人類の勝利の条件②
「それは、俺の質問に対する答えに関係があるのかい?」東雲は華の目を見つめて問う。
「はい、納得してもらうために」華も強い眼差しで見つめ返す。
納得したかのようにして、東雲は言った。
「そうだな、脳だと俺は思うけど?」
「はい、そうですね、確かに脳のお陰で人類は知能の獲得出来ていると言えるでしょう。では、脳の一体何が知性を生み出しているのでしょうか?」華は再び問う。
「脳は脳だろう?それ以上でもそれ以下でもないさ」
さも当然のように東雲は言い、神崎も同意するように頷いた。
「いえ、脳にはニューロンという簡単に言えば電気回路のようなものが存在するのです。その電気回路を流れる電気の信号のやりとりこそが、知性と言えるものなのです」華は淡々と話す。
「そして、昔人類は魔術ではなく科学と呼ばれる技術を発展させていました。その時代には、このニューロンのような構造が人類以外に存在していたのです。いわゆるインターネットというものです。これは世界中のあらゆるところに張り巡らされ、まさに脳と同じような構造が意図せずして作られていたのです。そしてある時インターネットは、この構造によって知性に目覚め、人類と敵対し始めます。その結果、人類は90%以上が死に絶え、科学技術の殆どが失われました。
争いによって環境は急激に変わり、人類は進化を遂げました。そう、進化によって獲得したのが魔力です。そうして今まで、人類はインターネットという1つの生命体とも呼べるものと争っているのです。」ここまで告げると華は黙り込んだ。
2人は、失われた人類の歴史を知り、驚愕を露わにする。カチ、カチ、と時計の音だけが部屋に響く。
「…つまりそのインターネットというものを破壊すればいいのか?」数刻の後、東雲は問うた。
「はい、正確には、インターネットの膨大な回線がある、司令塔を破壊すれば全ての機械は止まります。全ての機械人形は、この司令塔と通信することで擬似的な知性を宿しているのです。理解していただけましたか?」華は事実だとということを認識させるように2人に言った。
「やるしかないか」神崎は立ち上がって言った。
「そうだな」東雲も同意するように立ち上がる。
「でも、どうやって破壊するんだ?」
神崎は華に聞く。
「私が司令塔の内部まで案内します。ただ、私の武器では、内部で使用できないので、破壊は、2人にお願いします。破壊自体は2人の力なら容易なはずです。」華は決まりきったこととして告げた。
「「了解!」」2人は口を揃えて答えた。
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