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異世界帰郷  作者: 火桜
9/10

肉を食べました

こんなに遅くなってしまって大変申し訳ありません。



「ねぇねぇ」

「何ですか?」


イヤ、あの、うん、なんだ。

少し、ねぇ?前回のこともあってラナって少し、というかだいぶ、天然なんじゃないんだろうか?

実力は申し分無いと思うんだよ?でもなぁー。


「それでもこれは無いよなー。」


そこに鎮座するのは巨大とは言わないがそれでも中々の大きさの赤いドラゴンだった。


「そうですか?これくらいならお嬢様でも倒せると思いますよ?」


「イヤイヤ、それだけは無い。だってドラゴンだぞ?こういう世界ならすごい強い魔物の一種なんだろ?勝てないと思うんだけど?」


「いけます!お嬢様なら大丈夫です!!」


えぇ、何?その期待?

無理だよ。

出来るわけ無いでしょ?


「大丈夫です!睡眠状態ですから!」


「尚更だよ!寝てるのにいきなり起こされたら怒るだろう!?」


人間だってそうだ。

気持ち良く寝ている時に起こされたら怒るのも当然だ。多分。

そんな経験ないから知らないんだけどね。


「え?起きる前に一発で仕留めれば良いんじゃないんですか?」


「はぁ~」


そうだったラナはチートだった。

ドラゴンも一発で仕留めれてしまうんだろうか?

イヤ、でも流石に?



「あのお手本とか見せてくれたり?」


「駄目ですよ!!お嬢さまが倒さないと!!」


やっぱりこの手段は通じないかー。

さて、これはどうしたものか。

この世界に来て初戦闘がドラゴンとか。

笑えないよねぇ?


「仕方ないです。お嬢様の為に1つドラゴンを倒す際の助言を」


あぁ、うん。そういうのは早く言ってほしいものなんだけどね?まぁ口には出さないけど。


「ドラゴンを倒す際には〝逆鱗〟という物を探した方が良いですよ!」


げきりん?何だそれ?


「逆鱗というのは数百あるドラゴンの鱗の中に1つだけ逆さまに生えた鱗があるんです。それが逆鱗という物でそこにダメージを与えればドラゴンに大ダメージを与えることが出来ます。」


「なるほど、つまり簡単に言うとドラゴンの弱点という訳か。」



「簡単に言えばですね。それでは逆鱗を探していきましょーう!!」


「お、おーう?」


とりあえず何故か異様にテンションの高いラナに少し引きつつも返事をする。


「グルルルル」


「あれ?どうしたんですか?お嬢様?お腹空いたんですか?」


はて?俺は腹を鳴らしただろうか?見に覚えが無いのだが?

しかも腹が鳴ったにしてはいくらか低音で大きいような?


「あれ?なんか水が降ってきたな洞窟内で雨が降るわけでも無いし水滴?」


「あ、お嬢様の上に」


「俺の上に何かいるのか?」


そーっと上を見てみる、ほうほう、なるほど。

どうやら俺達二人は大声を出しすぎたようだ。

ドラゴンさんがお目覚めの様だ、寝起きでご飯を食べるつもりですかね?


「ラナさん、これってどうしたら良いんですかね?」


「う~ん、…………殺りましょう!!」


おい、悩んだ結果がそれかよ。

嘗めてるのかな?

流石にこれは言ってやりたい。


「1つだけ言って良い?」


「良いですけど、どうしたんですか?」


あぁ、やっと言える。


「馬鹿なんじゃないの?殺れる訳無いだろ?」


「いえいえ!!お嬢様ならきっと!!」


ムカッ!!


「お嬢様がどんな人でどれだけ強いかは俺が知ったこっちゃねぇわ!!俺は俺なのよ?貧弱なの?分かるかな!?」


「むむむ!!そんなことないです!!お嬢様は凄いんですから!!この位のドラゴン何てヘッチャラですよぉ!!」


「だ、か、らー!!俺はお嬢様じゃ無いの?!外見はそうでも中身が違うでしょ!?」


「そ、そんなことないですもん!!お嬢様はお嬢様は!!う、うへぇぇぇん!!」


「えっ、ちょ!泣かないでも良いだろ!?」


というかドラゴン!!お前も「泣かした~~」みたいな目で俺を見るなよ!!


そんな目で見るなぁ!!










数分後



「はぁ、泣き止んだ?」


「はい」


「うん、まぁ俺もキツく言い過ぎたよ。ごめんな?」


「いえ、私こそすいませんでした。」


「グルル♪」


何気にずっと隣で一緒に居てくれたドラゴン君。

感謝しておこう。ありがとう。



グーー



「あー、えと、今度は俺の腹の音だな。」


「ふふ、じゃあすぐにご飯の用意をしますから洞窟の外で待っていてください。」


「おぉ、楽しみにしてるよ。」


「はい!楽しみにしていてください!!」






さて、ラナが料理を作ってくれている間は暇なので少しの間寝ていようかな。

あまり魔物も居ないっぽいし。


芝生の上に寝転がる。


「さて、おやすみなさい。」








「お嬢様、お嬢様!!」


「ん?あぁ、うん。おはよう。ご飯出来たの?」


「はい!出来ましたよ!!いやぁ今日は良い肉が手に入りましたからね!中々食べれるものでは無いですよ?味わって食べてください。」


本当に良質な肉が手に入ったのか机の上には様々な肉料理があった。


「なるほどなるほど。それでこの肉ってどうやって手にいれたの?大変だったでしょ?これだけの量を手にいれるの。」


「いえ、たまたまそこに大きな肉の塊が落ちてましたから。」



肉の塊?なんじゃそりゃ?


「んん?ねぇラナ?」


「何でございますか?」


「これってさ尻尾に見えるんだけど?」


「?そうですよ?尻尾の部分ですよ?」


「へ、へぇー、尻尾ね。」


気のせいだ、絶対に気のせいだ。気にしたら駄目だ。気にしたら駄目だ。


「この鉤爪みたいなのは?」


洞窟の前に明らかに動物の爪らしき物が落ちていた。


「??爪ですけど、それを加工して後で武器にでもしようかと。」



「そ、そうか。」


き、気のせいだよね?本当に気のせいだよね!?



あぁ、見てしまった極めつけを。


「ラナ?この翼みたいなのは何?」


「???翼ですよ?」


「ち、因みに聞くけど、何の?」


「〝ドラゴン〟のですけど?」


「そ、そうなのね。」


あぁ、ここまで聞いてしまっては仕方がない。

覚悟を決めるしかない。

でも、でも1つだけ言わせてくれ。


「ドラゴン君、君との思い出は少なかったけれど俺は絶対に忘れないよ。



ドラゴンくーーん!!」




その後食べたドラゴン肉は大変美味しかったです。


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