おとこ部屋
女子たちが深刻なガールズトークをしている一方、同時刻、おとこ部屋では……。
「おれのターン。ドゥロオオオオオオオオオオオオオ」
「ふっ、金田よ。なにをしても無駄だ。次のおれのターンで、おまえは無様な敗北をむかえるのだ」
おれたちは、子どものころ流行っていた懐かしのカードゲームで遊んでいた。ベットの上で、男子高校生がキャッキャウフフと、闇のゲームを遊ぶ光景がそこにはあった。しかし、おれたち、ノリノリである。
「それはどうかな」
金田は、アニメの主人公みたいにドヤ顔だった。
「なにっ!?」
「おれは、三体のドラゴンを生け贄に、このカードを召還する」
「ま、まさか」
金田の場に現れたモンスターは、ネットオークションで数万円の値段もする幻のレアカードだった。
「そんなレアカードをいつの間に……」
「ネットオークションで落札した」
「この金持ちめっ……」
どこの社長だよ。いや、将来はそうなるんだろうけどさ。
「おれは、このカードの効果を使い、お前にダイレクトアタック」
「しかし、おれのカードの効果で、モンスター効果は無効化され……」
「モンスターではない。きゃみだ」
劇場版の名言まで、金田の口から飛び出しておれのライフをごっそりもっていかれてしまった。
無残にも、おれの電卓上のライフは0を指し示す。
「ぐああああああああああああああああああああ」
お約束の敗者の言葉を出しながら、おれはベットにうずくまる。
この前のスポーツ大会で勝って以来、勝負事で金田に連敗中だった。
「それでは、罰ゲーム。“不夜城への強行軍”」
「くそう、いってきてやるよ。コーラとお菓子でいいよな」
「おかいまなく~」
こうして、おれは徒歩十分のコンビニへとダッシュした。
外は、それはそれはきれいな夜空だった。




