表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/96

カフェにて

「ヘェーソイツハタイヘンダッタナ」

 金田は機械音のような声でそう言った。いかにもわざとらしい態度だ。かなりむかつく。

 おれは、金田たちと昼ご飯を食べている。

 なりゆきで、佐藤さんも一緒だった。


「ねぇ、イズミ奥様。信じられますか。()()、本屋で同級生に出会って、()()、ふたりでエレベーターに閉じ込められるなんて」

「そんな()()、ありえないよ。どこのラブコメ主人公だよって感じですわね」

 おれたちは、こんな風に幼馴染コンビの厳しい追及を受けていた。かなり厳しい追及だ。

 もうカフェに入ってから十五分はこんな感じだった。


「じつは、ふたりとも付き合ってるんじゃないの?」

 蒼井さんは死んだ魚の目でそう言う。抜け駆けずるいという非難の目だ。

「「違います」」

「息ピッタリだし」

 金田も同調した。

「「だから」」

 おれたちは、火に油を注いだ。


「第三者の厳しい目でみると、限りなくアウトに近いアウトですね」

 蒼井さんはそう断じた。もう目は生き返っていた。完全にアウトです。本当にありがとうございます。

「わかったよ。ここの代金奢るから、許して」

 おれは全面降伏した。おれには、腹案があった。

「そんなこと言って、どうせさっきもらった商品券使うんだろ」

 あっ、腹案が簡単につぶれた。今日の金田はいつになく鋭かった。デパートの店員さんから、お詫びにもらった商品券を目撃されていたらしい。

「じゃあ、金田だけ、自腹な」

 一矢報いようとするおれ。

「大変申し訳ございませんでした」


「美味しかったな、あそこ」

「うん、デザートのケーキも最高」

「わたしまで、ありがとうね。チョコももらったのに」

 三者三様の感想だ。

「「「ごちそうさまでした」」」

 みんなホクホクしている。おれを除いては……。


「なあ、おかしいぞ。金田。もらった商品券が全部レジに消えたんだ」

「ナニソレコワイ」

「おまえたち、頼みすぎだあああああああああああああああ」

 日替わりランチにケーキにドリンクとフルセットを注文されたおれの財布から、商品券はすべて蒸発した。危うくF〇で有り金全部溶かした顔の人になるところだ。


「まあ、まあ。たまにはいいじゃない」

「そうそう、おれにいつも奢らせてるじゃん。イズミからも毎回ケーキもらってるし」

「まぁ、そりゃあ、そうだけどさ。でもさ~」

「男気あってかっこいいよ」

「んだんだ」

 幼馴染コンビの棒読みで、ウヤムヤになってしまった。

 自然に笑いが起きた。


「本当にありがとうね。三人とも本当に仲いいんだね。少しうらやましいな」

 佐藤さんは笑いながらそう言った。

「また、一緒に遊んでね」

「「「もちろん」」」

「じゃあ、デートを邪魔しちゃ悪いから。またね」

 彼女は帰っていった。

「じゃあ、おれも。ふたりとも仲良くな」

「うん、また月曜日。学校で」

「バイバイ」


 トラブル続きだけど、おれの休日はいつの間にか楽しい休日になっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ