部室
拝啓ご両親様
入部届けはどのタイミングで出せばよいのでしょうか?
「諸君、揃ってるかな?」
ドッカーンと扉を開く美人の先輩。
蝶番壊れてないかな?と余計な心配をしつつ室内を見るが誰も居ない。
「まだ誰も来てないのね」
まったくもぅと言いながら頬をぷっくり膨らませて室内に入り何やら棚を漁り始めた。
少しの間棚の中身を探ると此方おいでと手招く。
「みんな来てから言おうと思ったんだけど、部員みんなでこれやってみようと思うの」
言いながら差し出したのは童話コンクールの案内
「様式、文字数、ジャンルも自由なんですね」
案内に目を通しながら言うと愛美先輩は満足げに
「うん、そうなの
これならみんな好きなものを自由に楽しんで書けると思ったの
先生からも許可は出てるから、後は部員のやる気次第」
眩しいものを見るように先輩は案内を見つめた。
「ちゃーっす」
開きっぱなしの入り口からやる気の無い挨拶とほんの少しぼさぼさ頭の小柄なモヤシっ子が入ってくる。
「遅かったねぇ」
「ホームルームが長引いたんですよ
その子は新入生?」
体格に似合わない重そうな鞄を降ろしつつちらりと此方を見る。
「私が勧誘してきたんだよ」
桜庭美姫ちゃんだよと少し得意気に紹介してくれる愛美先輩に続けて挨拶する。
「へー、俺は2年の日陰モヤシ宜しく」
手を差し伸べて握手を求めてくる。
「・・・日陰モヤシ先輩???」
「違うでしょ!!」
繰り返し名前を言った瞬間に鋭い突っ込みが入る。
モヤシっ子を見ると腹を軽く抱えて笑っている。
「ぶくくっ・・・素直だねキミ・・・はははっ!」
あー、腹痛てぇー未だに腹を抱えながら有るか無いかわからない腹筋を撫でる
愛美先輩は額に手を当て軽くため息を吐くと
「ごめんね、こいつは日向昴
名前と見た目が反比例してるからふざけて名乗っただけよ」
「ふざけてないよ
日陰モヤシは俺のペンネーム兼ハンドルネームなんだから」
漸く笑いが収まったらしい昴先輩はにっかりと歯を見せて笑いながら言いきりました。
この部活で私は本当にやって行けるのでしょうか?
先行き不安です。