表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/96

海水浴

「さて、遊ぶぞ!!」

 金田は、意気揚々と海に繰り出していった。おれたちは、やつについていく。正面には、青く輝く海が広がっていた。


「しかし、夏なのに、がら空きだな」

 そう、ビーチはほぼ貸し切り状態だった。明らかに不自然だ。これは、絶対に“金”の力が絡んでいる。これだから(以下略)。

「そりゃ、そうだよ。おれんちのプライベートビーチだからな」

 やっぱりか。うん、知ってたよ。

「さて、泳ぐぞ」

 そう叫んで、金田は海に飛び込んだ。

 おれも続く。女子二人は、日焼け止めや水着に着替えるのに時間がかかるそうで、あとから来るそうだ。


「さあ、あの岩まで競争だ」

「ははは、おれを捕まえてみな」

「やったなー」

 なぜか、男二人でお約束のシュチュエーションを潰していくおれたち。これでは、またあのネタが流布されかねない。しかし、この金田、ノリノリである。


「よし、水鉄砲を使ってFPSごっこしようぜ」

「FPS?」

「ようは、銃を打ち合うゲームだよ。先に三発くらった方の負けな。頭は即死ってことで」

 好きな水鉄砲をえらべということで、おれは適当にかっこいい銃を選んだ。プラス水風船も二つ支給された。

「おう、拳銃か。じゃあ、おれはこのピーちゃんで」

 金田は、独特な形状の水鉄砲を選んだ。長方形で、全体的に丸みをもっていた。なんか、変な呼び方をしている。きっと、アニメかラノベに影響を受けているのだろう。


 おれたちは、適当に距離をとった。おれは岩の影に隠れる。

 金田は泳いで、水の中から近寄る方針らしい。

「じゃあ、ゲーム開始」

 金田がそう宣言すると、おれは岩の影から金田に向かって水鉄砲を発射する。

 金田は水に潜って、それを回避すると、一気に間合いを詰めてくる。


 おれは、意味もなく水を乱射する。

 しかし、金田は水の中。やつはどんどんと近づいてくる。まるで、ジョーズだ。怖い、怖すぎる。


 そして、やつはおれの近くにやってくると、ばしゃーんと音を立てておれに飛びかかってきた。おれは反撃で、水鉄砲を発射する、二発が金田の体に直撃した。よし、あと一発。そう思って引き金をひいたおれは、愕然とした。水が出ない。弾切れだ。


「おろかなり、山田よ。天誅」

 金田の銃から発射された水が少しずつおれの顔に迫ってくる。すべてがスローモーションのように感じた。これなら、避けられる。余裕だ。しかし、おれの体も同じようにスローモーションとなっていた。少しずつおれの顔に冷たい感触が伝わってきた。終わった……。そう思って、おれはもっていたものをすべて投げ出した。


 ばしゃんという音がする。

「くそう、引き分けか」

「えっ」

 びっくりした。金田の顔もびしょびしょだった。さっき持っていたものをすべて投げた時、水風船も一緒に投げたのだ。それがたまたま、金田の顔に直撃したらしい。なんというラッキーパンチ。


 そんなこんなで遊んでいると、ビーチから声がした。ついに今回のメインイベントの時間がはじまるのだった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ