二日目の夜②
夕食を食べ終わったおれたちは、お風呂に入り、再びリビングに集合した。
金田おススメの映画上映会だ。
管理人さんが、コーヒーとお菓子を用意してくれていた。もう、最高の環境だ。
金田が用意していた映画は、やっぱりというか、もちろんというか“アニメ映画”だった。
だが、心配していた超マニアック作品とかではなく、硬派なSFとかめぐりあい宇宙とかでもなく、意外というか恋愛映画だった。それも、萌え系ではなく、ガチ純愛もの。図書館で涙ぐみながら読んでいた『恋の空』を思いだすおれだった。おれは、こういうのが大好きだ。金田の趣味からは離れている内容なのに、空気読みすぎて、逆に読めていない。
内容は、相思相愛であった中学生カップルが、親の転勤で離れ離れになって、少しずつ疎遠になっていくという内容だ。なんというか、意味深すぎるだろう。どうして、このタイミングでそうなったんだ。
しかし、間違いなく、名作だった。最後のシーン。ふたりは偶然、街ですれ違うんだけれども……。そのラストシーンの美しい風景が、より感動を大きくする。
「運命のいたずらすぎるだろううううううう」
おれは、涙目で前が見えなかった。
「だろう、この切なさが、最高なんだよな」
金田も目が潤んでいた。たしか、五回は見たと言っていたのに……。
女子たちも、ハンカチを使って目をぬぐっていた。特に、蒼井さんは、自分の境遇に投影したのだろうか。号泣していた。金田の癖に、どうしてこのタイミングで、こんな最高の映画を選んだんだ。らしくない。いつものラノベ主人公属性はどこにいった。偽物か。偽金田なのか。
いつもならツッコむはずなのに、映画の内容が最高過ぎたので、ツッコむことも忘れてしまう。主題歌が頭の中でループしている。そのループごとに、あの切ない結末を思いだして、涙ぐむおれだった。
ああ、こんな青春を過ごしたかった。絶賛、青春を謳歌しているはずのおれなのだが……。どうして、こうなった。
もう、来世にかけよう。早く転生したい。
こうして、夜は更けていく……。




