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金持ち彼氏と貧乏彼氏  作者: D@2年連続カクヨムコン受賞
第五話 スポーツ大会!?
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打ち上げ

 大会の後は、あれよあれよと時間が進んでしまった。

 クラスメイトに囲まれて、ワイワイと胴上げされて、簡単な表彰式を済ませた。そして、クラスメイト(というか金田だが……)の「打ち上げ行くぞ~」というかけ声とともに、今は焼肉屋にいる。


「それでは、みなさん、スポーツ大会お疲れ様でした。今回は卓球の団体戦・個人戦一位、二位、女子バレー四位といい結果を残せました。今日は食べ放題なので、たくさん食べましょう。乾杯~」

「「「乾杯」」」


 金田が乾杯の音頭を取る。敗戦のショックはほとんどないようだ。サッパリしている。

 おれは、優勝した実感もほとんどないのに。これでは、どっちが勝ったのだかわからないじゃないか。


 しかし、せっかくの焼肉だ。とりあえず、食べよう。おれの横で金田が大量のカルビを網に投入していた。

「しっかし、山田と金田の決勝戦すごかったな」

「うんうん」

 同級生がグイグイと突っ込んでくる。

「どれくらい練習したんだ?」

「えーと、一日二時間くらい?」

 おれがそう言うと、友人たちが若干引いていた。

「ガチすぎ」

「もはや、部活じゃん」

「草生える」

 某動画サイトのコメントのような辛辣な評価が並んだ。


「どうして、そんなに頑張ったんだよ」

 焼けたカルビを口に運ぶ。久しぶりの焼肉だ。口の中で油が暴れる。

「どうしても、負けたくなかったんだよ」

 おれは、ポツリとそう言った。そう言うと、今日の出来事が走馬灯のようによみがえる。そして、「ああ、おれは金田に勝ったんだな」という実感に襲われる。嬉しい。嬉しすぎて、口がにやけてしまう。


 おれは、慌ててジンジャーエールを飲み干す。そうしなければ、完全にきもち悪い笑いがでてしまいそうだった。


 そんなこんな話していると、金田が近づいてきた。

「おう、山田。食べてるか」

「食べてるよ」

 少しぎこちない会話になってしまう。

「これだけは言わせてくれ、山田」

「……」

「ぐやじいいいいいいいいい。金がいいんですううううううう」

 そんなことを言いながら、座敷をゴロゴロする金田。

 クラスメイトから、笑いが起きた。

「でも、優勝おめでとう。山田」

 手を差し伸べてくれる。

「ありがとう」

 おれも手を握り返す。

 握り……


「痛ええええええ」

 金田が全力でおれの手を握りしめたのだった。みんなが大笑いしている。

 こうして、おれたちはいつもの日常に戻っていく。


 打ち上げの帰り。

 おれは夜空を見上げていた。

 スマホには、一件のメッセージが来ていた。

 勝利の女神からだった。彼女からのメッセージは短くこう書かれていた。

「優勝おめでとう。今日はとってもかっこよかったです」と。

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