてね」と言ったら、「いや、それは知っ、あー、ハジメマシテ、アーサーデス」ってカタコトで挨拶していた。
アーサーでも初対面の人とは緊張するんだね。
挨拶がカタコト過ぎてカインが笑っていたよ。
でもその後に、
「何なんだよ、その前髪!目見えねぇじゃん!」
「見えてるよ。これが僕の通常スタイルだから」
って近づいて喋ってたから、仲良くなれそうだと思った。
テオとアーサーは自然公園に着くなり、
「アーサー、川行くぞ!川!魚捕ろうぜ!」
「おう、兄貴!どっちが沢山捕れるか競走な!」
と走って行ってしまった。こういう所は男女差が出るなぁ。アーサーの護衛も慌ててついて行った。お疲れさまです。
「カインは行かなくていいの?」
男の子で1人残ったカインに聞く。
「僕は魚捕りよりティアといるよ」
「アリアちゃんは?」
「わたくしも、ティアちゃんがいるなら何処へでも」
こちらは、アウトドアにあまり積極的でないインドアな雰囲気だ。でもせっかくのピクニックなのだ。
「じゃあ、私達も川遊びしに行こっか!」
「うんっ」
「はいっ」
どうせなら皆で遊びたいしね!
私達もテオとアーサーの川遊びに加わり、魚捕りや水の掛け合いをして遊んだ。
皆、最近は勉強や家の手伝いで忙しかったし、いっぱい遊んでストレス発散した。すごく楽しかった。
はしゃぎ過ぎてちょっと疲れてきた頃、そろそろお昼にしようかと声をかける。
芝生ゾーンの木陰に移動し、持ってきたお弁当を広げる。
今日は、母と私の合作弁当を持ってきたのだ!
「じゃん!綺麗に盛られているおかずが母さん作で、ぐちゃっと崩れかけてるサンドイッチが私作だよ!」
「「「「・・・」」」」
「・・・何か言ってよ!!あ、でも不器用とか言わないで!味はちゃんと美味しいから!この為に今日は早起きして頑張ったから!」
お弁当を見ても何も言ってくれない皆に私が若干涙目になってくると、はっとした皆が慌てたようにフォローしてくる。
「違うよ!ティア、美味しそうだなって思ってたんだよ!」
「そうですわ!彩りもよくて、流石はティアちゃんですわ」
「カインと姉御の言う通りだ!・・・でもこれ、どうやって食べるんだ?」
「フォークとナイフ無いよな?忘れたのか?取りに行くか??」
「・・・え?普通に手で食べるんだけど?おかずの方はピックがついてるでしょ?」
「「「「え?」」」」
何言ってんだと皆を見れば、皆に『何言ってんだ』みたいな目で見られた。あれ?
「あれ?ピクニックってお弁当持って来てこんな感じで食べるよね?」
ほら、と周りのお弁当を広げている家族連れを指差せば、皆、カルチャーショックを受けた顔をした。
「知らなかった・・・」
「ピクニックって、昼食はお店でとる物じゃないんですの?!」
「あれって神か何かに捧げ物をしてるんだと思ってた!」
「じゃあフォークもナイフも要らないのか?!すげぇな!」
えーー!私の方がびっくりだよ!一瞬この世界にお弁当の文化がないのか考えたよ!そんな訳ないよ!てか、アーサー!神に捧げ物って何だ!!
「このっ!ボンボン共がぁーー!!」
よく考えたら私、このメンバーで1番庶民でした。