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第9話 侵入者


更新おそくなってすいません!

前話に引き続きソリス目線でいきます。




「これは!?」


「なんだよっ、これ!」


 アルから濁流のように流れ出る魔力に俺たち二人は構えるので精いっぱい。こんな魔力、初めてだ。士官学校でも魔力の訓練をするがこんな量の魔力感じた事がない。・・・いつもこんな量の魔力を体に保有していれば、体がもたない。しかも放出し続けている割に一向に魔力量が減った気配を見せない。このままじゃ、当たり続けている俺たちも危ないし、出し続けているアルもどうなるか分からない。


 兄上がなんとか魔力の流れに抗ってアルの方へと行こうとするが、濃密な魔力に全然進む事が出来ていない。俺は実際立っているだけで限界だ。


「アル!ユーリグ!ソリス!」

「坊ちゃまがた、ご無事ですか!?」


 母上とミシェラの声が遠くから聞こえてくる。きっと二人もこの大きい魔力の気配に気づいたはいいけど、近寄って来れないんだろう。てゆうか、この量と濃密さに畏怖の念すら抱いているだろう。


 俺達だけじゃどうしようもないことに思わず舌打ちが漏れる。アルは既に意識を失っているようでまたぐったりとベッドに身を委ねていた。・・・アルが心配だ。アルの様子に心がざわめいて泣きそうになる。誰でもいいから助けて、お願い。もう、誰かに頼ることしか出来ない俺は強く願った。


 一瞬、俺たちに押し寄せる魔力の波が止まった。


 俺も兄上も状況把握が出来ないままポカンと口を開ける。誰も喋らないその静寂を破ったのは気の抜けた知らない誰かの声だった。


「あー、なんかー、めちゃくちゃ大きい魔力のー、気配を感じましてー、ワタクシ飛んで参ったでーす。

んー?皆さん口が開いてらっしゃいまっすー。かっこいいお顔が台無しですよー、ガキンチョども。」


 そいつは部屋の窓から入ってきてアルの頭を撫でると俺達を見渡しにやりと不敵に笑った。そいつの恰好は黒いマントに覆われていたが華奢な体ということが分かった。薄い藍色の背中までの髪をさらさらと流し、金色の瞳を猫のように光らせている。薄いピンク色の唇がニヒルな笑みを浮かばせていた。


「・・・お前、何者だ?」


 いち早く正気に戻った兄上が腰にかかったままの剣を抜き、侵入者へと向ける。確かにこいつは怪しい。アルの魔力を止めてくれたというのはなんとなく分かるが、何故?という疑問が解消できない。しかも、黒マント。黒いマントなんて盗賊や怪盗たちが夜に紛れるため、好んで着ている。


 母上やミシェルはアルのところへ行きたそうにしているが今一番アルの近くに居るそいつが近づいたらどんな行動を取るか分からない。膠着状態が続くと思っていたが、それはあっけなく破られた。


「アル!アルティス!無事か!?」


 侵入者と同じく窓から入ってきた父上によって。


 父上は侵入者を邪魔だとでも言うかのように手で押しのけアルの様子を窺う。その様子をまたも間抜けな表情で見つめる俺等。さっきまでの笑みを消して不機嫌そうにそれを見る侵入者。多分今この状態がよく分かっているのは父上ただ一人だろう。そしてその父上は説明をほったらかして心配そうにアルの顔色を見る。


 アルの顔色が良くなってたのかちょっとの疲れを滲ませた笑みを母上に見せる。母上もその様子にほっと息をついたのが分かった。


「・・・アルはもう大丈夫だろう。

助かった、ありがとうメドキルア。君が居なかったらアルは体が魔力によって崩壊するところだった。」


「礼には及ばないよー、ライアン。君にはー、いつも世話になっているからねー。このくらーいお安いご用さー。

それにー、さっすがライアンの息子たちだよねー。ワタクシに一丁前に剣を向けたんだー。最近じゃー全然ワタクシに勝負を挑む奴が居なくなったからねー、ちょっとわくわくしてしまったよー。」


 和やかに父上と話し出したメドキルアと呼ばれた侵入者は、また金色の瞳を輝かせ話を続けた。


 



 母上が全然説明をしない父上にキレる5分前の出来事でもある。







ありがとうございました。

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