表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/96

二日目の夜②

 夕食を食べ終わったおれたちは、お風呂に入り、再びリビングに集合した。

 金田おススメの映画上映会だ。

 管理人さんが、コーヒーとお菓子を用意してくれていた。もう、最高の環境だ。


 金田が用意していた映画は、やっぱりというか、もちろんというか“アニメ映画”だった。

 だが、心配していた超マニアック作品とかではなく、硬派なSFとかめぐりあい宇宙とかでもなく、意外というか恋愛映画だった。それも、萌え系ではなく、ガチ純愛もの。図書館で涙ぐみながら読んでいた『恋の空』を思いだすおれだった。おれは、こういうのが大好きだ。金田の趣味からは離れている内容なのに、空気読みすぎて、逆に読めていない。


 内容は、相思相愛であった中学生カップルが、親の転勤で離れ離れになって、少しずつ疎遠になっていくという内容だ。なんというか、意味深すぎるだろう。どうして、このタイミングでそうなったんだ。

 しかし、間違いなく、名作だった。最後のシーン。ふたりは偶然、街ですれ違うんだけれども……。そのラストシーンの美しい風景が、より感動を大きくする。


「運命のいたずらすぎるだろううううううう」

 おれは、涙目で前が見えなかった。

「だろう、この切なさが、最高なんだよな」

 金田も目が潤んでいた。たしか、五回は見たと言っていたのに……。

 女子たちも、ハンカチを使って目をぬぐっていた。特に、蒼井さんは、自分の境遇に投影したのだろうか。号泣していた。金田の癖に、どうしてこのタイミングで、こんな最高の映画を選んだんだ。らしくない。いつものラノベ主人公属性はどこにいった。偽物か。偽金田なのか。


 いつもならツッコむはずなのに、映画の内容が最高過ぎたので、ツッコむことも忘れてしまう。主題歌が頭の中でループしている。そのループごとに、あの切ない結末を思いだして、涙ぐむおれだった。


 ああ、こんな青春を過ごしたかった。絶賛、青春を謳歌しているはずのおれなのだが……。どうして、こうなった。

 もう、来世にかけよう。早く転生したい。

 こうして、夜は更けていく……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ