隠された秘密①
「ここから先は、飛空制限区域で飛ぶことができないので、歩きますね」そう華は言って、3人は司令塔から5キロほど離れたところに降りる。
「本当にこんな所があったのか…」東雲は司令塔の大きさに圧倒される。
「こちらです。監視兵があるので、見つからないよう私についてきてください」華はそう言って進み始める。
「ああ、わかった」神崎と東雲は、始め落ち着かない素振りを見せていたが、その花の声に反応し緊張した面持ちをする。
司令塔を中心として、その周りを囲むように様々な建物が建造されている。見つからないよう、建物の間をすり抜けながら3人は進む。周囲の離れた所からは、機械人形達の歩く音が聞こえるが、近くからは不自然なほど聞こえず、3人の足音だけが、木霊している。
そうして、見つかることなく司令塔の扉の前まで辿り着く。
「ここか?」東雲は確認として問う。
「はい、扉を開けて、中に入るとメンテナンス係の人形達がいますが、戦闘能力はありません。入ったら、躊躇なく破壊してもらえればそれで構いません。」そう華は説明する。
「「ああ、了解した。」」
2人は声を揃えて返事した。
「では、開けます。」そう言って華は扉の隣のモニターを操作する。
プシュー、そう音がして扉が開いた。
中で待ち受けていたのは、機械、メタリック的な物質とであるはずなのに、どこか神秘的なものさえ感じられ、感情に直接作用するような圧倒的な雰囲気が立ち込めていた。
「「…っ」」2人は唾を飲み込む。
少しの間の後、2人は互いに目を合わせ、魔術を起動した。
「「世界終末論」」
その直後、司令塔全体を覆うように光が発生し、内部機関は、全て消滅した。
(終わったのか?)そう神崎は思い安堵の息を吐こうとしたその時
ビリリリリ、と警報音が鳴り響きだした。
「なっ、どういうことだよ!」神崎は慌てて、声を出す。
しかし、神崎と対照的に東雲と華は落ち着いていた。
東雲は華と目を合わせると、互いに頷きあい、納得した表情をする。
そして、東雲は銃をより機械的にしたものを取り出し、華に向ける。
「…!!」神崎がそれに気づき声を出す間も無く、
東雲は引き金をひく
キューイン、そう単調な音がし、華は消えた。
気に入っていただけたら、ブックマークよろしくお願いします。