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「―――遅くなって悪い、クローディア」「ごめんなさい。寂しかったでしょう」


 玄関で待っていたメイドに案内され、案内された薔薇園手前。立派な十字架の下で眠る親友に、俺達は涙を零しながら謝罪した。

「泣かないで、二人共」

 各々にレースのハンカチを差し出しながら、記憶より幾分皺の増したランファが慰めの言葉を掛ける。

「無事に戻って来てくれて、クローディアもきっと喜んでいるわ。さ、長旅でお腹が空いているでしょう?積もる話はスコーンを食べながら」

 ニッコリ。

「朝一で沢山用意したのよ。二人共、今日はお腹がはち切れるぐらい食べてね。勿論あなたもよ、ジョシュア」

「はいはい。ま、もう前みたいに毎日君が料理してくれる訳じゃないし、喜んで頂かせてもらうよ」

 別宅で待つ息子の話か。となれば彼女に頼らないで済むよう、早い内に料理当番を決めておかないとな。まぁ万年座敷童のジョシュアはともかく、桜は一通り調理出来た筈。彼女の指導を受けつつ、のんびりやれるとするか。

「あの、ランファ。ティータイムの準備、私にも手伝わせて下さい」

 細い拳を握り締める桜。その成長した妹分の姿に、ああ、俺も釣られて頷く。

「あんたにも散々心配掛けちまったからな。俺達に出来る事なら何でも言い付けてくれ」 

「ふふ、ありがとう。少し会わない間にすっかり頼もしくなったわね、二人共」

 クスクス。

「じゃあアダムへの仕事は後で頼むとして、桜。紅茶の準備をお願いするわ」

「はい!」

 その後気を遣ったのか、俺へは声を掛けず皆『ホーム』へと入って行く。残された頬を、懐かしい大河からの風がそっと撫でた。


「―――なあ、クローディア。赦せる筈無えよな、お前を殺した連中を……!」


 あの甘い性格だから、オッサンは敢えて何も告げなかった。しかし言外で、昔通りひっそりと生きて欲しい、そう意志表明していた。だが、

「仮令キューやDrを取り戻したって、このまま泣き寝入りしたらまた同じ事の繰り返しだ!なあ、そうだろ……!!」

 何れは前以上の多大な犠牲が出、家族は再び引き裂かれる。違う。二度目ともなれば、聖族政府も本気を出してくる筈だ。事実を捏造し、全員抹殺も充分有り得る。


「だから、クローディア―――俺を恨んでくれていい。お前の力を貸してくれ」


 こんな不甲斐無い俺でも、『ホーム』を守護する剣となるために。




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