学校①
ついにゴールデンウイークが終わってしまった。
色々と(黒歴史も)あったが、なかなか濃厚な日々だった。
そして……
戦争のゴングが鳴るのだった。
連休明けのクラスは、みんな浮ついていた。どこに旅行に行ったのかや、みていたテレビ番組の話などなど。去年はどこにも行けなかったので、肩身が少し狭かったが、今回はちゃんと日帰り旅行までしているのだ。どや顔で、旅行トークに参加できる。ウキウキでクラスメイトに話しかけようとしたその時。
奴がきたのだった。
「おう、山田。この前はありがとうな」
金田はいつものように、ルンルンだ。こいつにはサザエさんシンドロームのような概念はないのだろうか。いつもこんなに元気で、うらやましいかぎりだ。日曜日の学校イヤイヤ期のおれに、爪の垢を煎じて飲ませてくれないだろうか。いや、金田の爪の垢はのみたくないけれど……
「おまえら、連休中になにかあったのか。いやに、親密そうですな~」
クラスメイトがそう突っ込んできた。やめろ、そんなことを言うと、あの惨劇を思いだしてしまうだろうが。
「ああ、実はふたりきりで、濃厚な休日を過ごしてな」
金田はどや顔で、誤解を生みそうな発言をする。こいつはわざとだ。
「おいっ!」
「なんだよ、あの濃厚な日々は遊びだったのか」
「だーかーら、遊びに決まってるだろう」
旅行が遊びじゃなかったらなにになるんだ。そう思って、反射的に金田に突っ込んでしまった。言ったときに気がつく。これは大悪手だ。
「ひどい。おれとの日々は遊びだったのね」
やはりこうなったか。
「がやがや」
「おい、あのふたり、まさか」
「イズミちゃんかわいそう」
「センテンス・スプリング」
「アッー!」
クラスは阿鼻叫喚の反応をみせた。やめて、ネット配信はやめて。
「おまえ絶対にわざとやってるだろう」
「ナンノコトダカサッパリ」
金田は不自然に片言となった。こいつは絶対に確信犯だ。完全にはめられた。
こうして、連休明けそうそう、話題の中心になってしまったおれだった。いや、少しだけ美味しいとかおもってないんだからね。勘違いしないでね。この負の連鎖に対応する方法をだれか教えろください。いったい、何回このひっかけにひっかかっているんだろうか。
そして、黒板に書いてある行事予定を見ておれは気がつく。
「ああ、もうすぐテストか」と。
おれの人生を揺るがすあの激闘の日日がまた始まろうとしている。




