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19 9 9  作者: 一ノ宮 蓮
2019、私
4/4

私の孫の登場らしいです

「1番の理由は?」


柊斗は顔を覗き込んできた。

目が合う。

私はふふっと笑って人差し指を口に当てた。


「ひーみつー。柊斗には言わない」


「何だよそれー」


柊斗はまたあきれたような顔をした。

あんたに言うもんですか。

私は帰りの準備をする。


「私、今日急いでいるから先に帰るね」


「あ、おう」


そう言うと私は急いで教室を出た。


よし、最後の追い込み。

絶対負けないんだから。


ペンペンと頬を自分で叩いて外に出た。

1月の風は叩いた頰に冷たさが刺さって痛い。

予備校から家までは徒歩15分。

市街地を抜けた道に私の家がある。

晩御飯は何かなーと考えながら今日も帰る。

すると、女子高校生が「今見た?かっこよくない?」「やばいやばい」と言って通り過ぎた。

誰の事だろうと思って周りをキョロキョロする。

そして、私は自動販売機の側で立っている男子高校生と目が合った。

少し小柄だが中性的で端正な顔立ちをしていて、何処か知らない学校の制服を着ている。

そして、私の顔をじっと見ていた。


誰?この子。


私も不思議に思って見つめ返すと、突然男子高校生がこちらに近づいてきた。


えっなになに!?


私は驚いて思わず後ずさりをする。

男子高校生に知り合いなどいない。

そして、私の目の前に来てにこっと微笑んで一言。


「おばあちゃんですか?」







「......はい?」



思わず声が裏返ってしまう。

私は怪訝な顔をして男子高校生を舐め回すように見る。


頭おかしいのか、こいつ。


男子高校生は相変わらず私に向かって微笑んでいる。

口角が自然に上がっていて、見るからに好青年って感じの洗練された雰囲気だ。


19歳の私に孫?いやいやいやありえないから。まず誰とも付き合ってもいないし。

ていうか、あなたどなた?


心の中で色々突っ込むが、いざ言葉にしようとしても中々上手くまとまらない。

逃げ出したい。そんな衝動に駆られた。

そんな私を見て、男子高校生はくすっと笑う。


「いきなりそんな事言われても驚きますよね。すみません。俺の名前は 湊川 京です」


声は思っていたよりも少し低くてゆったりとした話し方だ。

京って珍しい名前だなと思いつつ、どうもと会釈する。


「冗談......ですよね?」


「冗談じゃないですよ」


遠慮がちに聞くとはっきりとした口調で返された。


「でも、孫とか......。私、まだ19なんで。」


私は後ろに数歩下がる。

笑顔を引きつらせて、逃げるタイミングを測った。

そんな私を見て男子高校生はガシッと私の手首を掴む。

彼の力は彼の穏やかな表情からは想像出来ない程強い。


「な、なんですか?」


「こっち来て下さい」



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