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19 9 9  作者: 一ノ宮 蓮
2084から初めまして
1/4

祖母


俺は小さい頃からばあちゃん子だった。

優しくて、料理上手。

若い時の武勇伝は最高に面白くて、いつも温かく見守ってくれる。

キラキラとした笑顔が素敵でみんなから好かれていた。

両親が共働きなので、祖母の家に預けられた俺は祖母から沢山のことを教えてもらった。

生き抜く為に必要な力を。


辛いことがあっても大丈夫。

きっと乗り越えられるさ。

後悔の無いように今を生きるのが大切。


その言葉を黒目がちな目で俺をまっすぐ見つめながら毎日のように言っていた。

どこかで聞いた事があるような言葉だが、祖母はまるで自分にも言い聞かせるように話すせいか自然と俺の胸に刻み込まれた。

そうだな、確かに後悔の無いように生きなきゃな。

この17年間、その祖母の言葉を大事にしながら生きてきた



つもりだった。


いや、つもりだったといっても一応真面目に生きてきたはずだ。

道を踏み外したりして、周りの人に迷惑をかけたりなんかしてないし、それなりに色々と頑張ってきた。

でも、俺は最近気付いた。

後悔せずに生きるなんて不可能。

こうしとけば良かったと悔やみ続け、大きな壁にぶつかって、途方もなく歩き疲れて、自分を見失って、生きる気力を無くす。

諦めなければならない事も多いのだ。

人生甘く無い。

そう思うようになったきっかけは1週間前。

俺は亡くなった祖母の遺品をロボ娘と整理していた。

物を捨てられないタイプらしく、珍しい紙製の漫画や文庫本が次から次へと出てくる。

ロボ娘は忙しそうに部屋中を動き回る。

中古の手伝いロボットにしては頑張ってる方だ。故障もしないし、なりより人間以上に頑張ってくれる。

俺はそんなロボ娘とは対照的にゆっくりと作業する。

せかせかするのは性に合わない。

本棚から1冊1冊本を取り出す。

すると、本棚の奥の方に赤い古びたノートがあるのに気付いて手に取った。

かなり年季が入っている。

表紙に書いてある消えかかった文字を読んだ。


『2019年 結城 香澄』


祖母の名前だ。

俺はノートを開けた。






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