動き出す関係
「佐藤さんに告白された」
金田はそう言うとおれの顔をのぞき込んでいた。
金田も顔が白かった。おれもたぶん蒼白だったはずだ。
おれは、わかっていたことなんだが、ショックを受けてしまった。わかりきっていたことなのにな。
「い、いつ?」
震えた声でそう聞く。どんだけ動揺しているんだよ、おれは。
「おまえが、昼寝している間だ。メッセージで、佐藤さんに呼びだされた」
「……」
「……」
やっぱりか。当たってほしくない予感が当たってしまったようだ。
「悪いな」
「なんでおまえが謝るんだよ」
「だってさ」
「おれが振られたのと、おまえが告白されたのは関係ねえよ」
おれは、強がってそう答える。悔しかった。でも、それは金田のせいではない。だけれども、金田のことを逆恨みしかけている自分がいた。
「それで、どう返事したんだよ」
そう、それが一番の問題だった。金田は果たして彼女のことをどう思っているのだろう。そして、蒼井さんのことを……。
「……」
「おい」
「……」
「えっ」
「……」
「金田さーん、生きてますか?」
完全にフリーズしていた。エスケープボタンも無効なくらい深刻なフリーズだ。
「もしかして、金田……」
「ああ、保留にしてもらった」
これだから、ラノベ主人公は。難聴を装うことをしなかっただけ、まだましだが……。
「ヘタレだな」
おれは思わず金田をなで斬りにしてしまう。
ぐへっと言って金田はベットに沈んだ。
「それで、結局、どうするつもりなんだ? おまえは、佐藤さんのこと好きなのか? それとも、ほかに好きなひととかいるのか?」
「まだ、わからない」
「そっかあ。わからないか~」
なんだか、心配していた自分が馬鹿らしくなってきた。典型的な優柔不断系主人公になっていしまっている。この状況ではなにをしてもダメだろう。
「少し休憩しようぜ」
「ああ」
「おれ、夜食と飲み物取ってくるわ」
そう言って部屋をでた。金田はベットにうずくまったままだった。




