初戦闘?
ラナがチートだった所は置いといて。
今から俺の初戦闘が始まる。ラナにはオレが危なくなった時にだけ来るように伝えている。
とりあえず今回はショートソードを選んだ。双剣だの何だのという物よりは簡単に扱えるらしい。
らしいだけで俺基準だとどうなのかは解らないのだが。
俺は未感覚の物体がどんな物なのか気になってしまいショートソードを鞘から抜いてしまった。
後々こんなことするべきではなかったと後悔することになるとは知らずに。
ショートソードを鞘から抜いた途端に鞘の中から何やら瘴気のような物が飛び出し空へと昇っていった。
それはモクモクと大きさをドンドン大きくしていきオレが居る回りの範囲全体の空を全て埋め尽くした、と思いきや次は俺の方へ少し瘴気が降りてきて俺の体にまとわりついてきた。
「って!うわぁ!な、なんだこれ!?ちょ!ら、
ラナさーーん!!何これぇ!!」
咄嗟にラナの方を見てみるがそこに居た人物は元から居なかったように気配も遺さず居なくなっていた。
「え、マジで何処に行きやがったアイツ。」
イヤイヤ、ちょっと待ってくれよ。絶対に何か起きるぞこれ。まさか主人公覚醒パターンすか?
魔神でも出てくるの?嫌だぞそんなの!
オレが嫌な予感と不安に押し潰されそうになっていると回りからイヤーな気配がしだし、その気配は音に代わり始めた。
ドドドドドドッ!
その音はまるで沢山の生物が此方に走ってくるような音のような感じがした。
そしてその音の正体がオレの視角内に入る。
その正体は……
「予感的中だぁ。」
怒りの形相で此方に、というか俺に向かって走ってくる魔物達だった。
おぉ、オーマイガー。
そして魔物の一体が大口を開き赤い閃光が走ったのを目で見た瞬間にオレの頬を何かがカスッたような気がした。
俺は恐怖で体が震えるのを押さえつけて後ろを振り向くと後ろにあった木々達が燃えていた。
そして自身の少し長い髪を自分で掬い上げ見てみるとあれほど綺麗に輝いていた銀色の髪は一部チリチリに焦げていた。
その瞬間に俺は頬の痛みに初めて気がついた。
その痛みは感じた事の無いチリチリとした火傷に似た痛みを我慢しながらオレはその場から逃げ出した。
「それなのに何でアイツらはこっちについてくるんだ!!」
次々と此方に向けて飛んでくる攻撃を何とかギリギリ避けていくがそれでも何度も体にカスる。
やはり体が軽い気がする。
これが猫又に種族が変わった影響なのか。
五感が全て研ぎ澄まされている感覚がする。
それでも何度か攻撃が自身に当たってしまう。
とにかくオレは敵が追いついて来ないようにただ森を駆け走る。
「ハァッ、ハァッ。グッ!」
種族が変わって身体能力が上がってもやはりlevelが低いからか体力が尽きて倒れ付してしまう。
魔物達がすぐそこまで来ていた。
どうやら全然距離を離せなかったらしい。
ヤベェマジで死ぬ。俺の人生これで終わり?
まだ一週間もたたずに死ぬのか?
というかラナだよ。アイツ何処いきやがった。
あぁ、会ったら絶対に一発キツいの入れてやる。
覚えとけよ。
そして俺は目を固く閉じた。これから来るであろう激痛に耐えるために。
ん?あれれ?何時になったら攻撃されるんだ?
ちょっと待てくれよ。やるなら早くしてくれ。
これでも怖いんだから。え?何?焦らしてんの?
何時になっても攻撃されない事を不審に思った俺はそっと目を開けてみる。
そこには先程まで居た魔物達が消え去っていた。
ついでに俺の周りを漂っていた煙と空の煙が消えていた。
「どういうこと?」
あれ?あれれ?え?どういうこと?本当に
「説明させて頂きますね」
「うわっ!び、ビックリした。驚かさないでくれよ。というかお前マジでふざけんなよ!お前だけは許さねぇ!一応俺って主なんでしょ!?なのにその主を置いて居なくなるとかどうかしてるんじゃないのかなぁ!!」
「それについても説明させて頂きますから少し落ち着いて下さいお嬢様!うぅ、苦しいですお嬢様ー!!」
ハッ!どうやら内からあふれでる殺意でラナを殺ってしまう所だった。
危ない危ないうっかりしちゃったよ!
「ふぅ、では説明させて頂きますね。」
「どうぞ?」
「はい。実はお嬢様が持っているその剣は1つの強力な幻覚作用を持ち合わせているのです。
なのでお嬢様が先程まで見ていた魔物達は実物ではなく全て幻覚だった訳です。でもあそこまで引っ掛かるとは。何時か気付くと思ってたのですけど。」
「ねぇ?ラナ?」
オレは優しくニッコリ微笑みながらそっとラナに近づく。
「な、何ですか?」
ラナが何かを感じ取ったのかそろそろと後ろに下がって行く。
「少~しおいたが過ぎるじゃ~ないのかなぁ?」
「で、でも」
「でもも何も無いよね?だって俺って実質生まれて2日よ?わかるわけ無いじゃん?知識だって無いしわかるわけ無いでしょ?」
オレがラナに言うと面食らったように驚き、そうだったと言わんばかりの表情を此方に向けていた。
「ねぇ?言うこと有るんじゃないのかな?」
「す、すみませんでした!!許してください!!」
ラナはそれはもう綺麗な土下座を俺に繰り出した
それは良い。
ただオレが気になるのは、その土下座を何処で知ったのだろうか。それだけだ。
「ふぅ」
空を見上げてみる。太陽がサンサンと照りつけて良い天気だ。
なのに何で俺こんな事してるんだろう。
もう帰りたいなぁ。
久しぶりの投稿となります。
色々他にもやることが増えたので頑張らなくては。