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隠された秘密②

「……何したんだよ!!」

神崎は少しの間動きを止めた後、状況を理解し、東雲に詰め寄り、東雲の襟を掴む。


「仕方がないんだ!こうするしかなかったんだ!!」東雲は悔しそうにして、神崎を睨み返す。


「ふざけんな、どういうことだよ!華を消したそれはなんだ!」神崎は納得できるはずもなく、普段から想像も出来ないほどの形相で再び、東雲に恨むように問いただす。


「昨日、お前が寝た後、華さんと話をしたんだ。」

東雲は大切なことを伝えるように、出来るだけ冷静に努めようと、昨日の話を紡いでいく。



「それで東雲さんの話というのは何ですか?」華と東雲は東雲のリビングのテーブルで向かい合わせになって座る。


「ああ、明日の話なんだけど、どこに司令塔が在るのかを聞こうと思っていたんだ。」と東雲は聞く。


「方向としては南西の方向ですけれど、距離だと800キロ程度のところでしょうか?」と華は質問に答える。


「800キロ⁉︎それは1日2日では無理そうだな…」と、東雲は先の計画を考えるようにして呟く。


「それなら、私の翼で空を飛べるので、大丈夫ですよ、安心してください」華は問題ないことを伝える。


「翼⁉︎そうか、たしかに飛空人形も存在するし、出来なくはないか。」と東雲は納得する。


「それで、華さんからの話というのは何だ?」と続けて東雲は聞く。


「それは…」言いにくそうに俯いた後、覚悟を決めたように真剣な顔で東雲を見返す。


武器(ウェッポン):世界変動(フラクトエーション)」そう言って、花の右腕が銃をより機械的に近づけた武器に変化させ、それを腕から切り離す。そして、机に置く。


「これは?」東雲は理解できず、問う。


「これを向けて打たれた物質は過去に飛ぶことができます。持っている本人に向けて打てば、タイムマシンを保持したまま過去に戻れます。簡単に言えば、タイムマシンです。これで、2日前の私が意識を失っていたあの場所に送ってください。」華は淡々と説明する。


「!!!、そんな!魔術でさえありえないとされた、時を戻る装置だと⁉︎」驚愕の事実を前に、東雲は大声を上げる。


「ですが、これは、不完全なものなのです。転送の影響で転送直後は気絶してしまいますし、タイムパラドックスを起こせない。例えば、過去の自分を殺すとか。」華はもう一度不完全なものだと念を押すように言う。


「それでも、過去に戻ることが出来るというだけで、十分素晴らしいことだ!」興奮を抑えられず、東雲は返答する。


「…それで、これで何をしろと?」時間が少したち、東雲は冷静さを取り戻し本題に戻る。


「これで、私を打ってください」華は懸命な眼差しで、東雲に頼む。


「何を言っているのか、わかっているのか⁉︎それは、過去に戻って今の世界からいなくなるってことだぞ?そもそもそんなことをして何の意味がある!」東雲は華のありえない提案に叱咤する。


「私は、まだ東雲さんと神崎さんに伝えていないことがあります。」東雲の言葉を受けて、華は言い出す。


「……、私は司令塔のバックアップなのです。司令塔が万が一に破壊された時に、機械人形達の脳となる存在として作られたのです。ですから、司令塔と同じ力も持っていますし、人類に攻め込まれても見つからないようにするために、こんな風に人と区別のつかない姿をしているのです。機械人形を止めるためには私を破壊するしかないのです。」華は一気に言葉を吐き出す。


そして続けざまに、

「ですが!私を破壊してしまうと、人類は機械に勝利するための条件を知ることができず、神崎さんが来た未来のように滅びてしまうのです。それを防ぐために、私は過去に戻って人類に勝利の条件を伝えなければなりません。過去に戻れば今の世界からは私の存在はなくなり司令塔を破壊すれば機械人形は全て止まります。」華は悲痛の叫びとしてそう言った。


「まさか、華さんはずっとそうやって繰り返しているのか…?」東雲は全てに気づいたように、声を震わせて聞いた。


「はい、私はもう何百回もこの時間を繰り返しています。それが私の役目ですから」華は困ったように悲しく笑った。


「……わかった。」東雲は華に何も言葉をかけることが出来ず、了承の返事をした。


「でも、タイムマシンは?俺が持っていたら次の時に渡せないのではないか?」東雲は聞く。


「それなら、大丈夫です。一応私の武器ですからまた作れます。」


「神崎には伝えなくていいのか?」東雲は心配そうに聞く。


「いいんです、神崎さんは、私のことが好きすぎるからきっと悲しんで引き止めるでしょう。私は神崎さんの悲しんだ顔は見たくありませんから。」目尻に涙を残して、少し明るく笑った。




「そういうことだ、これしかなかったんだ、神崎だって薄々は気づいてたんじゃないのか?あれだけの機械人形が周囲にいたのにここまで一体も会わないとか、不思議だろう、司令塔の力で遠ざけてたんじゃないのか?」東雲は神崎に説明した。


説明を聞き、神崎は東雲の襟から手を離す。ヨタヨタと、おぼつかなく歩き、座り込んだ。

「そんな…、何でだよ!華さんが何でそんな目に合わなければならないんだ!あんなに優しい人が…!!」誰に言うわけでもなく叫ぶ。


東雲はそんな神崎に近づき、手紙を見せる。

「これは、『司令塔を破壊して私を過去に送ったら、神崎さんに渡してください、きっと神崎さんは私がいないと泣いちゃう人なので、これで元気付けてあげよかと!』だそうだ。」


神崎は手紙を手渡され、おずおずとその手紙を開く。





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