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ガールズトーク
バーベキューが終わって、わたしたちは自分たちの部屋に戻っていた。そこには、わたしと佐藤さんのふたりだけ。
空調が効いた部屋で、管理人さんが用意してくれたアイスを食べている。最高の贅沢だ。
「美味しかったね」
佐藤さんは、嬉しそうにそう言った。昔から、同じ学校だったけど、彼女とはここ数カ月で急激に仲が良くなった。
発端は、男友達が告白して玉砕したせいなんだけどね。塞翁が馬ってこういうことを言うのかな。
「うん、とっても」
わたしは本心で答える。
そう答えると、佐藤さんは笑ってこう言ったのだ。
「ねぇ、イズミちゃん? ガールズトークしよっか?」
その顔は、覚悟をきめたように、しかし、憂いをおびた色を持っていた。少し前から、もしかしてとは思っていた。わたしも、彼女とここでガールズトークをしたかった。しなくてはいけないのだ。たぶん、彼のことだ。
彼女は続ける。
「イズミちゃんが、彼のことを好きって自覚したのいつから?」
ああ、やっぱりか……。わたしは、決心を固める。




