海水浴2
ふたりの美少女の水着姿は、そう……。
神々しかった。
「目がつぶれそうだ」
「僥倖」
「望外」
「後光がみえる」
ふたりで、考えられる厨二セリフを吐き出す。将棋の中学生プロに影響されている。あの子、年下に見えない。
蒼井さんは、大胆なビキニ姿。いつもとのギャップがすごい。
佐藤さんは清楚なワンピースタイプの水着だった。ああ、死んでもいいわ。月が見えないのに、月が綺麗ですねとつぶやきたくなる。そんな姿だった。
「ふたりとも、変な顔になっているよ」
蒼井さんがそう注意してくる。いや、これは不可抗力。自然の摂理。だから、しかたないのだ。
「マム、イエス、マム」
金田は興奮した様子でそう言った。おまえはどこの海兵隊だ。
「もう、気持ち悪いな~」
はげしく同意である。自分のことはたなにあげて、そう思った。
「「さあ、遊ぶぞ!!」」
幼馴染コンビはそう言って、海に走っていった。
おれたちは、取り残される。
「ねえ、山田くん?」
佐藤さんは少しだけからかう様子でおれに話しかけてきた。
「なにか言うことはないのかな?」
彼女はいたずらな笑顔でそう言った。
「すごく、似合ってます。本当に」
「よかった。じゃあ、わたしたちもいこう!」
おれたちふたりも、金田たちの後をおいかける。幸せな高校二年の夏休みがはじまった。




