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長女の誕生日に寄せて

作者: まおちゃり

 長女が二十歳はたちの誕生日を迎えた。あれからもう20年!?ついこないだのことのような気がするのに……。

 お腹がしくしく痛み始めたのは、日曜の朝だった。主人は友だちとツーリングに行く約束をドタキャンしてくれ、ずっとそばにいてくれた。

 お昼すぎ、病院へ。熱を測ると、なんと39.4℃。「これが産褥熱ですか?」と先生に尋ねると、「いや、それは産んだ後の話。今高熱があるのはおかしい。」と慌てられる。

 直ちに連携する総合病院へ連絡して下さり、先生自らの運転で緊急転院。主人は荷物を乗せて不安そうに後ろから付いてきた。

 車中で看護師さんから「おそらく帝王切開になるでしょう。」と告げられ、覚悟を決めた。

 ところが抗生物質を点滴してもらうと、不思議と熱が引き始めた。一時200を超えていた赤ちゃんの心拍数も、幸い落ち着いてきた。これなら自然分娩で大丈夫だろうということになった。

 午後6時15分、破水。骨盤をこじ開けられるような激痛に、ベッドの上でのたうち回った。結婚指輪はベッドの柵を力いっぱい握りしめた結果、歪んでしまった。

 午後8時47分、分娩室に元気な産声が響いた。12時間の闘いが終わった。

 お世話になった先生方への感謝、心配をかけてしまった家族への申し訳なさ、無事に生まれてきてくれたことへの喜びと安堵……いろんな感情が渦巻いて、涙がとめどなく溢れた。

 高熱の原因は分からずじまい。当初は何らかの感染が疑われたが、そうだとすれば点滴ですんなり治まることはないそうだ。結局今も初産の緊張による「知恵熱」ではないかということになっている。

 りんごを「にーんご」、ぶどうを「ぶでょ」、ぞうさんを「どったん」、くまを「ぶっぱ」と言っていた長女も、今では大学2年生。県外に暮らすためお祝いは連休に前倒しとなったが、生まれた時刻に次女がLINEでメッセージを送ってくれた。そういえばLINEも20年前にはなかったなぁ。

 充実した学生生活と20代を謳歌してほしい。

 お誕生日おめでとう!!

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