第7話 親愛
数日更新できなくてすみません。
学生なので就業体験に行ってました!なのでいつも更新している時間は寝てしまってました、ごめんなさい。
体の熱さで目を覚ます。この感覚はまた魔力過多症の発作か・・・。あ、そういえば薬飲むの忘れてた。
発作のせいでぼやける視界を、クリアにしようと目を瞬かせるがあまり意味はなく、自分の不甲斐なさにため息をついた。最近は飲み忘れる事もなかったのに・・・。
今が夜かどうかも分からないが、きっと部屋から出てこなかったらお母さんが様子を見に来るはず。具合が悪い状態での一人ぼっちは寂しいし。ああ、でもミシェラさんだとやだな。精神的に病む。
目は口ほどにものを言うとは上手く言ったものだと思う。前世から人の視線は苦手、伯父さん伯母さんの顔色を窺いながら生きていれば自然と人の気持ちを感じ取りやすくなった。その方法は目だ。たとえ顔は普通でも目が冷たかったり、嫌悪だったり、好奇をのぞかせていたり。喜怒哀楽がありありと分かる。だから極力目を合わせなかったり、喋らなかったりして感情を感じ取らないように努力してきた。・・・その結果前世では寂しい人生を送っていましたとも。
昔の事を思い出すのはたいていこう弱った時が多い。でも思い出したくない事がほとんどだから早く今のお母さんに会って癒されたい。荒んだ心に潤いが欲しいよ。
そんな事を悶悶と考えているとどたどたと大きな足音が聞えてきた。この足音はソリス。お父さんに毎回注意されてるのに直す事が出来ないみたい。
足音は私の部屋の方向へと向かって来る。きっと夜ごはんが出来たから来いと伝えに来たんだろう。
「アールー、飯食うぞー。」
やっぱり。でも残念ながら私は動けません。
「アル?大丈夫か?」
どうやら一緒にユーリグも来てくれたみたい。兄たちはホントに私によくしてくれるんだよね。いい子たちだよ。
「・・・ごめ、なさい。・・・おひる、くすりわすれた。」
熱のせいでまわらない口を必死に動かしてベットサイドに来てくれた兄達に発作を伝える。うー、つらいー。
「薬飲み忘れたのか・・・。無理して喋らなくていいぞ、辛いだろ?母上に伝えてパンユを作ってもらおう。
ソリス、アルの汗を拭くタオルを持ってきてくれないか?」
「分かった、すぐ持ってくる。」
どたどたと部屋を出ていくソリス。いつもちゃらちゃらしてるソリスが真面目な顔になるのは私が発作を起こした時だった。まあ、ソリスも16歳だしな。
「アル、ちょっと待っててな。」
私の頭を優しく撫でてくれるユーリグは昔から変わらない。昔からジェントルマンだ。ユーリグは18歳、この前お父さんがユーリグにいい人はいないのか?って聞いてたのをこっそり聞いてしまった私。でも、ユーリグは当分はアルの世話です、とちょっと嬉しそうに話していた。ブラコンかよって思ったけど、・・・・・・・・嬉しかったです。
二人とも部屋を出ていってしまってちょっと寂しい。すぐに戻ってくる事は分かってんだけどね。
最初に戻ってきたのはソリス。白いふわふわのタオルを片手に1枚ずつ。あとあと思い返してみれば何で片手に1枚ずつ?ってなるんだけどその時熱でぼやぼやと思ったのは戻ってきてくれて嬉しいという感情。
「アル、辛いか?大丈夫か?」
だから優しく額の汗を拭きながら聞いてくるソリスに甘えたくなってソリスの伸ばしている手を私からぎゅ、と握った。人の手って妙に安心するなあ。
相変わらず視界も定まっていなかったけど、ソリスに来てくれてありがとうの意味を込めて指先にキス。この世界に生まれてキスが当たり前になると、気持ちを伝えるためにキスするということを覚えた。それは前世のような恥ずかしさはなくて、ほんとに親愛という感情のみで出来るもの。
その安心感のまま、私はもう一度目を閉じた。
ありがとうございました。